↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『凡人修仙伝』: 不死身を目指してただ逃げてたら、いつのまにか最強になってた  作者: 白吊带
第二卷: 煉気編一初めて世間に·血色禁地
PR
91/287

螳螂、蝉を窺い、黄雀、後に在り

 

 白衣の女は自身の法器が効果を発揮し、韓立の金刃(きんじん)を阻んだのを見て、得意げな表情を浮かべた。


「道理で身の程知らずにも飛び出してきたわけだ! 頂級法器(ちょうきゅうほうき)を頼りにしていたのね!」彼女は嘲笑(ちょうしょう)したが、手は半刻(はんとき)も遅らせず、反手(はんしゅ)に桃色の水晶玉を取り出し、それを頭上に祭り上げた。


「まずい! あの水晶玉は他人の法器を侵食(しんしょく)するの! 師弟(してい)、早く止めて! 妹の法器はこうして全て壊されたのよ!」黄衫(おうさん)の女は顔色を変え、慌てて警告した。


 韓立の心臓がドキンと跳んだ。考える間もなく手を上げ、握りしめていた銀鉤(ぎんこう)を放った。それは一道の銀光(ぎんこう)と化し、女の水晶玉へ向かって飛んでいった。


 白衣の女は口元をわずかに歪(ゆが)め、十本の指で奇妙な印(いん)を組み、頭上の水晶玉へ一道の赤い光を打ち込んだ。


 結果、法訣(ほうけつ)を吸い込んだ水晶玉は即座に赤い光を放ち、自動的に回転を始めた。そして桃色の液体を噴射し、玉を中心とした液状の雲塊(うんかい)を形成する。丈(たけ)ほどの大きさだが、女の頭上を真っ赤に覆い隠した。


 韓立は躊躇(ちゅうちょ)した。銀鉤を安易に赤い液体の中へ突入させる勇気はなく、操って方向を変え、真下の白衣の女へと直行させた。


 同時に彼はもう一つの上級法器(じょうきゅうほうき)——**青索(せいさく)**も密かに祭り出した。霊蛇(れいだ)のように詭秘(きひ)に地面を這い、音もなく潜行(せんこう)させた。


「疾!」


 白衣の女が突然水晶玉を指さすと、液状の雲塊から小さな一片が分離し、下方へ飛んでいった。通りかかった銀光を包み込み、減速させて銀鉤の原形を露(あら)わにした!


 この光景を見て、韓立は内心焦燥(しょうそう)した。思い切って銀鉤は諦め、後から追いついた青索に命じ、白衣の女を護幕(ごまく)ごとがっちりと縛り上げた。一時的に大きな粽(ちまき)のように包み込んだのだ。白衣の女は法宝(ほうほう)を数多く持つものの、一時的に手も足も出ず、すぐには脱出できなかった。


 その時、韓立は躊躇なく符宝(ふほう)「**金光磚(きんこうせん)**」を取り出した!


 青索が相手をどれだけ長く拘束できるか、内心全く確信はなかった。しかし今は危険を冒して試すしかなかった。相手が脱出する前に符宝で仕留められることを願って。


 あの黄衫の女は、容姿は平凡ながら、いくぶん賢明だった! 法器も大威力の符籙(ふろく)も持たないが、火球や氷錐(ひょうすい)のような小法術を絶え間なく放ち、銀鉤を閉じ込めた液体の塊や、あの小さな鏡を攻撃し続けた。韓立の幾つかの法器を救い出し、勝機を増やそうとしているようだ。


 だが残念ながら、これらの攻撃は靴の上から痒いところを掻くようなもので、全く効果がなかった。


「ふん、たかが上級法器で私を縛れると思う? 今すぐに自分の愚かさを思い知らせてやるわ!」青索に閉じ込められていながらも、白衣の女は依然として傲慢(ごうまん)に言い放った。


 韓立は相手の言葉に構う気もなかった。彼は「金光磚」の符宝を掲げ、再び法力(ほうりき)を吸い取られる覚悟を固めた。


 しかしその時、白衣の女の背後にある密林から、恐ろしい巨大な霊気(れいき)が突然爆発した。


 韓立は一瞬呆然(ぼうぜん)とした。何事か理解する間もなく、眩(まぶ)しく刺すような黄光(こうこう)が林の中から稲妻のように飛来した。なんと韓立の青索、女の護幕、そして白衣の女本人さえも一瞬で貫き通し、女は悲鳴すら上げられずにその場に横たわった。


 韓立はこれを見てまず驚いたが、すぐに何かを思い出し、体勢を飛び出そうとした。しかし遅かった。


 青い人影が既に流星(りゅうせい)のように数度閃(ひらめ)き、女の屍骸(しかばね)の側へと到達していた。そして腰の収納袋(しゅうのうたい)をがしっと掴み取り、高らかに笑い声を上げた。顔中に狂喜(きょうき)の色を浮かべて。


 一歩遅れたと悟り、韓立は悔しそうにため息をついた。しかし命を守るため、気力を奮い起こし、冷たい目でこの男の一挙一動を注視した。


 来たる者は顔中に傷痕(きずあと)のある中年男だった。細長い目、鷲鼻(わしばな)、全身に漂う殺気(さっき)は、一目見ただけで震えが走り、距離を置きたくなるほどだ。その功法(こうほう)は十三層の頂点に達しており、韓立の心はますます重くなった!


「封岳(ほうがく)! お前は天闕堡(てんけつほう)の狂人(きょうじん)封岳だ!」


 青い服の男が口を開くより早く、黄衫の女が恐怖の叫び声を上げた。その表情は、最も恐ろしい妖魔(ようま)に遭遇したかのようだった! 白衣の女に追われていた時よりもはるかに恐れ慄(おのの)いている。


「へへっ! 小娘、俺様を知っているとはな。大人しくそこに立っていろよ。俺様が戦利品(せんりひん)を確認してから、お前たちを始末してやる!」青い服の男は黄衫の女を一瞥(いちべつ)しただけで、二人の前でうつむき、手にした収納袋を探り始めた。


 韓立は鼻をこすりながら、淡々とこの男を見つめ、目をきらりと光らせた。来たる者の正体が何であれ、自身の陣脚(じんきゃく)を乱してはならない。敵が強大であればあるほど、冷静さを保たねばならない!


 脱出した法器を一目見ると、手を伸ばして金刃と銀鉤を呼び戻した。


 金刃は問題なく、元通り真新(まあたら)しかった。しかし銀鉤の姿は韓立を驚かせた! 元々銀色に輝いていた法器は、錆(さ)びだらけで凸凹(でこぼこ)になり、まるで廃刃(はいじん)のようだった。霊気(れいき)は大きく失われ、最早使いものにならない!


 この時、韓立は黄衫の女が言った「法器を破壊する」の意味を理解した。あの水晶玉が吐き出す桃色の液体はなんと毒々しいことか! 誰の法器が触れても、三尺(さんじゃく)退くしかあるまい!


 感慨に浸った彼は、再び青い服の男の目前に輝く黄光に引きつけられた。


 それは柄(つか)の付いた奇妙な形の小刀だった。柄の長さは一尺(いっしゃく)もあり、刃は三、四寸(すん)ほど。全体が水晶のように透き通り、目を刺すような黄光を放っている。


 この奇怪な見た目の品が、白衣の女を一撃で仕留めたのだ。


 韓立は死んだようにこの品を凝視し、表情は次第に険しくなった。顔は暗雲(あんうん)に覆われ、口は固く結ばれている。しかし「符宝(ふほう)」という二文字が、彼の心の中で絶え間なく閃(ひらめ)いていた。


 小刀の威力、光に近い外見、驚異的な霊気の爆発——これら全てが、この品がまさに彼の「金光磚」と同じく、法宝(ほうほう)の威能を持つ符宝であることを証明していた。


 この発見は、韓立の口に苦さを満たした!


 彼は曇った空を見上げた。今が何時かはわからなかったが、間違いなく二日目の朝だ。彼は疑っていた。自身の幸運は全て一日目で使い果たしたのではないかと。だから二日目の早朝から、これほどの不運に見舞われているのだと!


 まずは同門の師姉(しけい)に遭遇し、無理やり盾にされ、掩月宗(えんげつしゅう)の**宝器持ちの女(たからもちのおんな)**と対峙(たいじ)した。結果、相手の頂級法器は恐ろしく強力で、ほとんど手に負えなかった!


 今度は何やら**狂人(きょうじん)封岳**なる者が現れた。法力は自分をはるかに上回るだけでなく、符宝まで所持している。これでは宝器持ちの女よりも三倍は手強い! どうやってここから抜け出せばいいのか?


 彼はこの狂人が、ご機嫌だからといって自分たち二人を見逃してくれるとは思わなかった。どうやら命懸けで戦うしかないようだ!


 韓立がそう考えていると、向かいの封岳がついに収納袋の調査を終え、微かに喜びを帯びて顔を上げた。どうやら収穫は少なくなかったようだ!


 彼は残忍な笑みを浮かべ、韓立たち二人に何か言おうとしたが、地面に落ちた小さな鏡と水晶玉を一目見るや、目に貪欲(どんよく)な色が走った。手をかざし、二つの法器を手に吸い寄せようとした。


 しかし残念なことに、二つの法器が浮き上がるより早く、遠くから小さな火球が一つ飛んできた。法器収奪の行為を阻み、彼を一歩後退させることを強いた。手を振ると同じ火球を放ち、それを破壊した。これに封岳は内心激怒し、顔に凶暴な色を露(あら)わにした!


 この火球こそ韓立が放ったものだ。小さな鏡と水晶玉の威力を目の当たりにした彼が、それらが敵の手に渡るのを放置するはずがない。黄衫の女は韓立の行動に驚き、声を上げそうになった!


 封岳はゆっくりと韓立へ視線を向けた。顔中の傷痕が動き出し、生きた蚯蚓(みみず)のように蠢(うごめ)き、見る者に寒気を走らせた。彼は凶悪に韓立をしばらく見つめると、突然口を開いた:


「お前たち、どう死にたい? 一刀一刀(いっとういっとう)で肉を削(そ)がれて死ぬか? それとも大火で肉を一寸(いっすん)ずつ焼(や)かれて死ぬか?」


 黄衫の女はそれを聞き、体を震わせ、顔面蒼白(がんめんそうはく)になった。もはや心中の恐怖を抑えきれず、思わず左右を盗み見て、別の案を考え始めた。


「お前が死ねばいい!」韓立は微笑みながら答えた。その笑顔は非常に自然で、明るかった!


注釈**


**頂級法器(ちょうきゅうほうき)**: 最上級の法具。圧倒的な威力を持つ。


**水晶玉(すいしょうぎょく)**: 桃色の液体を噴射し、法器を侵食する掩月宗(えんげつしゅう)の特殊法器。


**銀鉤(ぎんこう)**: 鉤爪(かぎづめ)型の上級攻撃法器。


**青索(せいさく)**: 紐状の拘束用上級法器。


**符宝(ふほう)**: 法宝(ほうほう)の一部の威能を封じ込めた特殊な符籙。通常の符籙よりはるかに強力。


**金光磚(きんこうせん)**: 金磚(きんせん)型の符宝。巨大化させて圧殺する。


**法訣(ほうけつ)**: 法術や法器を発動させるための印や呪文。


**護幕(ごまく)**: 法力で形成する防御用の光の壁。


**天闕堡(てんけつほう)**: 修仙者の派閥の一つ。


**封岳(ほうがく)**: 天闕堡の十三層頂点の高手(こうしゅ)。「狂人」の異名を持つ。


**収納袋(しゅうのうたい)**: 内部に広大な空間を持つ特殊な袋。物品の収納に用いる。


**宝器持ちの女(たからもちのおんな)**: 多くの強力な法器を持つ女性。掩月宗の長老の子孫。


**功法(こうほう)**: 修仙の修行体系とその段階(例:十三層頂点)。


**丈(じょう)/尺(しゃく)/寸(すん)**: 距離の単位(1丈≈3m、1尺≈30cm、1寸≈3cm)。修仙世界観で用いられる。


**狂人(きょうじん)**: 狂気じみた戦闘スタイルや性格を持つ者に対する異名。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。