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ご機嫌な彼女


無事に依頼主の元に花束を届けることが出来た華琳は、来る途中に見つけた「Memory of raindrops」という店に寄ることにした。

きらきらと輝くショーウィンドウ。そこに並べられている様々な色をした雨粒。

それらを見た華琳は胸が弾むのを感じた。


「これ、どんなものなのかな…とっても綺麗だし、素敵。」


もっと近くで見てみたいと思った華琳は、店の中に入ってみることにした。

店の中は静かで、たくさんの結晶が飾ってあった。

きょろきょろと周りを見ていると、ウィンディーネの店員が話しかけてくれた。


「いらっしゃいませ。」

「あ、あの…これって、どんなものなんですか?」

「これは私たちが特別な加工をして作り上げた、記憶を閉じ込める雨粒の結晶です。この結晶が、どんな記憶でも いつでも鮮明に思い出させてくれるんですよ。」

「そうなんですね、素敵…。」


そう言って華琳が結晶を見つめていると、ウィンディーネが嬉しそうに付け加えた。


「この結晶は、記憶の内容によって色が変わるんです。その記憶に対する自分のイメージ色…とでも言いましょうか、それが溶け出すんですよ。だから、無色の物から濃い色の物、様々な色に変わる物と、たくさんあるんです。」

「なるほど、だからこんなに綺麗なんですね。凄いですね…こんな綺麗な物、今まで見たことないから感動しました!」

「そう言ってもらえると嬉しいですね。どうです?貴女も忘れずに取っておきたい記憶を閉じ込めてみませんか?」

「忘れずに取っておきたい記憶…。」


その言葉に思い浮かんだのが、先日の幸風とのデートだった。あの日はとても幸せで、ずっと続けばいいのに…と思った日だった。


「…ひとつ、お願いします。」

「ありがとうございます。いつの記憶を閉じ込めますか?」

「その…昨日の記憶をお願いします。」

「わかりました。」


そう言うと、ウィンディーネは華琳の額に手を当て、目をゆっくりと閉じた。しばらくして手を離すと、ふわりと微笑んだ。


「終わりました。…ふふ、素敵な記憶ですね。」

「あう、えと…はい。」


手を当てている時に記憶を見てもらったのだと分かると、華琳は少し赤くなった。


「それでは、この記憶を元にして作りますね。出来上がったら持っていくので、住所をお願いします。」

「はい、ありがとうございます。」


注文を済ませて店を出ると、華琳はにこにこと嬉しそうな笑顔を浮かべた。

幸風との記憶が形になって残ることや、2人だけの記憶というのが何だか恥ずかしくも嬉しかったからだった。

鼻歌を歌い、傘をくるくると回して歩く姿は、いつもより明るく見えた。

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