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Cr2-4


「お初に御目にかかります。私は、

 ファーラン・ナヲ・クゼイロゥと申します。

 シェライアさまとトウマさまに

 拝謁できる日を、

 心待ちにしておりました。」



肩の辺りで切り揃えられた、

淡い茶色の髪。

レースが施された薄桃色のドレス。

そして、ほんのり頬を赤く染めて

浮かべる微笑み。



ふわふわ。


纏うもの全てが、ふわふわだ。



ただ、丁寧な口調と示す礼節には。

培われた上品さがある。



クゼイロゥ。

ダナント卿の家臣の中に、確か

その名を持つ者がいた気がする。




「ほら、トウマ。ご挨拶なさい。」



何も浮かべず立ち尽くす彼を見兼ねて、

レイラが声をかけた。



「······御足労おかけして、申し訳ありません。

 トウマ・レゥ・ダナントです。」



会釈して告げる彼の表情に、綻びはない。


それに、シェライアは違和感を覚える。



普段の彼ならば、どんな時でも

こういう場での社交辞令は絶やさないのに。

初対面ならば、尚更だ。



「そんな、御足労だなんて······」



ふわふわと笑って、ファーランは返すが。

彼の仏頂面に、明らかに戸惑っている様子だ。



「クゼイロゥ伯爵に、こんな可憐なお嬢様が

 いらしたのは知らなかったわ。」



取り成すように、シェライアは微笑んで

言葉を掛けた。

それに便乗して、レイラも紡ぐ。



「幼少の頃、病気がちだったそうで

 ······社交の場に、顔を出す事が

 難しかったのですわ。」


「はい。両親に、大変心労をかけましたが

 ······今はもう、良くなりました。」



ふわふわと、柔らかく笑う。



本当に、可憐な方。

線が細くて、護ってあげたくなるような。


これは、ピッタリの相手では。



しかし、和ませる空気に

当てられているにも関わらず。


彼は、無表情のままだった。



知っている仲でも、気まずい部類である。



「さぁ。お席へ座りましょう。」



なのでレイラは、取り繕うように

微笑んで促す。




城内中央にある、花々が咲き誇る庭園。


職人の手入れが細部まで行き届いた

その場所は、城内にいる全ての者たちを

和ませている。



その真ん中に設けられた、円卓のテーブル。

囲むように、細い足の上品な椅子が

4脚置かれている。


丁度陽の光が、そこを照らすように

優しく差し込んでいた。



トウマとファーランが

向かい合うようにして、着座する。



茶器を乗せたワゴンより、

レイラのメイドたちが優雅に

ティーカップに茶を注いだ後。

それぞれの前に、恭しく

ソーサーとともに置いていく。


可愛らしい白磁の器に盛られたコルアは、

とても瑞々しい。




その間、ファーランはチラチラと

トウマを窺っていた。



野獣に怯える、小動物みたいに。



見兼ねたシェライアは、優しく話しかける。



「ティグロン茶は、お好きですか?」



その助け舟に、縋り付くように。

ふわふわと微笑んだ。



「はい。朝摘みのコルアとともに

 いただくのが、とても大好きです。」



それは。私と、気が合いそう。



「これからは、定期的に

 茶会を開きましょうね。」



レイラも輪に入り、和ませる。



「これから大事な勤務があるので、

 しばらくは難しいですが。」




盛り上げようとしたところへ、

水を差すように。


彼の言葉は、場を凍りつかせた。





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