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Cr2-2



連日に渡り、モルドワイルと

ダナント卿率いる家臣たちは、

シェライアとトウマを含めて会議を行った。



“授与の儀”で起こった、細かい検証。


ランドーラ国の現状。

そして、探る為の対策。


国へ出向くという二人の主張は、最初

懸念の色を示す方が多かった。

しかし、歪んだ術式による精霊の呪縛と

彼女が生み出した剣が有効だという、

可能性について説くと。


渋々ながらも、了承を得る。


その中、最後まで慎重だったのは

クラマだった。



「公明正大に、二人がランドーラ国へ

 出向くという書状を送るのは、

 果たしてどうなのか。保険として、

 シェライア様の身柄は隠すべきでは。」



この意見に、同意する者が多かった。



「トウマ様の見事な腕前があるとはいえ、

 多勢となっては······」


「お二人の身が危険となった場合、

 報せる目付が必要なのでは。」


「やはり、お二人だけでというのは······」



家臣たちの意見は、収拾がつかない。



どうしたものかとシェライアが

考えていると、制するようにトウマが

手を挙げた後、言する。



「二人で行く事に意味がある。

 こちらに、戦争を仕掛ける意はない。

 それを示さなくては。

 探る為だと、勘付かれないように。

 “面白いものを御覧に入れましょう”という

 書状を送った真意を、確かめる必要がある。

 ······父上。私の考えを述べても。」


「良い。述べよ。」


「私は『エ・ルミィス』の使者として

 名を明かします。友好の印として、

 シェライア様から“授与”されたという品を

 ランドーラ国へ献上するという、

 形を取るのはどうかと。

 シェライア様は、私の従者として

 名を明かさずに。」


「······うむ。」


「それならば、無闇に手は出せません。

 それに、シェライア様の顔を知る

 あの男も。動きがあれば、こちらも

 把握しやすい。」




彼は、堂々と意見を述べる。


その姿に、シェライアだけではなく

皆感心せざるを得なかった。


精悍さだけではなく。

柔軟な考えを備え持っている。


今までそれが見えなかった分、

反動が大きいのだ。


そして、それを一番喜んでいるのは。



「トウマの案は、私も考えていたところだ。

 ただ、万が一動きがあり

 身の危険が及ぶとしたら······どうする?」


「報せる手段を考えます。そして

 危険が及ぶという行為は、

 敵対するという意であると訴えます。

 あの男と繋がりがあると判断に至れば、

 尚の事です。

 下手に出る必要はありません。」


「その通りだ。」



綻びはないものの、目の輝きで分かる。


彼を見据えるクラマの表情は、

とても明るい。


そうなると、皆が同意するのは

必然となる。



「滞在期間を設けよう。

 その経過により、臨機応変に判断する。」


「はい。なるべく、御二方の意に近い

 対処を心掛けます。私は、出来る限り

 和平に持ち込めるよう

 最善を尽くすつもりでありますが·····

 宜しいでしょうか。」



十分である、と。

モルドワイルは、大きく頷く。



「トウマ。娘を頼むぞ。」


「仰せのままに。」



恭しく頭を垂れる彼を、

シェライアは見据える。

 


ついに、皆を説き伏せてしまった。



顔が上がった瞬間、視線がぶつかる。



「旅路は何かと、不自由な面が

 あると存じます。私も、

 不慣れではありますが。何なりと

 お申し付けください。」



瞳の奥に宿る光を捉え、和らいだ。



「ありがとう。

 お互いに、支え合っていきましょう。」




彼も、意外と。


『エル・ラド』の外に出られる事を、

楽しみにしているみたい。










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