表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万年Fランクの荷持ち、ハズレ枠『解体』スキルでダンジョンの壁を崩したらSSS級素材が出た〜誤配信で世界中が震えている件〜  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/112

EP 7

特大の指定ゴミ袋で堕神を『圧縮・回収』。大統領がゴミ袋の口を結ぶ係になる

「よし、床のヌメリは完全に取れたな。ピッカピカだ」

 塩素の清浄な香りが漂う、ゴミ屋敷(特級魔境)の最深部。

 俺はモップで床の水分を拭き取り、満足げに頷いた。

 広間の中央には、業務用パイプユニッシュ(神殺し仕様)によって除菌・液状化された堕神の、唯一の残りカスが転がっていた。

 直径1メートルほどの、禍々しい紫色の光を放つ多面体の結晶だ。

「ヒィィッ……! あれは、神の力の源……『堕神の核』デース……!」

 大統領が、ビブス姿で震えながら指を差す。

「たとえ本体が滅びようと、あの核がある限り、周囲に呪いを撒き散らし、いずれ再び堕神として復活する……。絶対に触れてはならない、呪物の極み……!」

「アカン、触った瞬間に呪いで消し飛ぶぞ!」

 下着姿(ラベル剥がし済み)の元・Sランク勇者たちも、怯えて大統領の背中に隠れた。

 だが。

 俺のオカン的視点には、その禍々しい神の核が、全く別のものに見えていた。

「なんだ、このデカくて硬い塊。配水管に詰まってた『ヘドロの芯』か? それとも、前の住人が捨て忘れた『ボウリングの球』か何かか?」

「「「えっ?」」」

「どっちにしろ、金属とプラスチックが混ざったような不燃物だな。このまま放置したらまたゴミが溜まる原因になる。さっさと袋に詰めて回収だ!」

 俺はズカズカと神の核に歩み寄り、素手(イボ付き軍手)でガシッと掴み上げた。

「「「オォォーマイガーーッ!?」」」

「触った! 呪いの塊を、軍手で直掴みしたァァッ!?」

 外野が絶叫する中、俺は懐から『三丁目指定・不燃ゴミ用特大ゴミ袋(青色・45リットル)』をバサッと広げた。

「おいおい、ちょっとサイズが合わないな。はみ出したら収集車が持っていってくれないんだよ」

 俺は、直径1メートルの神の核を、45リットルのゴミ袋に力任せに押し込もうとした。

 対象:規格外のサイズを持つ『不燃性の特大ゴミ(神の核)』。

 処理:指定ゴミ袋の容量に合わせて、質量と概念を限界まで強制圧縮する。

「規定サイズに収まれェェッ!! ――『解体コンプレッション・パッキング』!!」

 メキメキメキメキッ!!!

 俺が軍手で上からギュウゥゥッと体重をかけると。

 世界を滅ぼすエネルギーを秘めた神の核が、「キュゥゥン……」という情けない音を立てて、ただのソフトボールほどのサイズにまで物理的に圧縮されてしまった。

「よし! これならスッポリ入るな」

 ポイッ。

 俺はソフトボール大になった神の核を、青いゴミ袋の中に無造作に放り込んだ。

 そして、そのゴミ袋を、後ろでポカンと口を開けている大統領の胸に押し付けた。

「はい、大統領さん。袋詰め終わったから、あとは口を縛っといてくれ」

「……ファッ!?」

 大統領は、世界の命運(と呪い)が詰まったゴミ袋を抱き抱え、フリーズした。

「ちょっと大統領さん! 何ボーッとしてるんだい!!」

 その時、後ろからタエさん(町内会長)の怒号が飛んだ。

「ゴミ袋の口は、空気が入らないようにしっかり『十字縛り』にする! 隙間があったらカラスが突っつくし、結び目が緩かったら収集車のお兄さんに怒られるんだよ! 早く縛りな!!」

「ヒィィィィッ!! マ、マダム・タエェェッ!!」

 大統領は、神の呪いへの恐怖よりも、「タエさんに怒られる恐怖」と「収集車に置いていかれる恐怖」に支配され、半泣きになりながらゴミ袋の口を握りしめた。

「クロス! これが日本の絶対ルール、十字縛りデース!!」

 大統領が震える手で袋の端を結ぼうとする。

 しかし、高級スーツしか着たことのない彼の手は不器用で、うまく結べない。

「だ、大統領! 右の端と左の端を先に結ぶんだ!」

「バカッ、空気を抜いてからじゃないと膨らんじゃうだろうが! 代われ、俺がやる!」

 なんと、イギリス首相やフランス大統領、さらには下着姿の元・Sランク勇者までもが駆け寄り、全員で一つのゴミ袋の口を縛るという、前代未聞の共同作業が始まった。

「いいか、引っぱるぞ! せーのっ!」

「キツく! もっとキツく縛るデース! マダムのチェックが入る前に!」

 キュッ、ギュウウウッ。

 ……数分後。

 世界のトップエリートたちの英知(?)と労働力が結集され、指定ゴミ袋の口には、芸術的なまでに美しい『十字の結び目』が完成していた。

「……で、できました! マダム・タエ、ミスター・クジョウ! 完璧な十字縛りデース!」

 大統領が、汗だくになりながら、誇らしげにゴミ袋を掲げた。

 その顔は、世界の平和条約を締結した時よりも、はるかに達成感に満ち溢れていた。

「おっ、なかなか綺麗に結べてるじゃないか。合格だ」

「やればできるじゃないか、アンタたち! よし、これでゴミ出しの準備は完了だね!」

 俺とタエさんが褒めると、大統領やVIPたちは「ウオォォォォォッ!!」と歓声を上げ、ハイタッチをして抱き合った。

「やった……! 俺たち、町内会のルールを守り抜いたぞ……!」

「これで、収集車のお兄さんにも怒られないデース……!」

 世界を滅ぼす神の核は、今や完全に「ルール通りに縛られた不燃ゴミ」となり、彼らの足元でコロンと転がっていた。

 こうして、神の尊厳は、指定ゴミ袋と十字縛りという「町内会ルールの暴力」によって、完全に密封(封印)されたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ