↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
零の均衡(ゼロ・バランス) ―兵器になった女・葵―  作者: 矢寿紀張
第五章 急変

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/20

第三話 侵略

 モニターに映ったのは紛れもなくキーナ国の国旗だった。

「やはり奴らか。」

 その瞬間、けたたましく警報音が鳴り響いた。F-15(イーグル)からだった。

「どうした?何があった?」

「ロックオンされました。」

「レーダーにはミサイルの機影はありません。」

「偵察は中止だ、全速離脱して帰投せよ。」

「了解しました。」

 F-15(イーグル)はアフターバーナーを全開にして日入島空域を離脱した。

「総理、大変なことになりました。」

「急いでキーナ国大使を官邸に呼んでください。」

「報道はどうしますか?」

「報道管制します。まだ相手の出方がわかりません。ここにいる者のみの情報共有でお願いします。管制解除は私のほうで適宜判断して伝えます。」

 首相は中途半端な情報で国民がパニックになることを恐れて、当面は公表を控えることにした。

「状況確認が必要ですが、どうしたらよいものか。」

「航空機は使えそうもないですね。」

「偵察衛星の画像はどうだ?」

「不鮮明で変化は認められません。」

「ロックオンした以上、地対空ミサイルくらいは持ち込んでいると考えてもよさそうだ。」

「アメリカの偵察衛星画像をもらえませんか。」

「国防大臣、依頼できそうですか?」

「総理から依頼してもらったほうが効果的でしょう。」

「わかりました、交渉します。」

 総理はそう言うと、モニターがいったん消えた。

「直接見に行くしかなさそうです。」

「朝霞からレンジャー中隊が石垣島に派遣されています。もともとレーダー基地護衛任務のために配置されていますから、彼らを偵察に向かわせてはどうでしょうか?」

「そうだな、それがいいだろう。翌未明0100(マルヒトマルマル)決行とすると2000(ニーマルマルマル)には石垣を出る必要があるが、ひゅうがは石垣にいつ帰投できそうかな?」

「今の予定では、1100(ヒトヒトマルマル)になります。」

「石垣島でその間に準備は可能か?」

「はい、やります。」

「よし、では明朝未明0100(マルヒトマルマル)に日入島に偵察上陸作戦を決行する。」

 大脇指令長官が作戦決行を決断した。

「やばい。ちょっと席を外します。」

 そう言って霧島は作戦室を飛び出した。

「どこへ行くんだ。」

 そう言いながら中里も後を追った。

 霧島はプロジェクト室に戻り、電話をしていた。

「私だ、早朝に申し訳ない。くわしくは言えないが緊急事態になった。研究室にあるLSC(生命維持カプセル)はすぐに使える状態か?」

「2台は使えますが、まだ試験は完了していないです。」

「それは承知している。」

「水素発電機の試験を中断して、もう1台動かすようにすることはできるか?」

「カプセル側の改造は終わっていますから、1時間もかからないです。」

「わかった。申し訳ないがすぐに登庁して着手してくれ。そしてそれを入間まで運んでほしい。時間はそうだな、1000(ヒトマルマルマル)までだ。できそうか?」

「はい、了解しました。1000(ヒトマルマルマル)までに入間までLSC(生命維持カプセル)3台を搬入します。」

「よろしく頼む。」

「次はパワースーツだな。」

「私だ、朝からすまないが、緊急事態だ。旧式のパワースーツで稼働できるのは何台あるか?」

「バッテリーを入れれば動かせるのは2台だけです。」

「そうか、ではそれを1000(ヒトマルマルマル)までに入間に搬入してほしい。可能か?」

「持っていくだけであれば問題ないです。」

「ではお願いする。」

 霧島は電話を切った。

「いったい何を企んでいる?」

 中里が不審に思い尋ねた。

「葵が行くことになると思う。」

「なにっ・・・」

「あいつは今は石垣島にいる。さっき言った中隊は葵の中隊だ。」

「そんな・・・」

「今私ができることは、不完全ながらこれらの装備を届ける事だけだ。」

「なぜ、黙っていた。」

「言って、どうなる。今それをここで言ってもどうにもならない。あとは入間から石垣までの手配が必要だ。定期便に載せられれば良いが・・・・」

「よし、直談判する。」

 中里は霧島を連れて作戦室に戻った。

 総理はすでに戻っていた。

「すまない、アメリカ軍の偵察衛星の件はどうなった。」

 中里は傍らの士官に聞いた。

「占領された時点で領土問題になるから介入しないってさ。」

 不機嫌そうに回答してきた。

「やはりそう出るか。」

 中里は空防幕僚長を探した。

 隅で、陸防幕僚長と話をしている。

「ちょうどよい。行くぞ。」

「お話し中すみません。先ほどの偵察作戦に持って行ってもらいたいものがあります。何とか入間から石垣まで移送でないでしょうか。」

「何を持っていくんだ。」

「パワースーツとLSC(生命維持カプセル)です。どちらも開発中の試作ですが、丸腰で行く以上、現状で支援できる最大の装備です。」

「確かに、火器は持ってはいくが、彼らの判断で撃つことは許されないだろう。」

「那覇から石垣に必要な物資輸送を行う。1600(ヒトロクマルマル)に出発する。そこまでに間に合えばひゅうがに積める。」

「入間に1000(ヒトマルマルマル)までに搬入します。白井幕僚長、そこから那覇まで搬送をお願いできますか?」

「わかった。C-2(ブルーホエール)を飛ばすように指示を出す。」

「ありがとうございます。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。