↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/84

Cr1-16




葉の隙間から、清々しい陽の光が差し込む。



異空間ではあるが、それがある事で

時間の流れを感じられる。





出迎えられた時と同様、総出で

シェライアたちは見送られた。



もう行っちゃうの?と、子どもたちは

複雑そうな表情を浮かべていたが。


皆、集会で一致団結した意を表す如く

顔が引き締まっていた。



家族を護るという、使命感。


それが、行く先の懸念を吹き飛ばすように。




トイアールと目が合ったが、

笑顔は浮かばない。


どこか、寂しそうで。

しかし、彼女を捉えて離さない

真っ直ぐな瞳が。残された。



金のブレスレットに目を向け、

そっと触れる。



温かいような。冷たいような。


そんな、不思議な感覚が残る。




トイアールに、外の景色を見せたい。


私というものに、縛られることなく。


世界は、広いのだと。知らせたい。




一族の在り方を変える。


同時に、眩しい程の笑顔を。浮かばせたい。
























樹海を抜けると、すぐに

トウマの姿が視界に映った。


彼は、石碑に寄りかかっていた身を正して

三人に向かい、頭を垂れる。



「おはようございます。」




明けたばかりの陽に照らされる、

青年の凛々しさは。


緩まっていた三人の意識を、

一気に引き戻す。




「おはよう。トウマ。」


「お迎えありがとう。」




両親はすぐに挨拶して、笑顔を浮かべたが。


シェライアは、じっと彼の姿を捉えるだけで

何も発さなかった。



すぐに伝えたい。賛同を得たことを。



そんな意気込みが伝わったのか、

ちらっと視線が向く。


しかし、捉えただけで

すぐに離した。



「礼には及びません。お先を。」




前へ歩くよう促すと、

モルドワイルとアーレシアは並んで

ゆっくり歩き出す。



二人の後を付いていこうと

彼女は踏み出すと、彼は

見計らって、その後を追った。



ここへ訪れた時と同じ列で、城を目指す。




ざぁ、と草原は揺れ動き。


雲一つない晴天が、広がる。



その青さを見上げていると、

低い声が下りてきた。



「何か話したそうな顔してるな。聞こう。」



両親に届かない程の、囁き。


二人でいる時の言葉遣いで、嬉しくなった。



伝わっていたみたい。


すぐに、聞いてくれる。



「みんなに、伝えることができたわ。

 しかも、お母さまから賛同してくれたの。

 もう、嬉しくって。」



嬉しさのあまり、声量が出そうになるのを

抑えつつ、吐き出す。



周りの者が聞くと、

何のことか分からないだろう。


しかし、彼は感じ取って応じた。



「······そうか。」


「これで、外に行けるわ。」


「良かったな。」


「あなたのお陰よ。本当にありがとう。」


「······いや、ただ俺は

 理にかなう事を口添えしただけだ。

 それに、まだ実際。行けるなんて

 決まっていないからな。

 これから、父上たちを

 説き伏せなければならない。

 それは、至難の業だ。」




冷静に、現実を突きつける。


彼は、やっぱり。すごいわ。




「······ええ。その通りよ。でも、

 あなたがいるんだもの。大丈夫よ。」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。