Cr1-14
家族を護る。
それは、分かりやすく
皆の心を一致させる。
「はい。」
一丸となった返事は、彼女を安堵させた。
反対されることばかり考えて、
留まっていた時間は。
機が熟すのを待っていたのだと、
思い直させてくれる程に。
言葉にして吐き出すと、より明確になった。
見据える方向と目標が、しっかりと。
まだ、踏み出したばかりだが。
初めて、自分の足で立つことができたという
達成感が湧いた。
困難な道でも。着実に、前へ。
集会が終わった頃には、日を跨いでいた。
成人を迎えた誕生日は、幕開けのように。
様々な出来事が起こった。
それを噛み締めながら、シェライアは
両親とともに家へ向かう。
皆の家と少し離れた場所に、
大きめのドームが建てられていた。
帰還する事はごく僅かなので、必要ないと
モルドワイルは前々伝えていた。
しかし皆は、いつでも帰ってきてくださいと
意味を籠めて置いている。
毎日誰かが清掃し、整えて。
いつでも迎えられるように。
城にある部屋よりも、質素ではあるが。
不思議と、ここの方が落ち着く。
「先に、湯浴みに行ってくる。」
「ええ。ごゆっくり。」
ここへ来る途中、
集会に参加していなかった者の一人が
気を利かせて、すぐ湯浴みできるように
準備していたらしい。
併設された湯殿へ行く父親の背中を
見送った後、彼女は母親に目を向けた。
羽織っていた布を取り、笑顔を見せる。
「少し、疲れたわね。」
彼女は、どうしても聞きたいことがあった。
「······お母さま。」
「なぁに?」
「どうして、その······賛同してくれたの?」
父親のように、渋ることなく。
背中を押してくれた意を、知りたい。
「······そうね。あなた、ずっと
外に出たいって考えていたでしょう?」
そう訊かれて、目を見開くしかなかった。
「ど、どうして······」
「ふふっ。隠せていなかったわよ。
そういうところ、彼に似ているわ。」
隠せてなかった。
何でもないように笑って告げられ、
言葉を失う。
「私も、ね。そう考えていた時があったの。
でも、出来なかった。あなた程に、
目標も意思も強くなかったから。」
綻びに、少しの陰りが帯びた。
「一族の存亡を考えると、今の在り方を
変えなければ······恐らく、
絶滅してしまうでしょうね。
ダナント卿との良好な関係があって、
何とか成り立っているけれど。
いつか、岐路に立たされるわ。」
遠い目をして告げる母親は。
自分とは違う視界が、
見えているのかもしれない。
「歪んだ術式が編み出され、
脅かされる時が来るなんて。
想像もつかなかった。······神は、私たちに
どんな試練を与えなさったのか。
その大きさに、怯えてしまったの。」




