Cr2-11
戦争孤児。日々、繋げること。亡命。
明るい一面しか目にしてこなかった
三人のメイドたちから、次々と
思いもよらない言葉が紡がれる事に。
シェライアは、自らの軽率さを痛感する。
「亡命するというのは······もう、戻れない事を
意味するわ。それに、容易ではないはず。
よく無事だったわね。」
三人は、顔を見合わせた後
深々と頭を下げた。
「申し訳ありません······」
「詳細を、申し上げることはできませんが
······手引きをしてくれる方がおりました。
私たちは、運が良かったのです。」
「その方のことも、
この粗末な命を捧げたとしても······
口を割ることはできません。
申し訳ありません。」
その謝罪に、彼女は首を横に振る。
「何も問わないわ。あなたたちが、
並々ならぬ覚悟でここへ渡ったことを
······私は、知れて良かったと思う。」
三人が、なぜここまで
私に仕えてくれるのか。
その心が、理解できたから。
彼女の言葉に、ようやく三人は
顔を綻ばせた。
「ここへ来た時、ちょうど
貴女さまとトウマさまが
お生まれになった日でした。
その時のマグリヤは、お祭り騒ぎで······
今でも忘れませんわ。」
「ご恩に報いようと、どのような形でも
お仕えしたいと······モルドワイルさまに
直談判することができたのです。
あれは、本当に奇跡でした。」
「貴女さまのように、快く
私たちをお許しになられて。
ダナント公爵さまに、
通していただきました。
お二人には、多大なるご恩があります。」
目を輝かせて、揚々と語る姿には。
嘘偽りなど、微塵もない。
この三人が、私に仕えることは。
信仰とか、そんな不確かなものではなく。
芯が通った意思が、あったから。
「······ありがとう。」
無意識に、感謝が零れる。
話してくれたことは勿論、自らの成長を
傍で支えてくれたことに。
出会わせてくれたことに。
「それは、私たちの方ですわ。」
「これからも、お傍にいさせてください。」
「お帰りを、お待ちしております。」
三人の笑顔が。
これ程に、眩しいと思ったことはない。
「お土産、買ってくるわね。」
心から、綻ぶ。
「そんなっ、滅相もないっ」
「お土産話で、十分でございますよ。」
「お二人のご無事を、心より
お祈りしております。」
初めてかもしれない。
三人を、愛おしく思えたのは。
「ええ。必ず戻ってくるわ。」
帰る場所があるというのは、恵まれている。
そして、笑顔で待ってくれる人が
在るというのも。
自覚させてくれたことに、
深く感謝したい。
一歩踏み出すことは。
大事なものを、気づかせてくれる機会だと。




