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『凡人修仙伝』: 不死身を目指してただ逃げてたら、いつのまにか最強になってた  作者: 白吊带
第二卷: 煉気編一初めて世間に·血色禁地
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封岳の過去

 

 封岳の醜悪な顔がさらに歪(ゆが)んだ。彼は万が一にも相手が自分を愚弄(ぐろう)するとは思いもよらず、心の炎が「ドッ」と燃え上がった。


 彼はかつて**築基(ちくき)**に失敗したものの、数点の優れた法器(ほうき)と凶暴(きょうぼう)で毒辣(どくらつ)な手口で、各派の低階弟子たちの間では恐るべき悪名を轟(とどろ)かせていた!


 知っておくべきは、彼は因縁(いんねん)からある修仙者(しゅうせんしゃ)を暗い部屋に閉じ込め、三日三晩も苦しめ続け、昼夜を問わず絶え間なく哀号(あいごう)を上げさせた末に殺害したという凶残(きょうざん)な記録を持っていることだ。


 普通の弟子たちは、彼の実物を見るどころか、その名を聞くだけで顔面蒼白(がんめんそうはく)となり、即座に逃げ出すほどだった。


 このような悪名により、彼はとっくに自分を快く思わない**築基期(ちくきき)**の修士たちに因縁を付けられ、始末されていてもおかしくなかった。しかし彼は狡猾(こうかつ)にも、低階修仙者には凶悪無比(きょうあくむひ)に振る舞う一方で、実力がはるかに上回る者にはすぐに風の便りを聞いて逃げ出し、天闕堡(てんけつほう)へ避難していた。そして天闕堡の人々は自派の威信(いしん)のために、当然彼を引き渡したりはしない。


 そのため彼を追う者たちは**鼠を撃てば器を傷つける(ねずみをうてばうつわをきずつける)**を恐れ、ただ歯軋(はぎし)りしながら彼の自由奔放(じゆうほんぽう)ぶりを見ているしかなかった。


 そして追跡の風当たりが弱まると、封岳は再び大手(おおで)を振って堡(ほう)を出て、他の修仙者たちを残酷に虐(しいた)げる。こうしたことが幾度か繰り返されると、高名な者たちも鼻をつまんで認めるしかなく、もはや関わろうとはしなかった! 何しろ封岳も分別(ふんべつ)はあり、後ろ盾(だて)のある者には手を出さず、彼らの身内を傷つける可能性はなかったからだ。


 こうして封岳は七大宗門(しちだいしゅうもん)の中で、その凶炎(きょうえん)をさらに燃え上がらせ、悪名を広めた! これが彼自身をますます傍若無人(ぼうじゃくぶじん)にし、**唯我独尊(ゆいがどくそん)**、一言一句(いちごんいっく)たりとも逆らえない驕傲(きょうごう)な心性(しんせい)を育んでいったのだ! ごく一部の名が彼に劣らない他派の弟子を除き、もはや他の低階修士など眼中になかった!


 だが今、たかが十一層の新米(しんまい)である韓立(かりゅう)が、自分を殺すなどと言い放った。慢心(まんしん)に慣れきった封岳が激怒しないわけがない!


「死にたけりゃ仕方ねえな!」


 逆上(ぎゃくじょう)した封岳は、韓立に一秒でも長く生きさせるつもりはなかった。指先で目前の小刀をかざすと、それは一道の黄虹(こうこう)と化し、韓立の頭へ一直線に飛んだ。一刀で相手の首を刎(は)ねるつもりだ。彼は確信していた。相手は青く光る水属性の**防御幕(ぼうぎょまく)**を張っているが、自分の符宝(ふほう)の一撃の前では、幕が破れ人も死ぬだろうと。


 韓立は、相手を思うままにはさせなかった。声色(こわいろ)を変えずに手を上げると、黒い小さな盾が手から離れ、小さなものから大きなものへと変化し、祭り出された。ちょうど二丈(にじょう)離れた場所で、黄光をがっちりと阻(はば)んだのだ。


 小刀の黄光と盾面の黒い光が接触すると、「キイキイ」という摩擦音が響いた。黄光がすぐに優位に立ち、黒光を押し戻したものの、小盾も黙ってはいなかった。黒光を持続的に放ち、頑強(がんきょう)に抵抗を続ける。


 こうして、黄光は一時的に盾を破れなくなった。


 この光景を見て、封岳は意外そうな表情を浮かべ、韓立はほっと息をついた。


 封岳は韓立が珍しい頂級防御法器(ちょうきゅうぼうぎょほうき)を持っているとは予想しておらず、韓立は自身の推測が正しかったと安堵(あんど)したのだ。


 彼がこの**飛天盾(ひてんじゅん)**で相手の符宝を防ぐのは、実は少なからぬリスクを伴っていた。もし相手の符宝の威力が予想をはるかに上回れば、とっくに首が飛んでいただろう。


 あの日、「陸師兄(りくしけい)」と対峙した時、頂級法器である**青蛟旗(せいこうき)**一つで相手の**飛剣符宝(ひけんふほう)**と長時間対抗できた。封岳の小刀の威力が多少大きくても、自分のこの飛天盾は一時的には防げるはずだ。


 以上の考えから、韓立は危険を冒して試したのだった。


 当面の危険がないと見るや、韓立は即座に「**金光磚(きんこうせん)**」符宝を手に取り、祭り出して相手を一撃で葬ろうとした!


 しかし彼が霊力(れいりょく)を調(ととの)え、行使を始める間もなく、向かいの封岳が突然怒鳴った:

「淫売(いんばい)め! どこへ逃げるつもりだ!?」


 続けてその身を一閃(いっせん)、たちまち別の密林の縁に現れ、一人の人物の行く手を塞(ふさ)いだ。


 こそこそと密林へ逃げ込もうとしていたのは、なんとあの黄衫(おうさん)の女だった。


 どうやらこの女は、自分たちに勝ち目がないと悟り、さらに封岳の悪名を恐れたため、韓立と封岳が戦っている隙に、こっそりと逃亡を図っていたらしい。


 韓立はこの女の行動をとっくに見抜いていたが、内心苛立(いらだ)ちながらも構う気はなかった。


 相手がここにいても何の助けにもならないなら、行くか留まるかは彼女の自由だ!


 しかし相手が先に彼らの連携を裏切った以上、彼はこの女の逃亡を阻むつもりはないが、もう一切の助力も行わない。自ら生きる道を探させるまでだ!


 韓立は冷たくこの女を無視しようとしたが、すでに怒り心頭(いかりしんとう)の封岳はそう簡単には騙(だま)されなかった。


 彼は韓立の先ほどの言葉で黄衫の女まで恨みを抱いており、女が逃げようとするのを当然許すはずがない! だから飛び上がって黄衫の女の行く手を塞いだのだ。


 韓立の師姉(しけい)はこれを見て、普通の人間のように振り返って逃げ出した。すべての法術を忘れてしまったようだ。


 封岳はこれを見て、醜い顔を数度ピクピクさせると、くるりと身を回した。すると彼は再び奇怪にも女の前に立ち塞がり、ためらうことなく手を上げた。黄光を放つ大きな手が、女の胸を直接貫き、背中から突き出た。それは血まみれの手へと変貌(へんぼう)した。


 黄衫の女の屍体(したい)は地面へ倒れ込み、両目は大きく見開かれたが、もはや光はなかった。死の間際、彼女は韓立の側から軽率に離れた行動を後悔したかもしれない。だがこの世に後悔薬(こうかいぐすり)など存在しない!


 相手がもはや法器も大威力符籙(だいいりょくふろく)も持たないと知り、接近戦で黄衫の女を殺害した封岳は、手を引き抜くと、わざとらしくまだ滴(したた)る血の粒を指で舐(な)めた。それから残忍な笑みを浮かべて韓立を見つめた。


 防御幕の内にいる韓立は青ざめた顔で、唇を固く結んでいる。大声で叫んではいないが、すっかり度を失っているに違いない。封岳は得意げにそう考えた。


 彼がかつて敵に容易く勝利できたのは、実はその悪名のおかげが大半だった。彼と戦う者は、彼の手に落ちた時の生き地獄(いきじごく)を思うだけで、戦う前から三分の怖気(おじけ)づき、実力が大きく減退(げんたい)し、敗北は必然となった。


 今、封岳は韓立の功法(こうほう)こそ深くないものの、所持する法器が実に弱くないと見た。そこで相変わらずこの手を使って相手を脅かし、全力で戦えなくさせ、大いに得をしようと考えた。


 今の韓立の表情を見る限り、どうやら手は奏功(そうこう)したようだ。内心ほくそ笑む封岳は、少し見せびらかすように足下を数度揺らすと、再び韓立と対峙(たいじ)する元の位置へ戻った。


 韓立の顔色は確かに悪く、心の中は言い表せない味わいだった。しかしそれは相手の血なまぐさい手口のためではない。相手の稲妻(いなずま)のような身のこなしに非常に頭を痛めていたのだ。


 韓立が前回「金光磚」符宝を使用した時、すでに気づいていた。この一見飛剣符宝をはるかに超える威力を持つ品は、実際の戦闘では重大な欠陥(けっかん)があると。


 その破壊力は確かに驚異的だ。基本的にこれに直撃されれば、低階修仙者は絶対に生き残れない。たとえどれほどの法器と防御幕を持っていようとも、大して変わらない。しかしこの符宝の弱点も同様に明白(めいはく)だった。使用者の膨大な法力(ほうりき)を吸い取らなければ操れないだけでなく、その速度と機敏さは実に言葉にならないほど遅いのだ。


 事前に相手を拘束(こうそく)したり閉じ込めたりできれば、この符宝は当然大いに功を奏し、敵を殺すにはこれ以上の利器はない。しかし金光磚単独で敵を殺そうなど、夢のまた夢だ。相手の法力が尽きない限り、いくつかの**加持術(かじじゅつ)**をかけるだけで、誰でも容易くこの宝の攻撃を避けられる。


 つまりこの「金光磚」符宝は、飛剣符宝や封岳の小刀符宝のような**持久戦型(じきゅうせんがた)**の法宝(ほうほう)ではなく、純粋に大威力を追求した利器であり、天闕堡の**結丹期(けったんき)**高手(こうしゅ)の**大印法宝(だいいんほうほう)**と同類のものなのだ。


 韓立は相手を拘束する法器も符籙(ふろく)も持っていないため、当初は数振りの金刃(きんじん)で敵を足止めし、その後金光磚で不意を突いて奇襲(きしゅう)をかける計画だった。韓立の考えでは、成功を保証はできなくとも、少なくとも五分の確率はあるはずだった!


 しかし今、封岳の身のこなしを見て、韓立はこれが全くの妄想(もうそう)だと悟った。相手が示した**羅煙歩(らえんほ)**に劣らない速度を持てば、一時的に法器の拘束を脱するなど造作(ぞうさ)もないことだ。


 韓立は内心ひどく悔しがったが、同時に疑問も抱いた。もしかするとこの封岳も、自分と同じく俗世(ぞくせ)の武術家出身なのではないか?



注釈**


**築基(ちくき)**: 修仙の基礎段階を突破すること。失敗すると低階層に留まる。


**鼠を撃てば器を傷つける(ねずみをうてばうつわをきずつける)**: 「投鼠忌器(とうそきき)」の意。鼠を撃てば器物を壊す恐れがあるように、行動すると二次被害が生じる喩え。


**唯我独尊(ゆいがどくそん)**: 自分だけが最も優れていると考える傲慢な態度。


**天闕堡(てんけつほう)**: 修仙者の派閥の一つ。


**防御幕(ぼうぎょまく)**: 法力で形成する防御用の光の壁。


**符宝(ふほう)**: 法宝(ほうほう)の一部の威能を封じ込めた特殊な符籙。通常の符籙よりはるかに強力。


**飛天盾(ひてんじゅん)**: 飛行・防御機能を持つ盾型の頂級法器(ちょうきゅうほうき)。


**青蛟旗(せいこうき)**: 青い蛟(みずち)の力を持つ旗型の頂級法器。


**飛剣符宝(ひけんふほう)**: 飛翔する剣型の符宝。


**金光磚(きんこうせん)**: 金磚(きんせん)型の符宝。巨大化させて圧殺する。


**加持術(かじじゅつ)**: 速度や防御力などを一時的に強化する補助法術。


**持久戦型(じきゅうせんがた)**: 長時間の戦闘を想定した特性を持つ法宝や法器。


**結丹期(けったんき)**: 築基期の上の修仙段階。金丹を結ぶ。


**大印法宝(だいいんほうほう)**: 巨大な印型の法宝。一撃の破壊力に特化。


**羅煙歩(らえんほ)**: 煙のように捉えどころのない高速移動術。俗世の武術に由来。


**功法(こうほう)**: 修仙の修行体系とその段階(例:十一層)。

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