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Cr2-22


港町まで林道が設けられており、

それを辿れば一日かからずに到着できる。


しかし、彼と待ち合わせた場所は

それから少し逸れて、山へと向かう道だ。

今では、立ち入り禁止区域になっている。



その分かれ道に差し掛かり、

彼女は思いふける。




好奇心に押されるまま、ここを歩いていき。

踏み込んで、傷を負ってしまった。


それは、恐怖も植え付けられて。

今でも疼く時がある。


私が負った傷よりも、

彼の方が重傷だった。

“カフ・ドランドー”が振り落とした爪から

私を庇った為に、背中を抉られて。

それにも関わらず、私の手を引き

必死に逃げて、隠れた。



私を心配した、彼の顔は。

私よりも青ざめていた。



脅威を受けて命を失う怖さよりも。


彼を失うかもしれないという怖さの方が、

大きかった。




お願いだから。死なないで。


私は、大丈夫だから。



必死に平静さを装い、笑顔を作った。




今思えば、本当に。

助かったのは、奇跡だった。





「······あの、シェライア様。

 いかがなさいましたか?」




恐る恐る掛けられる声で、我に返る。




「······ううん。立ち止まって、

 ごめんなさい。行きましょう。」




その傷痕は。今でも、

大きく背中に残っているだろう。


私の足と同様に。



それが、呪縛を強めることに

なってしまったのも。




「ここからは失礼して、

 私が先導いたします。」


「道が荒れておりますので、

 お気をつけください。」


「ええ。ありがとう。」




ヒルドを先頭に、シェライア、カデという

順番で、縦に並んで歩いていく。



進んでいくにつれて、道が険しくなり

景色が鬱蒼となっていった。



蘇る記憶と恐怖に。

少し、震え出す。




「少し、休憩なさいますか?」



それを察知したのか、

後ろから声を掛けられた。



「······いいえ、大丈夫よ。」




今は、もう。

彼も私も、成長した。


それなりに、変わった。


だから、大丈夫。



······



言い聞かせる時点で、正常ではないわね。


強がっても、駄目だわ。





震える身体を

自らの両手で抱きしめて、宥める。





トウマがいる場所へ、急ごう。





足取りを確かめつつ、進める。







すると。



ふと横目に映した視界に、何かが入り込む。




立ち止まり、茂みの方へ目を凝らす彼女に。


カデも足を止めて、視線を向けた。



「どうなさいましたか?」


「······ねぇ、カデ。あれ、何かしら?」




深い緑の中に。


自然物ではない物。




「······ヒルド!」



その呼び掛けで振り返り、

気付いて止まる。



「どうした?」


「あれを見ろ。」




鬱蒼とする茂みから、地面の方へ

視線を向けると。



黒と紫が混じるように染まった、

生地が見えた。





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