第二話 日入島
それは何の前触れもなく突然発生した。
夜中に日入島の工事本部から市ヶ谷に入電があった。
「正体不明の一団からの攻撃を受けています。撤退します。」
レーダー基地工事現場が急襲されたようだ。
緊急招集がかかり、霧島も中里も飛び起きて登庁した。
中央作戦指令室のモニターは官邸とつながっている。総理も官房長官もすでに待機している。
国防大臣は市ヶ谷に来ている。時間は午前3時少し前だった。
「報告します。発生0218、市ヶ谷入電0225、敵正体は不明。」
「現地の隊員はどうなっているのか?」
「応答がありません。」
「近くにいる護衛艦ひゅうがを日入島に向かわせました。到着時刻はおよそ0500」
「今から、2時間後か。隊員との連絡を試みてくれ。」
「全く状況がわからん。いったい何が起きたんだ。」
天海国防大臣は頭を抱えていた。
「総理、ご覧のように我々もまだ何もつかめていない状態で申し訳ありません。」
「わかりました。ではわかり次第連絡をください。私はアメリカ政府とコンタクトしておきます。」
総理はそう言って会議室を出ていった。モニターには官房長官だけが残った。
「夜明けとともに那覇から偵察に向かうように連絡をしておけ。」
天海大臣が空防幕僚長に指示した。
「はい、わかりました。那覇基地の中神司令、聞いての通りだ。夜明けとともにF-15DJを偵察に向かわせてくれ。ビデオカメラをもって、直接市ヶ谷まで配信を頼む。」
「わかりました。直ちに手配します。」
「米軍横須賀基地より入電、空母ジョン・F・ケネディが近いため、支援に向かうとのことです。」
しばらくはたいした情報もなく膠着状態が続く。霧島は固唾をのんでモニター画面に次々と入る情報を注視していた。
「日入島工事隊より入電しました。全員無事脱出。」
それを聞いて大江司令がすぐに指示を出した。
「石垣島の救難ヘリは準備できているな。すぐに出せ。」
「本艦からも救助に向かわせます。」
護衛艦ひゅうが艦長も続いた。指令室に安どの雰囲気が流れた。
やがて、全員がひゅうがに回収されたことが確認できたころには東京は空が白み始めていた。
ひゅうがとジョン・F・ケネディはそのまま警戒のため待機しているが、何の動きもない。
「日入島はまだ暗いですかね。」
総理が聞いた。
「石垣です。まだ目視確認には暗いですね。あと1時間ほどですか。」
「わかりました。待ちましょう。」
それを聞いていた中神司令は時計をちらちら見ながら、どこかに電話をしているようだった。
「F-15離陸します。」
中神司令からだった。
「まだ早くないか?」
「高感度カメラも積みました。」
モニター画面の右隅にF-15からの映像が加わった。まだ真っ暗で何も見えない。
「まもなく日入島です。」
画面は少し明るくなってきた。しばらくして日入島の輪郭が見えてきた。
「レーダー基地上空を偵察します。」
映像に建設中のレーダー基地が映った。そこに何か見慣れないものがある。
「最大限にズームアップしてくれ。」
その指示と同時にモニター側も全画面表示に切り替わった。
そして、そこに映ったものを見て全員が驚愕した。
日入島全景




