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Cr1-12



彼の穏やかな口調と、心遣いに。


シェライアは、籠められた意味を

探るようなことはせず。


素直に受け止め、柔らかく微笑んだ。



「ありがとう。大事にする。」




彼は、笑みを返すことしかできない。



ここで抱擁し、想いを告げても。

困る姿しか映らない。


今までの、優しい関係を壊してまで。


引き留める勇気はなかった。




名残惜しさを抑え、彼女の手を放すと。


トイアールは、表情を引き締めた。



「これから、集会に向かうの?」


「ええ。みんなに、私の意思を

 伝えなくては。」



反対の方が多いだろう。


だが。もう、立ち止まることはしない。



「僕は、君を応援する。

 皆が反対するとしても。

 ······微力だけどね。」



控えめに告げる彼の言葉は。


彼女にとって、大きな支えだった。



「ありがとう。とても、心強いわ。」




互いに、笑顔になれる時間が。


これからも、続きますように。



願いを心で唱えながら

ゆっくり立ち上がると、彼女は

綻んで告げる。



「行ってきます。」




もしかしたら、彼女の微笑みを拝めるのは

最後かもしれない。


そんな恐怖感を覚えながらも。


見送る為に立ち上がり、彼は

綻ばせて告げた。




「行ってらっしゃい。」





振り返らず、進む彼女の勇姿を。


彼は、愛おしそうに見つめる。



微笑みを、胸に刻みながら。























集会場に出向くと、

異様な静けさが漂っていた。


現れたシェライアに、皆目を向ける。



注目を浴びた上に、この静まり返る空気。


一体、どこまで

話が進んだのだろうか。




「シェライア。私の隣へ。」



空間を裂くように、モルドワイルが呼ぶ。


それに従い、彼女は

父親の右隣へ座った。


左隣から、アーレシアの眼差しが向けられる。


母親の表情は、どこか不安そうだ。




「······長。」



一人、手を挙げて発言する。



「もう、限界だと思います。

 外界に留まるのは、危険です。

 日々私たちは、長たちの身を

 案じております。これ以上······

 危険を冒す必要があるのでしょうか。」



それを皮切りに、同意する意見が飛び交う。



「帰還なされてください。長。」


「私たちは、それを願っております。」


「どうか、お考えください。」




この様子だと。


自分がランドーラへ出向く話は、まだ

されていないようだ。


と、いうよりも。


拗れている。

話ができるかどうかの問題だ。




ざわつく皆に、片手を挙げて制すると

モルドワイルは口を開く。



「皆の気持ちは心得ている。だが、

 表へ立つことに意義があるのだ。

 身を隠し、一切の情報を閉ざすのは

 一族の衰退に繫がる。」


「ですが、このままでは!」


「精霊を制する術式の真意を、

 見定めなくてはならぬ。

 その為には、現状維持が最善だ。」


「長たちに、何かあったら

 私たちはっ······」




痛い程に、伝わる。


皆、心から。私たちの身を案じている。





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