第四話 潜入
ひゅうがは定刻に石垣沖を離れた。日入島に到着するまでに装備の確認をした。
葵は入間から届いた荷物に気が付いた。
「信二からだ。」
葵宛のメッセージがついていた。
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如月中尉殿
パワースーツは試作検討したものと同じです。要領はレクチャーしてあげてください。LSCを送ります。使わないことが一番ですが、使い方はマニュアルに記載してあります。
もし、このカプセルを残して撤退するときは自爆装置をセットして機密を守ってください。
霧島信二
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「信二ありがとう。」
葵はなぜ霧島が今回の出動を知っているかという点に気づくことはなかった。
2230、ひゅうがは日入島沖合15キロの位置に停泊した。すでにエンジンを停止して惰力でここまで来た。灯火類もレーダーも切って闇に紛れている。
「この辺は水深が深いから錨も下せないか。」
潜入部隊は、大江司令、如月中尉、小隊長の早田少尉、以下7名の隊員で構成された。
ひゅうがから日入島まではゴムボートに装備品を曳航して近づくことになっている。
ボートを海上に下ろし、装備品を搭載した。
「ご武運を祈ります。」
ひゅうが艦長は10名に対して敬礼をしながら見送った。
潜入隊は、島まで2キロの地点で念のためボートのエンジンを切り、手漕ぎで進めた。海はなぎだったため、体力を奪われることはなかった。
0030予定より少し早く、日入島のレーダー基地からちょうど反対側にある浜に上陸した。すでに1日が経過しているので、この辺りも敵の警戒網ができている可能性はあるが、浜の周辺には敵影はない。暗視カメラにも反応はない。銃を構え警戒しながら、ボートを引き上げ、装備品を準備した。
「この時間は満潮に近いですからこの位置に固定しましょう。」
そう言って、隊員はボートが流されないように固定している。LSCはこの場所に待機させておく。2名を連絡要員としてこの場で待機させ、パワースーツ2台を隊員が操りながら、残りの8名は島の奥に進んでいった。
日入島は火山島で、斜面はかなり急峻である。そのせいかまだ敵の監視は行き届いていないようだ。
島の中央を超えて、大きな尾根に達した。この尾根の向こうにレーダー基地はある。そこは敵の勢力範囲と考えたほうが良い。
いったん尾根の下で体制を整える。尾根を上るには試作品のパワースーツではパワー不足であるため、ここに置いておく。
「私が先発隊として見に行きます。」
葵が申し出た。
「いえ、中隊長がいくまでもないです。私が行きます。」
小隊長が言った
「私の目でじかに確かめたい。そうでないと、この先にどうするかの判断がむつかしい。」
そう言って尾根を上り始めた。
尾根の上までくれば基地は一望できる。
葵は暗視カメラで基地のほうを見た。
「何だ、あれは。連絡しなきゃ。」
無線機のスイッチを入れた。
左目の下に赤い光が見えた。無線機のLow Batteryインジケーターだった。
その瞬間左ほほに熱いものを感じて後ろに転倒した。
「しまった。見つかった。」
左目の視力がない。右目で見える上空の星空の中を一つの光点が迫ってくるのが見える。
「まずい!」
しかし、遅かった。あたりは閃光に包まれてしまい、葵の意識はそこで途絶えた。




