第十九話「ゼノフさんの答えと、旅立ちの朝飯」
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一週間、ゼノフさんは何も言わなかった。
いつも通り厨房に立って、いつも通り大盛りを出して、いつも通り「たっはっは!」と笑っていた。
でも俺には、何かを考え続けているのがわかった。
閉店後に一人でカウンターに座っている時間が、少し長くなっていた。窓の外のアヒル看板を、以前より長く見ていた。
俺は何も聞かなかった。
待つことが、今の俺にできる一番のことだと思ったから。
七日目の朝。
いつもより少し早く目が覚めた。
三時半。窓の外はまだ暗い。
階段を下りると、厨房にすでに灯りがついていた。
ゼノフさんだった。
一人で、かまどの前に立っている。鍋は火にかかっていない。ただ、かまどの前に立って、何かを見つめていた。
「ゼノフさん」
ゼノフさんは振り返った。
いつもの丸眼鏡。いつもの白髪。いつもの穏やかな顔。
でも今日は——その顔に、何かが決まった人間の静けさがあった。
「トウヤくん、早いね」
「ゼノフさんのほうが早いです」
「少し、考えていたよ」
「はい」
「答えが出た」
ゼノフさんはかまどに火を入れながら、静かに話し始めた。
「一週間、ずっと女房と話していた気がするよ」
「奥様と?」
「もういないけれど——こういう時はいつも、頭の中で話しかける。女房はどう思うかな、ってね」
俺は黙って聞いた。
「女房が言うんだよ、頭の中で。「あなたの料理を、もっと遠くの人に届けなさい。私はずっとここにいるから」って」
「……」
「俺の都合のいい想像かもしれないけどね」
ゼノフさんは少し笑った。
「でも——そう思ったら、答えが決まった」
「どうするんですか」
「王都に行く」
俺は静かに頷いた。
「ただし——」
ゼノフさんは俺を見た。
「一つだけ条件がある」
「なんですか」
「この店を、続けること。俺が王都にいる間も、この場所は「満腹あひる屋」であり続けること」
「当然です」
「看板は変えない。盛り付けの量は減らさない。来た人を、ちゃんと温かく迎える」
「全部、守ります」
「リーナさんが言っていた「形は相談できる」というのを、使わせてもらおうと思う。王都と、この店を、行き来する形にしてもらえないか交渉してみる」
「できると思います」
「できるかな」
「ゼノフさんを欲しいのは向こうです。条件を出す権利は、こちらにあります」
ゼノフさんは「たっはっは!」と笑った。
「トウヤくんは、交渉のことをよく知っているね」
「前の世界でも、似たようなことを何度かやりました」
「頼もしいねえ!」
朝営業が始まる前に、ゼノフさんはリーナに連絡を取った。
リーナはまだこの街に滞在していたらしく、昼前に来た。
ゼノフさんの条件を聞いて、リーナは少し考えてから言った。
「月に一度、この街に戻る時間を保証します。店の経営は、代理人——トウヤさんに一任する形でいかがでしょうか」
「それで構いません」とゼノフさんが言った。
「王都での仕事は、週に三日。残りは自由時間として、移動に充てることもできます」
「では——いつ出発になりますか」
「準備ができ次第。急ぎません」
ゼノフさんは俺を見た。
「トウヤくん、いいかい」
「いつでも」
「じゃあ——十日後にしよう。それまでに、この店のことを全部トウヤくんに伝える」
十日間は、静かで、でも密度の高い日々だった。
ゼノフさんは毎日、俺に話を聞かせた。
二十八年間、この店でやってきたこと。常連たちとの付き合い方。仕入れ先との関係。季節ごとのメニューの変え方。この街の気候と、それに合わせた料理の調整。
全部が、俺には知らなかったことだった。
前世の知識と、ゼノフさんの二十八年が、少しずつ俺の中で混ざり合っていく。
「ゼノフさん、卵焼きのレシピを教えてもらえますか」
「え、グレイくんのやつ?」
「はい。あれだけは、まだ教わっていないので」
ゼノフさんは少し照れたように笑った。
「実はね、あれは特別なレシピでも何でもないんだよ」
「そうなんですか」
「卵と、蜂蜜と、白獣乳を少し。それだけだよ。ただ——」
「ただ?」
「火加減だけは、長年の勘だ。強すぎず、弱すぎず。じっくり、でも確実に火を通す」
「言葉にできないところですね」
「そういうところが、料理の一番面白いところだよ。全部言葉にできないから、見て覚えるしかない」
俺はゼノフさんの隣に立って、卵焼きを作るところを見た。
手際は、二十八年の積み重ねだ。無駄な動きが一つもない。
でも——同じ動きをしているのに、何か「ゼノフさんらしさ」がある。
(これは、教わるものじゃなく、時間をかけて自分で積み上げるものだ)
「トウヤくんの卵焼きは、いつかトウヤくんの卵焼きになるよ。俺のとは違う味に、きっとなる」
「それでいいんですか」
「それがいいんだよ」
出発の前日。
ゼノフさんは「みんなを呼んでいいかい」と言った。
「もちろんです」
夜の営業が終わった後、常連たちが残った。
ゴルド、グレイ、エレナさん、カイル、マリア、リン、ハンス、ヨハン、シグ。ルルちゃんは少し遅い時間だったが、花屋の両親に連れられてきた。
ラドク隊長も、「たまたま通りかかった」という顔をして入ってきた。
全員が揃うと、ゼノフさんは立ち上がった。
「みなさん、長い間、うちの店に来てくれてありがとう。俺は明日から、少しの間、王都に行くことになりました」
知っている人も、初めて聞いた人もいる。
「でも——この店は変わりません。満腹あひる屋は、ここにあります。トウヤくんが守ってくれます」
ゼノフさんは俺を見た。
「俺が二十八年かけて作ったものを、トウヤくんに預けます。大事にしてくれると思っているよ」
俺は「はい」と答えた。
一言だけで、十分だった。
その夜は、いつもより長く続いた。
リンが竪琴を弾いて、ゴルドが武勇伝を話して、カイルが笑って、マリアがノートに何かを書いて、グレイが卵焼きを静かに食べて、エレナさんがデザートを頼んで、ハンスとヨハンがエールを飲んで、ルルちゃんがアヒルクッキーをかじって眠くなった。
ラドク隊長は珍しく深味汁を二杯飲んだ。
ゼノフさんはずっと笑っていた。
その笑いが、いつもより少し眩しかった。
翌朝、出発の日。
俺は夜明け前から仕込みを始めた。
今日は特別なものを作りたかった。
ゼノフさんの送り出しの朝飯。
何を作るか、前の夜から考えていた。
どんぶりか、麺か、煮込みか——全部、この店を象徴するものだ。でも今朝は、もっとシンプルなものがいい気がした。
俺が作ることにしたのは——深味汁と、白いご飯に近い麦飯と、卵焼きだった。
深味汁は、一ヶ月かけて作ったこの店の味。麦飯は、毎日ゼノフさんが炊いてきたもの。卵焼きは、ゼノフさんが二十八年作り続けてきたもの。
この三つが、「満腹あひる屋」の全てだと思った。
ゼノフさんが降りてきたのは、夜明けと同時だった。
旅の荷物を一つ持っていた。小さな荷物だ。
「出発前に、食べてください」
カウンターに座ったゼノフさんの前に、俺は膳を置いた。
深味汁。麦飯。卵焼き。
シンプルな、朝飯だ。
ゼノフさんは膳を見て、少し黙った。
「……これは」
「いつも食べていたものです」
「卵焼きは——」
「俺が作りました。ゼノフさんのとは、少し違うかもしれませんが」
ゼノフさんは卵焼きを一切れ食べた。
しばらく、何も言わなかった。
「……俺のとは違うね」
「そうですか」
「でも——」
ゼノフさんはもう一切れ食べた。
「旨い。ちゃんと、トウヤくんの卵焼きになっている」
俺は少し胸が詰まった。
「ありがとうございます」
ゼノフさんは深味汁を一口飲んだ。
「……この汁は、一ヶ月かけて作ったやつだね」
「そうです」
「時間の味がするよ」
「そうあってほしいと思っています」
ゼノフさんは麦飯を一口食べて、また深味汁を飲んだ。
窓の外が、少しずつ明るくなってきた。
「トウヤくん」
「はい」
「この店のことを、頼んだよ」
「はい」
「常連のみんなのことも」
「はい」
「グレイくんの卵焼きは、毎日出してやってくれ」
「毎日出します」
「エレナさんが読書できる静かな席を、必ず空けておいてくれ」
「空けておきます」
「ゴルドくんのエールは、冷えすぎないように」
「気をつけます」
「ルルちゃんのクッキーは——」
「アヒルの形で焼きます。毎回」
ゼノフさんは全部頷いてから、最後に言った。
「そして——自分の飯も、ちゃんと食べてくれ」
「……はい」
「料理人が自分の飯を食べない店は、いつか味が落ちるからね」
「覚えておきます」
朝飯を食べ終えて、ゼノフさんは立ち上がった。
荷物を持って、扉に向かった。
振り返った。
「いい店だよ、ここは」
「ゼノフさんが作った店です」
「今はトウヤくんの店でもある」
ゼノフさんは丸眼鏡の奥の目を細めた。
「女房が喜んでいると思うよ。こんなに賑やかになって」
「また聞かせてあげてください、王都から戻ったら」
「必ず戻るよ。深味汁の次のやつを、味見しないといけないからね」
「三ヶ月後に、開けます」
「楽しみにしているよ。はっはっは!」
ゼノフさんの笑い声が、石畳の路地に響いた。
アヒルの看板の下を通り過ぎて、ゼノフさんは歩いていった。
俺は扉の前に立って、その背中が見えなくなるまで見送った。
店に戻ると、カイルとマリアがいた。
二人とも、目が少し赤かった。
「大丈夫ですか」
「大丈夫です」とマリアが言った。「ただ、少し——」
「寂しい?」
「はい。でも、ゼノフさんが信じて任せてくれたので、それが嬉しいです」
「俺もそうです」
カイルが「さあ、やりますか!」と少し大きめの声で言った。
「やりましょう」
三人でかまどの前に立った。
今日も、いつも通りの朝が始まる。
そして——それから十日後のことだった。
ヴェルナーから依頼が来た。
「隣街の提携食堂のうち、一軒が経営難に陥っていて、早急に見に来てほしい」という内容だった。
ゼノフさんはすでに王都にいる。店はカイルとマリアとシグに任せられる。一泊二日なら問題ない。
俺は翌朝、隣街に向けて出発した。
街道は、思ったより整備されていた。
石畳が続き、途中に休憩所がいくつかある。行商人の荷馬車が何台か追い越していった。
歩きながら、俺は久しぶりに「外」の空気を味わっていた。
この世界に来てから、ほとんど街の外に出たことがなかった。ゴルドに担ぎ込まれた森の記憶はあるが、あの時は余裕がなかった。
今は違う。
街道の両側に広がる草原。遠くに見える山の稜線。頭上を鳥が横切っていく。
(こんなに広い世界だったんだな)
「満腹あひる屋」の厨房から、ずっと外を見ていた気がする。でも実際に外に出ると、知らない景色が広がっている。
当たり前のことだが、なぜか少し胸が広がるような感覚があった。
隣街まで、歩いて半日の道程だった。
昼を過ぎた頃、俺は街道沿いの小さな休憩所に差し掛かった。
木造の小屋が一軒。ベンチがいくつか。水を汲める井戸がある。
ベンチに腰を下ろして、持ってきた携帯食を取り出した。
カイルが「道中食べてください」と持たせてくれた、揚げ物を薄い麦のパンに挟んだものだ。
一口食べると——旨かった。
カイルの揚げ物は、最近ずいぶん上手くなっている。俺が教えたことを超えた、自分の「感覚」が出てきている。
(あいつは、ちゃんと育っている)
そんなことを考えながら食べていると——
休憩所の隅に、人影があることに気づいた。
小屋の壁際のベンチに、少女が座っていた。
年の頃は、十二、三歳くらいだろうか。
暗い色の外套を着て、膝に小さな荷物を抱えている。俯いていて、顔が見えない。
一人だった。
周囲に保護者らしい人間はいない。
俺は少し気になって、声をかけた。
「一人ですか」
少女は顔を上げた。
目が合った。
俺は、思わず息を止めた。
少女の目は、銀色だった。
正確には、灰色がかった薄い銀——普通の人間の目の色ではない。
それだけで十分に目を引いたが、その目に浮かんでいるものが——俺には引っかかった。
怖れではなく、警戒でもなく、ただ静かに、こちらを観察している目だった。
子供の目ではない。
でも、確かに子供だ。
「……一人です」
少女は静かに答えた。声も、落ち着いていた。
「どこに行くんですか」
「……特に、決まっていません」
「迷子?」
「違います」
「じゃあ、旅?」
少女は少し考えてから、答えた。
「……逃げているのかもしれません」
俺は少し迷ってから、携帯食を一つ、少女の前に差し出した。
「食べますか。カイルが作った揚げ物のサンドです。旨いですよ」
少女はじっとそれを見た。
「……受け取っていいんですか」
「どうぞ。余分に持ってきたので」
少女はゆっくりと手を伸ばして、受け取った。
一口食べた。
その瞬間——銀色の目が、わずかに丸くなった。
「……美味しい」
「でしょう。うちの店の子が作りました」
「お店、をやっているんですか」
「はい。少し離れた街で、食堂をやっています」
少女はもう一口食べた。
しばらく、無言で食べていた。
それから、静かに言った。
「……ずっと、何も食べていませんでした」
「どのくらいですか」
「二日ほど」
俺は少し眉をひそめた。
「二日間、何も食べずに歩いていたんですか」
「お金がないので」
「どこから来たんですか」
「……遠いところです」
俺は思わず笑った。
「俺もよく、そう答えます」
少女は少し驚いたような顔をした。
「同じ答えを使う人がいるんですね」
「上手く説明できない場合は、そう言うしかないんです」
「……そうかもしれません」
少女は食べ終えてから、じっと俺を見た。
「あなたは、何者ですか」
「料理人です。今は食堂を任されています」
「なぜ、街道を一人で歩いているんですか」
「依頼があって、隣街に向かっています」
「……親切な人ですか」
「普通の人だと思います」
「普通の人は、知らない子供に食べ物を渡しませんよ」
「腹を空かせている人間に飯を出さない理由がないので」
少女はしばらく俺を見た。
その銀色の目が、何かを測るように動いた。
「……信用していいんですか」
「信用するかどうかは、あなたが決めることです。俺は料理人なので、食べ物を渡すことしかできません」
少女は少し黙ってから、立ち上がった。
「ありがとうございました」
荷物を背負って、歩き出そうとした。
俺は思わず声をかけた。
「行くところは、ありますか」
少女の背中が、止まった。
振り返らずに答えた。
「……ありません」
「じゃあ——隣街まで、一緒に来ませんか。俺の用事が終わったら、うちの店を案内します」
「なぜですか」
「二日間何も食べていない子供を、一人で行かせたくないからです。それだけです」
少女はゆっくりと振り返った。
銀色の目で、俺をじっと見た。
長い沈黙の後——
「……わかりました」
少女は短く答えた。
並んで歩き始めて、しばらくして、俺は聞いた。
「名前は?」
「……エルナです」
「俺はトウヤです。よろしく、エルナ」
エルナは少し間を置いてから、「よろしくお願いします」と言った。
敬語だった。子供らしくない、きちんとした敬語だ。
「どんな場所から逃げてきたんですか。話したくなければ、聞きません」
「……いつか、話せるかもしれません。今は、まだ」
「わかりました」
それ以上は聞かなかった。
二人で、街道を歩いた。
午後の日差しが、草原を橙色に染め始めていた。
しばらく歩いていると、エルナがぽつりと言った。
「あの食べ物、本当に美味しかったです」
「カイルに伝えておきます。喜びます」
「カイルというのは、お店の人ですか」
「一緒に働いている人です。最初は冒険者だったんですが、いつの間にか料理人になっていました」
「……冒険者が、料理人に?」
「この店にはそういう人が多いです。吟遊詩人が従業員になったり、闇商人が常連になったり、衛兵隊長が毎朝麺を食べに来たり」
エルナは少し目を丸くした。
「賑やかな店ですね」
「賑やかです。でも、居心地はいいですよ」
エルナは少し考えてから、言った。
「……そういう場所を、見たことがありません」
「どんな場所にいたんですか」
エルナは少し黙った。
「……静かな場所にいました。いつも」
「それは——」
「窮屈でした」
一言だけ、そう言った。
街道の先に、隣街の輪郭が見え始めた頃。
エルナが唐突に立ち止まった。
「……トウヤさん」
「はい」
「私は——少し、普通と違います」
「どういうことですか」
「目の色だけじゃなくて——普通の人にはない、何かがあります」
俺は少し考えた。
「魔法、ですか」
「魔法とは違います。でも……人が嫌がるものです。だから、逃げてきました」
エルナは銀色の目で俺を見た。
「それでも、一緒に歩いてもらえますか」
俺は少し間を置いた。
そして、歩き始めた。
「腹が空いている時に美味しいものを食べさせてくれた人に、それ以上のことは聞きません。続きましょう」
エルナはしばらく俺の背中を見た。
それから、小走りで追いついた。
「……ありがとうございます」
「どういたしまして」
二人で歩きながら、俺は頭の中で考えていた。
この子は何者か。何から逃げているのか。銀色の目と、「普通にはない何か」とは何か。
わからないことだらけだ。
でも——腹を空かせた子供を助けたことは、間違っていない。それだけは確かだ。
(この世界に来て最初の日、俺もゴルドに「腹が減っているのか」と助けてもらった)
あの時のゴルドの行動を、今日俺はしただけだ。
巡り巡って、同じことが繰り返される。
それが——この世界の食堂の縁というものかもしれない。
隣街の門が見えてきた。
エルナが隣を歩きながら、静かに言った。
「トウヤさんのお店、いつか見てみたいです」
「いつでも来てください」
「……本当に?」
「本当に。うちの店は、誰でも来られる場所です。腹が空いていれば、それだけで十分です」
エルナは少し黙って、それから——小さく笑った。
それが、この子が初めて見せた笑顔だった。
銀色の目が、夕日を受けて、少し金色に光った。
俺はそれを見て、なんとなく思った。
(この出会いは、ただの偶然じゃないかもしれない)
前世でも異世界でも、俺の人生に関わる人間は、いつも飯の縁で繋がってきた。
この子もきっと——そうなのだろう。
隣街の門をくぐりながら、俺は「満腹あひる屋」のことを思った。
今頃、カイルとマリアとシグが回しているはずだ。
ゼノフさんは王都に向かっている。
グレイは今夜も卵焼きを食べに来るだろう。
ゴルドはどんぶりを食べながら、誰かに武勇伝を話しているだろう。
エレナさんは本を開きながら、デザートを食べているだろう。
今日も、アヒルの看板が揺れている。
その場所に——いつか、この子も来るかもしれない。
次回もお楽しみに




