逃走
警報が鳴り響くグラウンドに続々と人が集まる。
所長も駆けつけ、全員に命令する。
「脱獄した者は罪が軽くても犯罪者に変わりはない。抵抗するようならば、発見次第射殺してもかまわん!何としてでも探し出せ!!」
「はいっ!!」警察全員に銃を持つ許可が下り、一人が所長の元へ向かってくる。
「所長!」
「なんだ?」
「脱獄した一人が外の壁で銃に撃たれ死にました」
「そいつの名は?」
「シェフ・フランコです」
「全員よく聞け!脱獄犯の1人がたったいま死んだ。だからといって同情などするな!残るは三人だ!」
クリス達を乗せた車はスピードを出し続けて、細い道路を走る。
すると突然、脇道から一台のパトカーが飛び出し衝突する。
パトカーは壁にぶつかり、クリス達の乗る車は横転する。
両方の車から煙が焚きあがる。
「うぅ・・・みんな大丈夫か?」
「くそ・・・俺達は大丈夫だが運転手ともう一人が駄目だ」
「煙ですぐにバレてしまう。ここから早く離れるぞ!」
クリスとドミニク、ラッチの三人はとにかく走り続けた。
「なぁ!もしあのまま移動していたらどこに向かっていたんだ?」
「さぁ~な、多分俺の弟がいる場所だろうな」
「じゃあ、そこに行こう!」
「ダメだ。俺はその場所を知らない・・・とにかくまずは警察から逃げるのが先だ」
脱獄してから約1時間とちょっと、体力が限界になり三人はたまたま見つけた小さな小屋の中で休憩した。
その頃、警察達は衝突した車を発見する。
「おそらくあいつらはこれに乗っていたはず!辺りを探せ!まだ遠くには行ってないはずだ!!」
休憩している間、フランコについて話していた。
「フランコの息子の事だがどうする?」
「おれが行くさ・・・」
「ラッチ・・・」
「お前とドミニクは弟の所に行くんだろ?なら、フランコの子供に会えるのは俺しかいないだろ?」
「すまないな・・・」
「いいさ、お前等は弟を救えよ、俺は外に出ても会いたい人も救いたい人もいない。だったら、せめてフランコの願いを叶えたいんだ」
三人が話していると列車の走る音が聞こえてくる。
「列車だ!列車に乗り込むぞ!」
小屋を出て、線路まで走った。
その時、警察も走る三人を発見する。
「貴様等止まれー!!止まらんと撃つぞ!!」
クリス達は必死で走り、列車の貨物に入ろうとする。
「奴らを撃てぇぇぇぇ!!」
弾丸が列車に当たり、弾ける音が何回も聞こえる。
列車の速度はさらに早くなり、撃ちながら走るという事はできなくなった。
三人は貨物室に乗り込み扉を閉めた。
警察の一人が銃を投げ、悔しがる。
「惜しかったが、次があるぞ」
「いや、今ので仕留めとかないと・・・」
「何だ?」
「あの列車がどこに行くか知らんが、管轄外になるとあいつらが指揮を取るんだ」
「あいつらって?」
「FBIだ・・・もたもたしてないでさっさとあの列車の経由を調べろ!!」
なんとか逃げ切れた三人は、貨物室の灯りをつけ息をきらせながら床に座る。
しかしドミニクだけがふらふらしながら倒れる。
「おい!ドミニク?」
ドミニクを見ると右足の太ももを押さえていた。
「そんな・・・・」




