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Cr2-6


「ちょっと。幾ら何でも、

 あの態度は良くないわ。」



会議の打ち合わせなど、茶会から逃げる

口実でしかないだろう。


なので、あからさまに言葉をぶつけた。



怒りを露わにする彼女に、彼は

冷めた目を向ける。



「呑気に茶会を開く母上が悪い。

 それに、お前もだ。なぜ乗り気になる?」


「少しでも、和ませようとしたのよ。

 その気持ちが分からないの?」


「要らぬお世話だ。」


「そうだとしても」


「親が決めた、血統の為の婚約に

 親交など必要ない。」



それが、本音なのか。


いや、そうだとしたら尚更。

もう少し、対応を考えられないのか。



「お前は、受け入れているみたいだな。

 だからそうやって、余裕なのか。」


「余裕······?」


「顔見知りなんだろう?毎年、

 祝いの言葉を貰うくらいの。」


「話を、逸らさないで。」



余裕って、どういう意味よ。

何も知らないくせに。



互いに、睨み合う。



ここまでの口論は、初めてかもしれない。




「······あなたらしくないわ。」


「どこか、だ?」


「あからさまな態度を取るなんて。

 今までに、なかったわ。」



何事も、淡々と。やり過ごしていた。



「······これが、俺だ。」



そこで言葉を止めてしまうと。

意味深に聞こえる。



今までの事が、建て前であるかのように。



「成人を迎えたというのに、

 親の決め事に従順な方がおかしい。

 それを、表しているだけだ。」



鋭い目の奥に、灯る熱。


それは、この間目にしたものと同じだった。



「お前が、外に出たいと願うように。

 俺にも、願望がある。」



囚われて、逸らせない。



彼の、願望。

そんな、燃え盛るものが。


眠っていたのは知らなかった。



「それを叶える為に、意思を表すだけだ。

 例え困難でも。······お前が生み出した

 この剣の、呪縛を解くという意味を

 理解するのも。俺には重要だ。」




呪縛を解く、剣。


確かに、願ったけれど。




その意味を理解するのと、彼の願望が

どう作用しているのか。


今の彼女に知る由はない。



只々、その熱意が籠もった瞳を

見据えるしか。


何も、出来なかった。




「きっかけを与えた以上、

 見届けてもらうからな。シェライア。」




なぜか、今頃。

ティグロン茶の風味が、口の中に広がる。


新茶独特の、青臭さが。


彼女の鼓動を、騒がせた。



まるで。

それが、宿命だと言わんばかりに。


彼の言葉には、勢いがあった。




「······剣を悪用したら、承知しないわよ。」



貫くような視線に何とか耐えて、

口にできたのは。的を射ない強がりだった。



「どう映ろうが、突き進む。」



それに、ふっ、と。彼は綻ぶ。



浮かぶ、妙な悪戯っぽさに。


なぜか、鼓動が大きく波打った。




これが、何なのか。分からない。



ただ。


彼ならば、何かを起こしてしまうような。


そんな予感さえ、過ってしまう。



さっきまで燻っていた

イライラとチクチクが、嘘のように消え去り。


釣られて、頬を緩ませた。




「勿論、見届けるわ。」




あの件から、本当に。


私たちは、変わった気がするわ。








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