↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/84

Cr3-18


明るい赤毛。

片側は刈り上げ、もう一方は編み込み。

左右非対称という髪型は、不思議と

くっきりした顔に似合っていた。


頬と、際どく開いた胸元には

何かの印が彫られている。

表すものは不明だが、一度目に映すと

忘れないくらいに印象強い。



カシャン、と。黒くて重そうな何かを

組み立て終わると、その女は

大きな琥珀色の双眸を二人に向ける。


すると、大輪の花が咲いたように

笑顔になった。




「何だ。今度は、子どもの護衛か。」




よく通る声で放たれた言葉に、当人たちは

ぽかんとする。




「キルケっ!!」




叱りつけるように放った

ラウンの表情は、青ざめている。




「あははっ。どうした、ラウン?

 面白い顔して。」


「言葉に気をつけろっ!」


「子どもに、子どもと言って何が悪い?」


「お前はっ······何てことをっ」




どうやら。

私たちは、子どもだと認識されたようだ。



妙に可笑しくなって、シェライアは笑う。




「確かに、成人したばかりの若輩者だ。

 間違いではない。」




トウマも、腹を立てている様子はなく。

穏やかに言葉を返した。


女―キルケは、じっと彼を見据えて笑う。




「流石、大物の片鱗があるね。

 ラウンとは違う。」


「狩人か?」


「国お抱えの、ね。」


「手に持つ、それは武器か?」


「そうだ。大事な相棒さ。」


「形状では、どのような物か分からんな。」


「それは、使った時のお楽しみに

 しておいて。······王子サマ。

 その腰に付けているのは、剣か?」


「······ああ。」


「ただの飾りではなさそうだ。

 それを振るうの、早く見たいね。」




自然と会話する彼とキルケに、今度はラウンが

ぽかんとしている。



それには彼女も、意外だと思った。



武人同士だと、垣根がないのだろうか。




「私は、キルケ。見ての通りいい女さ。

 臆病者のラウンとは、腐れ縁でね。」


「おい······」


「何者であろうが、

 私を制することはできない。

 雇われてはいるけど、食っていく為だ。」




はっきりとした、意思表示。


その潔さが、羨ましくもあり

好感が持てる。



彼女と同様だったのか、彼の表情は

曇ることなく穏やかだった。



ただ一人。ラウンを除いては。




「大変、申し訳ありません······

 礼儀を知らない奴でありまして·····

 どうか、お許しください。」



深々と、折れ曲がるくらいに頭を下げる様を

キルケは、可笑しそうに眺めている。



「いや、構わない。」


「そちらの可愛い従者さんも、

 しっかり護衛してやるから安心しな。」


「だからっ!態度も言葉遣いも

 お前はっ······!」



とても、頼もしい。



「護衛してもらえるのは有難いが、俺も

 それなりに戦える。」


「へぇ、そう。それは助かるね。

 言っとくけど、半端なく多いから。

 覚悟しておいて。」




多い、とは。


それは、多分。

『ロ・フヴァ』の事を指すのだろう。




「その、頬に付いた傷どころでは

 済まないかもよ。」




キルケは、妖しい微笑みを浮かべる。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。