宵闇騒動~人形と彼女と着物。〜
初めまして。見ていただいていた方、お久しぶりです。
よむらです。
この度、内容を全修正いたしました。
拙いですが、楽しんで見ていただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
彼女がゆっくりと後ろを振り返ると、そこには着物を着た美しい青年が居た。詰襟のシャツの上から着物と羽織りを着て、革のブーツを履いた、まるで書生のような出で立ちの青年。が、ゆっくりと近づいて彼女の横に並ぶ。
「サカキ。怖がらせるな。」
青年は優しい低い声で、人形を咎める。人形は無言で青年の方へ視線を移した。ーー否、人形ではないのだろう。
「申し訳ない。ただそちらに興味があっただけだと思う。立てるだろうか?」
ゆっくりと手が彼女に差し伸べられた。彼女は頷きながら、その手を取って立ち上がる。
人形は、ーーいや、美しい少女は、またこちらを見ていた。
「俺達はこの家の者だが、ご要件は?」
青年は彼女に優しく問いかける。その優しい声音に彼女は安堵し、父から託された手紙を青年に渡す。
そして、こう言った。
【私は、あなた達の友人だ】
彼女の父が、この家の者に会ったなら必ずこう言うのだと。決して、他の言葉を、ましては『客人』と言ってはならない。問われても、そう返事をしてはならない。そんな約束をさせられていた。
なぜ?確かに自分から言うものでもないことではあるとも思うが、『客人』では駄目なのか。
青年はその言葉を聞くと、ふっと頬を柔く緩ませ、「そうか。お父様から話にあった者か。ようこそ、六条家へ。」と言った。
少女は無言でゆっくりとスカートの裾を両手で軽く持ち上げて会釈をした。いわゆる、カーテシーだ。
「俺は六条シオンだ。」青年はシオンという名を告げる。続けて、「こっちは六条サカキだ。これからどうぞよろしく。」と少女の名も告げ、挨拶をする。
彼女は、自分が2人に名を言わずに居たことに気づき、慌てて自分の名を告げ、挨拶を返した。
そのまま、シオンと彼女はお互いについて話し始めた。シオンの優しい雰囲気と声音は、先程まであったはずの彼女の恐怖と警戒心をいとも簡単に無くしてしまった。ーーシオンにとっては別に意識をしているわけではないのであるが。
そこで3人、彼女は17歳、サカキは16歳、シオンは18歳でお互いに歳が近いことを知る。そして、
「まだ俺達の他に兄弟が居る。もうそろそろ来るはずだが…」
とシオンが話しているうちに、建物から1人、人が出てきた。すぐに3人の方に気づいた様で、近づいて来た。……途中、何も無い場所で足をつまづかせ、盛大に顔から転んでいた。
あまりの脈絡の無さに彼女は驚いたが、すぐに心配になり慌てて駆け寄った。
「痛たたた…。あはは、驚かせてごめんね?」
彼はなんでもないように平然と起き上がる。優しそうな綺麗な顔は傷一つさえ無い。そして、顔を上げ、彼女を見た。
「ーーー、え…?」
ーー彼は、彼女の顔を見て息を呑むほどに驚いた。




