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35/54

scenario.35 誰も幸せじゃない

ムーンライター読もうと頂き、大変ありがとうございます✨️

今日はscenario.35ということで!支えてくださりありがとうございます!これからも頑張りす〜!

「お前も俺も、セルロイドの呪いから逃げ出したんだ。」

 ゼイルは、真剣な顔色を浮かべ言った。

「呪いってなんだ、逃げ出した憶えはないぞ」

 ゼイルは、淡々と喋り出す。

 ゼイルはビームブレードによる攻撃を止める様子はない。

「セルロイドは、何千光年もの旅を続けるうちに人格を失い、ただの機械の残骸になっていた。だが、少数の中に運命を抗うものがいたんだ」

 ゼイルは、クレーターへ入るエアルを見逃さない。躊躇なくビームブレードで接近する。

「しつこいな……!無駄な戦いを避けたいんだ」

 ゼイルは切なく、目線を下げて話し続ける。

「運命に抗うものには感情が残り、中には、プネウマのまま別の生命や電子体に宿る者もいた。お前は、胎児に宿ったんだよ、エアル」

 エアルは目を見開き、衝撃で瞳が震える。

「そして、俺はセルロイドが地球を襲ってからしばらくして、ルナビットに宿った。生きているはずのお前を助けるためにな、ねー?俺の妹〜」

 エアルは、身体中に鳥肌が立つ。

「そんなバカな……お前の妹など……」

 フラッシュバックが鮮明に流れ出す。

 私の隣にいる少年。

 実験されている私を、見て絶望の表情を浮かべている、銀髪の少年。

 紛れもなくゼイルだった。

 エアルは頭痛で苦しむが、レバーを強く握り、離さない。

「ごめんなぁ、こんな兄で。だけどもう戻れないんだ。俺は助けるはずだったお前の敵になっているのだから」

 段々とエアルの体力が消耗していく。

(殺すしかないのか)

 エアルはそう決断して、煙幕を展開する。

 ゼイルは目的を失い、運命を受け入れるように、立ち尽くす。

 煙幕の中で、エアルのScreamはゼイルの機体の後ろへと回る。

 そして、レーザーガンの銃口をゼイルの胸部に差し込む。穏やかな眼差しを向けて、誰も聞こえないような声で囁いた。

「またね、お兄ちゃん。思い出させてくれてありがと」

 レーザーガンをゼロ距離で撃ち込む。

 そして、ゼイルはノイズのようにパラパラと消え始める。

(……この誰も幸せになれない戦争をお前が終わらせてくれ、俺はこうなる運命だったんだ)

 足元から、胴体、そして顔へと、順番に消えていった。

 操縦席には、クレヨンでぐちゃぐちゃに描かれた、ゼイルの絵が一枚、ひらりと落ちてきた。寂しく。誰にも見つけられずに。

「ジエルの安否確認をしなければ……!」


 一方、他の第二部隊は──

「こりゃあ、やられたな〜」

 クレイスは諦めの表情を浮かべる。月面基地クレセントの上部にヒビがはいっており、そこからセルロイドが侵入した可能性があった。

 広場には、地面が見えないほどの人の死体、それぞれに抵抗した跡も残っていたのも確認した。

「まんまとやられましたね、囮として」

「生きてる人なんているのでしょうか……?」

 レクターとアルファもクレイスと同じ表情を浮かべていた。

「襲撃されたのね……」

 ミアはそう呟き、死んでしまったムーンライターを観察する。

「どうやってあんな小細工な作戦考えるのよ……!」

 ミアの脳内にクレセントの記憶が流れ込む。

 皆が生まれ、皆が歩んだ。

 明かりがいつも月面を照らした。

 エアルの名前を明かしたベット。

 全ての思い出が5時間で消え失せた。いつも挨拶した人も、仲良かった友達も、家族を見つけられたミアでさえも見つけれないほどの量。

「あんまりだ……」

 シオンは絶望で、倒れ込む。そして、宙に向かって願う。

 するとその時、瓦礫の下から何かいるような物音がする。それにクレイスはすぐに気づき、駆けつける。

「大丈夫か……!」

 クレイスはそう叫び、瓦礫を動かそうとする。

「全員手伝ってくれ、犠牲者を増やすな!」

 それを聞いた第二部隊たちは、瓦礫を必死に動かし、助けようとする。

 段々と瓦礫が少なくなり、中の人が露わになる。

「レ、レイリア!?」

 クレイスは驚きで開いた口が塞がらない。

「皆〜!怖かった〜」

 安心で涙を流しながら、袖を揺らし、小さい体でクレイスに抱きつく。

「何があったんだ、詳しく聞かせてくれ」

 クレイスが問いかけるとレイリアは、喉をゴホンとして話し始める。

「私が外で機械の試運転をしていたときだったんじゃ」



 




最後まで読んで頂きありがとうございます!次のscenarioはいつも通り19時半に公開致します!お楽しみください〜!


作者の一言


昨日足つったー皆も気をつけて!

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