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Cr2-13


思いつくものは、一通り揃えることができた。

あとは、実際何が必要なのか

旅を始めなければ分からない。


今の時点で満足のいく買い物を

済ませた二人は、

示し合わせたように足を運ぶ。



そこは、賑わいから少し遠のいた

城下町郊外が見渡せる場所。

大きな切り株があり、ちょうど二人分

腰を掛けることができる。


先客がいてもおかしくはない穴場なのだが、

いつ訪れても人影はない。

その理由を、シェライアは理解している。



風通りが良い場所は、

精霊の溜まり場となっている事が多い。

自然と聖域になり、人目が付かなくなる。


なので彼女にとっては、

切り株の上に留まっている雀たちが映る。



「ごめんなさい。ここに少し、

 座ってもいいかしら。」



その断りを、トウマは

静かに聞き流す。

向けられているのは精霊だと、

理解しているからだ。




『あら、久しぶり。』


『しばらく来なかったね。』


『ねーっ』


『ねーっ』


『しょうがないね〜』


『少しだけだよ。』




チュンチュンと騒いだ後、雀たちは

近くの城壁へ飛び移った。




「ありがとう。」



お礼の言葉が紡がれたら、

座っていいという合図である。


彼は、切り株へ歩み寄ると

背負っていた荷物を置いて腰を下ろす。



「色々買い込んだな。」



続くように、彼女も間隔を空けて座った。



「半分持つって言ったのに。」


「負荷が掛かって丁度いい。」



鍛錬として考えるのは素晴らしいが。



「従者として行くのだから、私も持たないと

 おかしいでしょう?」


「いざ旅立った時に、持ってもらう。」


「今から、慣れておかないと。」



歩くのは苦じゃないが。

荷物を持って歩くのは、不慣れだ。



「じゃあ、軽いやつだな。」




彼は笑って、受け入れない。



その配慮が意味するのは。




「······足はもう、大丈夫よ。」




ぽつりと零す。



その話題に、繋げる為に。




彼は、視線を遠くへ飛ばす。



その方向は。

深く刻まれた場所へ、向いている。




「······今なら、傷を負わせずに済んだ。」




口調は静かだが。


深い後悔が、染み込んでいる。




「······助かったのが、奇跡だったのよ。」




本来なら、あの時。

二人とも、命を落としていた。


今があるのは、奇跡。




「これくらいの傷で済んで、良かったのよ。

 あなたのせいじゃない。」


「もう二度と、傷を負わせない。」




強く告げる彼の表情は。


当時の色に染まっている。



彼女も、その方向へ視線を飛ばした。





幼い頃の冒険心が、災いした出来事。


どれだけ蒸し返しても、元には戻らない。





私に、縛られないで。



その言葉を告げればいい。



だけど。



それを今、紡ぐのは。





「······私も、強くなりたいわ。」





囁き程度の声音だったが。


遠くへ飛んでいた彼の視線を

戻すには、十分だった。




「あなたを護れるくらいに、強く。」




呪縛など、解けるくらいに。





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