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万年Fランクの荷持ち、ハズレ枠『解体』スキルでダンジョンの壁を崩したらSSS級素材が出た〜誤配信で世界中が震えている件〜  作者: 月神世一


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EP 8

回収車(ジャックと聖騎士)が走る。向かう先は市営のゴミ焼却炉

「よし、これで大元のゴミは全部まとまったな!」

 特級魔境から、ただの「風通しの良い空き家」へと変貌を遂げた洋館の前。

 青い指定ゴミ袋(神の核入り)を中心に、大統領たちがまとめた「燃えるゴミ」や「資源ゴミ」が山のように積まれている。

 世界のVIPたちと元・Sランク勇者たちは、泥だらけのビブス姿で肩で息をしながら、自分たちの成し遂げた労働の成果(ゴミの山)を見て、涙ぐみながら固い握手を交わしていた。

「やったな、ブラザー……。俺たち、ルール通りに分別できたぞ……」

「ああ……。タエ・マダムのチェックもノーミスで切り抜けた。俺の人生で、今日ほど誇らしい日はなァァいッ!」

 世界を救ったことなど完全に忘れ去り、「ゴミの分別」という難題をクリアした達成感に酔いしれるエリートたち。

 しかし、そんな感動の空気を、タエさんの悲鳴が引き裂いた。

「ああああッ!! ちょっとアンタたち、喜んでる場合じゃないよ!!」

 タエさんが腕の腕時計をバンバンと叩きながら、血相を変えて叫んだ。

「今の時間、午前十時五十分! 今日の不燃ゴミの回収車、十一時で終わりなんだよ!! あと十分しかないじゃないか!!」

「「「な、なんだってェェェェッ!?」」」

 大統領たちが、世界の終わりを聞いたような顔で絶叫した。

「ゴミ出しの時間が……終わる……?」

「そんな……! 俺たちが血と汗と涙で『十字縛り』したこの不燃ゴミ(堕神の核)が、回収してもらえないだと!? 来月まで持ち越しなんて、絶対に嫌デース!!」

「落ち着け、みんな! 集積所にはもう間に合わないかもしれない。だったら……直接、『市営のゴミ焼却炉(清掃工場)』まで持ち込むしかない!」

 俺がオカン特有の「ゴミ処理場への直接持ち込み」という裏技を提案すると、タエさんが頷いた。

「それしかないね! でも、ここから市営の焼却炉までは、車でも十五分はかかるよ!? 今からじゃ到底間に合わな――」

「――タエ・マダム。そして我が王(Boss)。その任、どうか我々にお申し付けください」

 スッ……と進み出たのは、アロハシャツ姿のフランスの聖騎士ジャンと、上半身裸の筋肉・アメリカのジャックだった。

「Bossの美しき労働の成果ゴミを、時間通りに炎の祭壇(焼却炉)へと届ける。それこそが、我ら忠実なる騎士の務め」

「Hahaha! 俺の『音速マッスル・ソニック』の脚力なら、車なんざ目じゃねえぜ! 十分あればお釣りエキサイティングだ!」

 二人は、足元にあった青い指定ゴミ袋(神の核)と赤い袋(魔獣の肉)を、それぞれ軽々と担ぎ上げた。

「おっ、ジャック、ジャン! 悪いな、車ないから困ってたんだ。走って持ってってくれるか?」

「ウィ! お任せを!」

 二人は、互いに目配せをした。

「行くぞ、ジャック! 光の速さでゴミを届ける!」

「おうよ! 俺たちが人間ゴミ収集車ヒューマン・ガベージ・トラックだぜェェッ!!」

 ――ドゴォォォォォォンッ!!!

 二人が地面を蹴った瞬間、空き地にクレーターができ、凄まじい衝撃波が巻き起こった。

 彼らの姿は一瞬にして消え去り、ゴミ袋を抱えた二つの残像が、音速を超えたスピードで三丁目の一般道を駆け抜けていく。

「は、速い……! なんだあのスピードは……!」

「世界最強の男たちが、全力で……全力でゴミ袋を運んでいる……ッ!」

 大統領やVIPたちは、猛烈な砂煙を上げて遠ざかっていくジャックとジャンの背中を、畏敬の念を持って見送っていた。

「見ろ……。彼らは己の身を削って、あの呪われた神の核を運んでくれているんだ……。もし途中で袋が破れて瘴気が漏れれば、彼らも無事では済まないというのに……!」

「なんて尊い犠牲ランニングなんだ……。彼らこそ、真の英雄デース!」

 VIPたちが涙を流して敬礼する。

 だが、実際に走っているジャックたちの脳内は、悲壮な覚悟とは全く別の次元にあった。

『ジャン! 袋の持ち方が甘いぜ! マダムに教わっただろ、尖ったもの(呪いの魔石)が袋に触れないように、重心を真ん中に保つんだ!』

『言われるまでもない! 我が聖なるオーラで袋の強度を100倍にコーティングしている! 絶対に破かせはしない!』

 彼らが何よりも恐れていたのは、「呪いが漏れること」ではなく、「途中で袋が破れてゴミが散乱し、Boss(湊)やタエ・マダムに怒られること」であった。

 絶対にゴミを散らかさないという鋼の意志が、彼らの走りに神速のバフをかけていたのだ。

 ビュンッ! ビュォォォンッ!!

「うおっ!? 今の何!? 車!?」

「いや、なんか上半身裸の外国人が、青いゴミ袋抱えて走ってたような……」

 通りすがる三丁目の住人たちが度肝を抜かれる中、ジャックとジャンは赤信号をビルの壁を蹴って飛び越え、最短ルートで市営焼却炉へと突き進む。

『見えたぞジャック! あれが炎の祭壇(市営清掃工場)だ!』

『時間ギリギリだぜ! 一気に搬入口へ滑り込むぞォォッ!!』

 かくして、世界を滅ぼす神の核は、音速の人間ゴミ収集車の手によって、滑り込みセーフで市営のゴミ焼却炉へと運び込まれたのであった。

 しかし、ここで彼らは、またしても「日常のルール」にぶち当たることになる。

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