表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/24

分断の中で


三人が別々の星に降り立った時の話。


これは、それぞれの記録だ。


---


〜銀河丸の記録〜


偽の星に降りた。ヤミ兵に囲まれた。ゲームで勝った。


それだけではなかった。


囲まれた瞬間、一人だと思った。本当に。ルミもキラも遠くにいる。通信は細い。届くか届かないか。


ヤミ兵がじりじりと近づいてくる。


その時、横から声がかかった。


「宇宙侍」


振り返ると、岩陰に人影があった。小さな子供——子供に見えた。この星の住人らしき人。


「あなたの噂を聞いた」


声が小さかった。怖がっているのか、それとも緊張しているのか。


「助けさせてほしい。こっちに来て」


「お前が?」


「私だけじゃない。みんないる」


岩の向こうに人がいた。大人も子供も、この星の住人が十人ほど。ヤミ兵が来た時から隠れていたのか。


「罠と分かっていても信号を出したのは俺たちだ」と年配の人が言った。「ヤミ兵が来た時、本当に助けを求める信号を出した。あなたが来てくれると思って」


「それが——ドクガの信号に混じったんか」


「おそらく」


仲間がいなくても、繋がりがある。


一人で来たのに、一人ではなかった。


岩陰から住人たちが出てきて、ヤミ兵の囲みを乱した。銀河丸が駆けた。間を読んだ。抜けた。勝った。


一人で立った。でも一人ではなかった。


---


〜ルミの記録〜


ルミが向かった星は、信号がなかった。


厳密には——信号が途中で切れた。降りた時にはもう何もない。住民も少ない。ヤミ兵もいない。


「偽信号の発信源だ」とルミはすぐに気づいた。


誰かがここから信号を出した。そしていなくなった。


一人で考えた。


ルミは銀河丸の傍にいることが多かった。銀河丸が体で動く横で、ルミが頭で補佐する。それがパターンだった。


でも今、銀河丸はいない。


一人で考えた。


発信源の機材が残っていた。ヤミ軍の規格の機材。型番がある。型番から製造星が分かる。製造星から流通ルートが——


一時間で解析した。


偽信号の出所が分かった。


「私は情報で戦う」とルミは誰もいない部屋で言った。「それだけで十分だ」


機材を無力化した。同じ仕組みで偽信号が出せないように細工した。


通信機でキラに送った。「こっちは終わった。キラ、そっちは?」


---


〜キラの記録〜


キラが向かった星の信号は、確かに変だった。


降り立つ前から分かった。信号のパターンが不自然すぎる。本当に助けを求めている人間は、もっと必死だ。もっと不均一だ。これは機械的に出力された信号だ。


「罠だ」とキラは一人で決めた。


ならば——逆に使う。


ドクガの信号発信源にはドクガの補給船が繋がっているはずだ。作戦の拠点がある。そこを叩く。


単独で動いた。


キラは一人でいることに慣れている。ずっと一人だった。仲間を失ってから、ずっと一人で動いてきた。一人で考えて、一人で決めて、一人で動く。


でも——今は違う感覚があった。


銀河丸とルミがどこかにいる。同じタイミングで動いている。通信は細いが、繋がっている。


補給船を見つけた。


小型の輸送船。無人。でも積み荷がある。信号機材、補給物資、それから——地図。


地図を奪った。


ドクガが次に狙っている星域の地図だ。これは——後で役に立つ。


「キラ、そっちは?」とルミから通信が来た。


「終わった。補給船を奪った。地図も手に入れた」


「さすがです」


「当然だ」


補給船を操縦して合流地点へ向かいながら、キラは窓の外を見た。


星が多い。宇宙は広い。


こんなに広い場所で、三人でいる。


妙な、気持ちだった。


---


三人が再集結した。


誰も怪我していない。


それだけでいい、と思った。


三人が別々の話を持ち寄った。銀河丸が住民たちに助けられたこと。ルミが偽信号を無力化したこと。キラが補給船と地図を奪ったこと。


「三人とも、別々に勝ちを持って帰ってきた」とルミが言った。


「まあ」と銀河丸。


「私は——一人でも戦えると思ってたけど。証明できてよかった」


「俺も一人で立てた。でも一人じゃなかった。住民に助けてもらった」


キラが荷物から何かを取り出した。


「こっちに来てたら全部じゃないが——各自がおにぎりっぽいものを探してみろ、と思ってた」


三人が持ち寄った。銀河丸が住民からもらった丸い実。ルミがその星に売っていた粉を丸めたもの。キラが補給船の中にあった干し肉を丸く巻いたもの。


全部微妙だった。


「全部微妙です」とルミが言った。


「分かってた」と銀河丸。


「なんで持ち寄ったんですか」とルミがキラを見た。


キラが少し間を置いた。


「……笑えると思った」


笑いになった。宇宙の真ん中で、三人が笑った。


---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説と連動した無料ブラウザゲームも公開しています。 https://uchuzamurai.com/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ