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Cr2-15


「······やはり、怖いか?」



怖くないといえば、嘘になるが。



「······出来れば、会いたくないけど······

 皆に被害が起こってからでは、遅いわ。」



調査、という形ならば。

奮い立たせることが出来る。



「無理しない、という前提なら。」


「分かった。肝に銘じよう。」



ほんの前の私ならば、

怯えるだけだったかもしれない。




すっ、と。彼女は立ち上がる。




「行きましょう。」




旅立ちは、三日後。


あと、僅かだ。




「ああ。」




素直に、彼も腰を上げる。




期待と、不安。


上手く混ざり合って、活力に繋がれば。


きっと、良い旅になるわ。
























シェライアが部屋に戻った後、トウマは

城内にある訓練場へ足を運んだ。



マグリヤの騎士たちは、日々ここで

鍛錬を行っている。

基礎の身体づくりを始め、

様々な武器を使用し、

実戦を想定しての対戦。



戦争に備える為ではなく、自衛の為に。

国が平和を保てるように。

民たちが、安全に過ごせるように。



それを信条として掲げ、腕を磨いている。




「これは、トウマさま。」


「御苦労。」




彼に話しかけた人物は。

騎士たちの頂点に立つ、将軍である。

鎧に刻まれたマグリヤの紋章の側に、

白銀の羽根が誇らしげに付いている。


トウマと同じくらいの背丈だが、

彼よりも一回り体格が大きい。




「貴方さまは、誠に。

 実に、熱心でありますな。」



日に焼けた顔で綻ぶ、刻まれた年輪は。

なぜか、人懐っこさを感じさせる。



「手合わせ願えるか。」


「御意にございます。」




彼の師匠であり、最大の壁。



初老男性の名は、

ミストラン・ヘッテラウガーという。




「真剣を使う。」


「それでは、剣を落とすまでと

 致しましょう。」




こうして、訪れてすぐに

話というものをせず始まる。



二人が、スラリと剣を抜くと。


皆が手を止めて、注目した。




トウマとミストランの手合わせは、

騎士たちの名物となっていた。



将軍に太刀打ち出来る相手は、現時点。

彼をおいて他にいない。



だが。毎日のように挑んでいるが。


一度も、勝ったことがない。




「重ねる毎に、貴方さまの成長が窺えて

 私は。非常に嬉しく思います。」




この、尊敬する師匠の手の内、癖を

知り尽くしているつもりだ。


それでも、勝てないのは。




「経験の豊富さは、どうやっても

 埋められん。」




実戦には、思いもよらぬ事態が発生する。

それを、経験してるかどうか。




「その通りでございます。ですが······」




大剣を構える姿は、誰もが威圧される。

手合わせに慣れた、今でも。




「経験では埋められないものがあります。

 それを、貴方さまはお持ちです。」




謎掛けのような言葉を、聞き入れながら。


彼は、彼女に与えられた剣を構える。




しん、と。静まり返る中。



どちらが先に動くのか。


皆、固唾を飲んで見守っている。





「私の剣を、落とせる。貴方さまならば。」




どこか、期待めいた響きが渡った後。



先に踏み込んだのは、彼の方だった。




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