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Cr1-3


「まずは、着替えるか。」


「そうね。落ち着かないわ。」



二人の意見が一致した直後。




コンコンコン。



これから抜け出そうとしている意気込みを

挫けさせるような、ノック音が響く。



少なからず、ビクッとなってしまった。



「シェライアさま。トウマさま。

 お食事をお持ちいたしました。」



ユアの声。


思わず彼に目を向けると、

怖気付く自分に対して笑みを浮かべている。


それが癪に障ると同時に、

尻込みする気持ちを吹き飛ばす。



「早く着替えてきて。

 食事を摂ってから行きましょう。」


「強がるな。」


「強がってないからっ。ほらっ」



扉へ向けて、彼の背中を押す。



開くと、三人のメイドたちと

顔を合わせた。



「すぐに着替えてくる。その間、シェライアに

 付いていてやってくれ。」


「かしこまりました。」



恭しく頭を下げる彼女たちの表情は、

恍惚に満たされている。



ダナント卿の、麗しき貴公子。


声を掛けられるだけでも、

叫びたくなる程に歓喜なのだ。



颯爽と去っていく彼の後ろ姿を、

漏れなく見送る彼女たち。


それに対してシェライアは、

半ば呆れながら窺う。



性格難だと知ったら、どう思うかしら。



物心つく前から一緒に過ごしているせいか、

彼女たちの感覚を理解するのは難しい。



それに。


今回の事で、

彼の知らない一面を見た。


脳筋なんかじゃない。

彼は、隠していたんだわ。


常日頃の、心構えと。博識であることを。


























儀式が平和に終わっているならば、

皆で晩餐会が開かれているはずだった。


しかし、尚も会議は続いている。

メイドたち伝いで様子を聞くと、まだ

終わる見込みがないそうだ。



蚊帳の外である私たちは、

部屋で一緒に晩餐を開く。



誕生日だからなのか、食卓に並ぶ内容は

いつもより、さらに豪華だった。


きっと、晩餐会に並ぶはずだった料理。

それが、静かに二人だけでという状況。


ある意味、いいかもしれないわ。

親たちの飛び交う美辞麗句を

聞かされずに済む。



そういえば、婚約の件。

どんな相手か彼に聞いてみたが、

「顔も名前も知らない」と。それで終わった。


それは私よりも、酷いのでは。


この話題に、無関心だったのも分かる。

相手が分からなければ、何も言えない。


まだ、私の方が。顔見知りだった分、

幸せなのかもしれない。



······甘んじて受け入れるのは、不本意だけど。




晩餐を全て平らげることは出来なかったが、

全てに口をつける配慮は互いにあった。



ご馳走様でした。


互いに唱えた後、見合わせる。



腹は満たされた。


思う存分に、向かい合える。




メイドたちが、綺麗に晩餐を片付けた後。



シェライアとトウマは、

特製チェアから立ち上がった。






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