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Cr3-19


「トウマ様。シェルさん。

 どうぞ、こちらへお座りください。

 国内城下町へ入る為の行程を、

 お話致します。」




キルケの存在を無視するように、ラウンは

二人をテーブル椅子の方へ促す。



それを鼻で笑い、黒い何かの武器を

弄び始める。


そんな狩人の女を気にしながら

シェライアは、トウマの後に続き

テーブル椅子へ腰を下ろした。




「ここから先、デオルタールという荒野を

 通るのですが······

 とある『ロ・フヴァ』の巣窟に

 なっておりまして。近年、また更に

 数が増えています。」


「その事情は、聞いている。」


「隣国オリューゲンを通り迂回する

 行程もございますが、治安が悪く

 盗賊に狙われる被害が発生しております。

 安全に通れるように

 特設された道がありますが、

 高額な通行証書が必要になる上

 国へ申請する時間がかかります。

 滞在期間が二週間という

 ご提示がありますので、今回

 荒野を抜ける手筈となりました。」




最善の配慮と思える。



丁寧に紡がれた内容は、

やむを得ない事情を把握できた。




「我がランドーラ国は、マグリヤ国程の

 豊かさも規模も大きくはありませんが、

 自然法による秩序と恩恵を

 心より重んじております。

 それは、大陸一であると。

 今回の、同盟を結びたいとのご提示は

 誠に感慨深く存じます。」


「あー。堅い堅い。」




野次が飛んでも、ラウンは

真摯な表情を崩さず頭を垂れた。



その使者を、トウマは真っ直ぐに見据える。




「······今回、この経緯に至ったのは

 その真意を確かめる為だ。

 見極めた上、同盟に至りたいと

 願っている。」




紡がれた彼の言葉に、

引っ掛かりを覚えたのか。


上がった顔に、戸惑いの色が浮かんでいた。




「真意を、見極めるとは······何か、

 踏み切れないところが

 おありなのでしょうか?」




彼女は、彼に目を向けた。

その視線を感じ取ったのか、一瞥する。



二人の考えは、一致していた。




「······毎年、俺と『エ・ルミィス』である

 シェライアの誕生日には、貴国から

 書簡が届いていた。」


「はい。それは勿論、存じております。」


「その内容は······」


「あっ、あの。トウマ様。

 書簡に記された内容を、

 使者の私が知るのは厳罰に処します。」


「この場所だけの話として、

 聞きたいことがある。」


「そ、それはっ······」


「いいね。秘密を共有するのは、

 嫌いじゃないよ。」


「お前は黙っていろっ。」


「ははっ。臆病者。」


「ラウン。その疑念が解消しなければ

 今後の話は、難しくなる。」


「······」





ラウンは、頭を抱える。




これは。こちらとしても、賭けに近い。



ただ。

窺えるラウンの誠実さと。

揺るがない信念を持つキルケなら。


味方にできるのではないか。

上手く探れるのではないか、と。


直感的に思えたのだ。




内部へ潜り込む前に。

万が一の時の為に。


逃げ道を、作っておきたい。





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