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万年Fランクの荷持ち、ハズレ枠『解体』スキルでダンジョンの壁を崩したらSSS級素材が出た〜誤配信で世界中が震えている件〜  作者: 月神世一


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EP 3

聖なる光の反射(ワックス効果)。大いなる勘違いの連鎖

「おおおおおおおッ!! 光よ!!」

 下半身をパンツ一丁(と素足)にされた白銀聖騎士団長アストルが、残された上半身の鎧から極大のオーラを立ち上らせていた。

 彼が天に掲げた十字の大剣に、目を開けていられないほどの眩い光が集束していく。

「我らレオンハートの正義の鉄槌! いかなる邪悪も塵と化す、絶対浄化の聖なる炎! ――『神聖裁き(ホーリー・ジャッジメント)』!!!」

 カッ……!!!

 アストルの剣から、太陽をそのまま凝縮したかのような、純白の極太レーザーが放たれた。

 それは出張所の入り口を飲み込み、一直線に俺へと向かって――。

「バカッ! 室内でそんな強い光を出すな! 紫外線でワックスが変色(日焼け)するだろうが!!」

 俺は咄嗟に身を屈め、床のフローリングを庇うように両腕を広げた。

 だが、俺が何をするよりも早く。

 ――ピッカァァァァァァァァァァンッ!!!!

「「「…………え?」」」

 聖騎士たちの間抜けな声が響いた。

 アストルが放った必殺の『神聖裁き』は、俺の体に届く直前。

 俺が先程、三度塗りして究極の『鏡面仕上げ』に磨き上げていたフローリングの床に直撃し……。

 屈折率100%。

 一切の減衰を許さぬ完璧な「全反射」を引き起こし、斜め上(つまり、玄関に立つ聖騎士たち)に向かって、猛烈な勢いで跳ね返っていったのだ。

「な、ば、馬鹿な!? 我らの聖なる光が、床で跳ね返っ――アバーーーーーーーッ!?」

 ズドォォォォォォォォンッ!!!

 出張所の入り口で、凄まじい光の爆発が起きた。

 自らが放った最大火力の浄化魔法を、至近距離から顔面にモロに食らった聖騎士たち。

「ぎゃあああああッ!? あ、熱くない!? だが、残っていた上半身の鎧が『不純物』として浄化(消滅)されていくゥゥッ!!」

「目がァァァッ! 清らかな光すぎて目がァァァッ!!」

 数秒後。

 光が収まった玄関には、上半身の鎧まで綺麗に消し飛び、正真正銘の『全身白ブリーフ一丁』となった聖騎士たちが、口から白い煙を吐きながら折り重なるように倒れていた。

「……ったく。派手な光を出すから、ホコリが舞っちまったじゃないか」

 俺が咳き込みながら立ち上がると、アストル団長だけが、全身をプルプルと震わせながらかろうじて膝をついていた。

「はぁ……はぁ……。ど、どういうことだ……」

 アストルは、白ブリーフ姿で絶望的な顔を上げ、俺を見つめた。

 神聖なる絶対の浄化魔法。それが、魔王の残党(湊)には指一本触れることなく、あろうことか『床』に弾き返され、術者である自分たちを打ち倒した。

 アストルの狂信的な脳髄の中で、一つの『恐るべき論理アンジャッシュ』が組み上がっていく。

(我らの『神聖裁き』は、真なる悪しか滅ぼさぬはず。それが弾き返されたということは、この男は悪ではない。それどころか、ただの床ですら聖なる光を反射するほどの『神々しいオーラ(ワックス)』に満ちている……!)

 アストルは、俺の背後を見た。

 出張所の奥の部屋から、先程の騒ぎを聞きつけたリリスが「ひゃあ!? すごい光でしたぅ!」と顔を出している。

(あ、あの姿は……絵画でしか見たことのない、天界の女神様!? 女神を侍らせ、聖なる光を意に介さず、我々の装備という名の『虚飾』だけを浄化し、生まれたままの姿(白ブリーフ)へと還した……!)

「ア……アアァ……!!」

 アストルの目から、滝のような涙が溢れ出した。

「お許しください……! 愚かな我らをお許しください、真の『聖者』様ァァァッ!!」

 ズザーーーッ!!

 アストル団長は、全裸同然の姿で、俺の磨き上げたフローリングに額を擦り付ける勢いで平伏した。

 気絶から目覚めた他の聖騎士たちも、団長に倣って次々と土下座を始める。

「「「真の聖者様ァァァッ!! 我らの不敬、どうかご慈悲をォォォッ!!」」」

「……は?」

 俺はフロアワイパーを片手に、ポカンと口を開けた。

「な、なんだ急に。ていうか、さっきからワックス掛けたての床に額とか頬を擦り付けるな! 顔の皮脂アブラがついて、せっかくの鏡面仕上げが曇るだろうが!!」

「おおお……! 皮脂(原罪)で曇るゆえ、軽々しく触れてはならぬと! なんという深き教え……! 我ら、感服つかまつりましたッ!!」

 俺が怒れば怒るほど、彼らは「ありがてぇ、ありがてぇ」と涙を流して拝み倒してくる。

 ルナミス帝国の軍人に続いて、今度はレオンハート王国の騎士団までが、パンツ一丁で出張所の玄関にひれ伏すという、異常事態が完成してしまった。

「……まったく。お前ら、泥は落とさないわ、騒ぐわで、掃除の邪魔なんだよ。謝る気があるなら、さっさと帰ってくれ」

「聖者様! 帰る前に、どうか! どうか我らに『罪滅ぼし』の機会を与えてはいただけないでしょうか!!」

 アストルが、縋るような目で俺を見上げた。

「実は我らが王都、今、未曾有の危機に瀕しておりまして……。聖者様のその『浄化(解体)の御力』で、王都を救っていただきたいのです!!」

「王都を? ……別にいいけど、俺は清掃業者だぞ。タダ働きはしないからな?」

 俺が渋い顔をすると、アストルは「もちろん、報酬はご用意いたします!」と叫び、とんでもない提案を持ちかけてきたのであった。

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