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Cr2-3


議題が逸れた為、二人は

イェラハ(会議の間)から退出すると、

扉の側にレイラが立っていた。


専属のメイドたちを

控えさせているところを見ると、

見計らっていたのだろうか。



「お疲れ様です。」



労いの言葉を掛けて微笑む母親が、

何の目的で待ち構えていたのか。

分からずに、トウマは首を傾げて問う。



「どうしましたか、母上?」


「まぁ。伝えておいたでしょう?」



呆れたように聞き返されても尚、

心当たりがない様子だ。


勿論、シェライアも何のことか分からない為

静かに様子を窺っていると、

取り直すように笑顔を向けられた。



「差し支えなければ、シェライア様も御一緒に

 宜しいでしょうか?是非、

 お目通り願いたい者がおります。」



その発言で、ようやく彼は

思い出したらしい。ただ、

微妙な表情である。


それを察しながらも、シェライアは

受け入れるように微笑んで頷く。



「どのような方でしょうか?」


「この間、話題に上げた

 トウマの婚約者候補ですわ。」



······


なる程。



「それは是非、

 お会いしなければなりませんね。」



そう告げた彼女へ向けられる、

彼の視線が。


チクチクと刺さる。



「ふふっ。流石はシェライア様。

 ご理解が早うございますね。

 庭園に、席を設けておりますの。

 ティグロンの新茶をいただきながら、

 お話し致しましょう。」



ティグロンの新茶。それも、

味わう必要がある。



「コルアは、あるかしら。」


「抜かりなく、準備しております。」




チクチクと、刺さる。



ちらっと、彼を窺うと。

ただでさえ鋭い目が、吊り上がっていた。



明らかに、不機嫌さが滲み出ている。



「それでは参りましょう。」



そんな息子の様子もお構いなしに、レイラは

鼻歌交じりに庭園へ向かって歩き出す。



後を追おうと踏み出そうとした時、

冷ややかな声が投げられる。



「こんな時に、茶を飲んで

 お見合いしろというのか。」



トウマの言い分は分かる。だが。



「だからこそ、夫人は場を設けたのよ。

 これからランドーラへ行くとなると、

 益々機会がなくなるでしょう?

 どんな方かも分からないままなのは、

 良くないわ。」




この言葉に。


更に、不機嫌さが増したようだった。



しかし、言い返す事はなく。


彼女に背を向けて、歩いていく。




彼が、気が進まないのは

何となく理解できるが。


婚約者候補の人を、

何も知らないままというのは。

流石に宜しくないのでは。



······



なぜだろう。



彼の刺すような視線は、もうないというのに。


棘が残っているように、チクチクする。



きっと、これは。


自分の事を棚に上げた、罪悪感。



婚約とか、気が進まないのは

同じだというのに。


彼が幸せになるならと考えて、勧めるのは。

余計なお世話なのかもしれない。




左手首に光る、金色のそれを見つめた。




よく知らない方が、逆に割り切れるのでは。


友情を、恋愛感情に転換する方が。

難題のような気がする。






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