scenario.35 誰も幸せじゃない
ムーンライター読もうと頂き、大変ありがとうございます✨️
今日はscenario.35ということで!支えてくださりありがとうございます!これからも頑張りす〜!
「お前も俺も、セルロイドの呪いから逃げ出したんだ。」
ゼイルは、真剣な顔色を浮かべ言った。
「呪いってなんだ、逃げ出した憶えはないぞ」
ゼイルは、淡々と喋り出す。
ゼイルはビームブレードによる攻撃を止める様子はない。
「セルロイドは、何千光年もの旅を続けるうちに人格を失い、ただの機械の残骸になっていた。だが、少数の中に運命を抗うものがいたんだ」
ゼイルは、クレーターへ入るエアルを見逃さない。躊躇なくビームブレードで接近する。
「しつこいな……!無駄な戦いを避けたいんだ」
ゼイルは切なく、目線を下げて話し続ける。
「運命に抗うものには感情が残り、中には、プネウマのまま別の生命や電子体に宿る者もいた。お前は、胎児に宿ったんだよ、エアル」
エアルは目を見開き、衝撃で瞳が震える。
「そして、俺はセルロイドが地球を襲ってからしばらくして、ルナビットに宿った。生きているはずのお前を助けるためにな、ねー?俺の妹〜」
エアルは、身体中に鳥肌が立つ。
「そんなバカな……お前の妹など……」
フラッシュバックが鮮明に流れ出す。
私の隣にいる少年。
実験されている私を、見て絶望の表情を浮かべている、銀髪の少年。
紛れもなくゼイルだった。
エアルは頭痛で苦しむが、レバーを強く握り、離さない。
「ごめんなぁ、こんな兄で。だけどもう戻れないんだ。俺は助けるはずだったお前の敵になっているのだから」
段々とエアルの体力が消耗していく。
(殺すしかないのか)
エアルはそう決断して、煙幕を展開する。
ゼイルは目的を失い、運命を受け入れるように、立ち尽くす。
煙幕の中で、エアルのScreamはゼイルの機体の後ろへと回る。
そして、レーザーガンの銃口をゼイルの胸部に差し込む。穏やかな眼差しを向けて、誰も聞こえないような声で囁いた。
「またね、お兄ちゃん。思い出させてくれてありがと」
レーザーガンをゼロ距離で撃ち込む。
そして、ゼイルはノイズのようにパラパラと消え始める。
(……この誰も幸せになれない戦争をお前が終わらせてくれ、俺はこうなる運命だったんだ)
足元から、胴体、そして顔へと、順番に消えていった。
操縦席には、クレヨンでぐちゃぐちゃに描かれた、ゼイルの絵が一枚、ひらりと落ちてきた。寂しく。誰にも見つけられずに。
「ジエルの安否確認をしなければ……!」
一方、他の第二部隊は──
「こりゃあ、やられたな〜」
クレイスは諦めの表情を浮かべる。月面基地クレセントの上部にヒビがはいっており、そこからセルロイドが侵入した可能性があった。
広場には、地面が見えないほどの人の死体、それぞれに抵抗した跡も残っていたのも確認した。
「まんまとやられましたね、囮として」
「生きてる人なんているのでしょうか……?」
レクターとアルファもクレイスと同じ表情を浮かべていた。
「襲撃されたのね……」
ミアはそう呟き、死んでしまったムーンライターを観察する。
「どうやってあんな小細工な作戦考えるのよ……!」
ミアの脳内にクレセントの記憶が流れ込む。
皆が生まれ、皆が歩んだ。
明かりがいつも月面を照らした。
エアルの名前を明かしたベット。
全ての思い出が5時間で消え失せた。いつも挨拶した人も、仲良かった友達も、家族を見つけられたミアでさえも見つけれないほどの量。
「あんまりだ……」
シオンは絶望で、倒れ込む。そして、宙に向かって願う。
するとその時、瓦礫の下から何かいるような物音がする。それにクレイスはすぐに気づき、駆けつける。
「大丈夫か……!」
クレイスはそう叫び、瓦礫を動かそうとする。
「全員手伝ってくれ、犠牲者を増やすな!」
それを聞いた第二部隊たちは、瓦礫を必死に動かし、助けようとする。
段々と瓦礫が少なくなり、中の人が露わになる。
「レ、レイリア!?」
クレイスは驚きで開いた口が塞がらない。
「皆〜!怖かった〜」
安心で涙を流しながら、袖を揺らし、小さい体でクレイスに抱きつく。
「何があったんだ、詳しく聞かせてくれ」
クレイスが問いかけるとレイリアは、喉をゴホンとして話し始める。
「私が外で機械の試運転をしていたときだったんじゃ」
最後まで読んで頂きありがとうございます!次のscenarioはいつも通り19時半に公開致します!お楽しみください〜!
作者の一言
昨日足つったー皆も気をつけて!




