Cr1-10
地響きのような声が、渡った瞬間。
小さな二つの光が大きくなり、
眩い光の輪が暗闇を裂く。
そして、道を作った。
三人は、それに怖気づくことはなく。
輪を潜り、歩いていく。
抜けた先には、集落。
石で作られたドーム状の家屋が
数十個存在し、所々にランプが灯されていた。
それを邪魔しないように、
空高く真っ直ぐ伸びた並木が取り囲んでいる。
見上げれば、覗き込むように
木々の葉が覆い尽くしているのは。
意思を持ち、
外から護っているかのように映る。
異空間。
存在を知らない者からすれば、
そう捉えるに違いない。
「長。アーレシアさま。シェライアさま。
おかえりなさいませ。」
頭を垂れ、総出で迎える同胞たちを見渡して
モルドワイルは告げる。
「皆、急遽申し訳ない。
重要な話をするべく舞い戻った。
家族代表で一人、集会場に
出向いてもらおう。」
家屋の中で、一際大きいドームがある。
そこは、皆と語り合う場になっていた。
そこへ、両親が歩いていく後を
十数名の者たちが付いていく。
その場に残された皆の顔を見渡し、
シェライアは笑みを浮かべた。
「こんな遅くに、ごめんなさい。
みんな、お出迎えありがとう。
家に戻って待っていて。」
「シェライアさま。
お会いできて光栄です。
お誕生日おめでとうございます。」
「ありがとう。」
「シェライアさま!
おめでとうございます!とてもきれい!」
「ふふっ。ありがとう。」
重苦しい空気を吹き飛ばすように、
祝福と笑顔が溢れる。
状況が詳しく分からずとも、皆
彼女の誕生日を祝いたいのだ。
「シェライアさま、今夜ここにいるの?」
「ええ。」
「やったぁ!」
「一緒にお眠りしていい?」
「絵本読んで!」
「こらっ!駄目よ!」
「ふふっ」
子どもたちは、無邪気でいい。
沈んでいた気持ちも、上がる。
屈託のないおねだりに癒される中、
視界に映る一人の青年がいた。
後方で編み込まれた、赤毛に近い金髪。
目鼻立ちは、人柄を表すように柔らかい。
彼が微笑むと、空気が和む。
「ほらっ!みんな、戻って!
シェライアさまの言いつけを守るのよ!」
「もっとお側にいたい〜っ」
渋る子どもたちを、半ば母親たちが
引っ張るように連れて行く。
年長者たちは、一礼をしながら
静かに家へ戻っていった。
その光景を、シェライアは
微笑ましく見送る。
ただ、一人。
残ったその青年に目を向け、紡いだ。
「毎年、祝ってくれてありがとう。」
彼と会うのは、数年ぶりだ。
「改めて、おめでとう。
一段と綺麗になったね。」
柔らかい微笑みと
淀みなく返される言葉に、少し戸惑う。
両親から聞かされた、婚約の件。
そのせいで、素直に受け取れない。
「······あまり、変わってないと思う。」
彼は、見ない内に。
背も伸びて、男性さが増している。
「ははっ、どうしたの?そんなことないよ。
······少し、話せるかな?」
前までは、その申し出を
心から喜んでいたのに。
「······ええ。」
その優しさが、友情ではないと思うと。
壁が生まれてしまう。




