↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強高校生ゲーマー、現実と異世界を彷徨う  作者: マーサン
第六章 訪問者編(中編)
PR
70/72

6-11 追跡者から逃げ切れ

前回の続きになります。

謎の黒装束集団から次世代AIを守るために逃走を続ける回となります。

 謎の裂け目から突如として出現した四体の黒装束集団、巧実と彩とミネルバの三人は逃走を繰り広げている最中。

「どうやら、彩は上手く逃げ切ったみたいだな……。彩っ、早く応援を呼んでくれ……」

 と巧実が息を切らせながら小声で言って、ミネルバと共に物陰に隠れて黒装束集団の追跡からやり過ごしている。

 どうやら、巧実は迷路のような裏路地を上手く利用して黒装束集団の追っ手から逃れることができたようだ。

「巧実様、この裏路地に詳しいようですが何か……。うぐっ!」

 とミネルバが普通に聞き出そうとした瞬間、巧実が慌ててミネルバの口を両手で塞ぎ強引に黙らせる。

「声がデカい、ミネルバっ! バレたら、命がけの鬼ごっこが再開するぞっ!」

 と巧実が小声で注意して、ミネルバを大人しくさせる。

 巧実の注意を聞いてミネルバは、何も分からず注意に従い大人しくなる。

 大人しなったミネルバを確認した巧実は、塞いだ手をゆっくり離し言いたいことが何か想像していたので小声で話す。

「何故、ここの裏路地について熟知しているか聞きたいだろう。そりゃ、実家の近くで学校の近道だからだよ。子供ガキの頃、兄貴や彩との遊び場だから身に染みてる訳」

 巧実の口から兄と聞いて瞬間、まさか一人っ子と思っていたミネルバは驚きを隠せず聞き出そうと小声で質問する。

「巧実様、ご兄弟がいたのですかっ? お兄様は何処へっ?」

「今、兄貴は地方の料亭で修行中。一応、料理学校は卒業したばかりだよ」

 と巧実は小声で淡々と答えたら、納得と謎が入り交じり首を傾げて不思議そうな表情をするミネルバは詳しく質問しようと話し掛けようとした。

 そのとき、背後から男の声が聞こえてきた。

「よっ、本多っ! 今度は、大人のフランス人とデートっ?」

 なんと、昼間に風紀を担当する体育教師から逃げ回っていた宗明とまさかの鉢合わせ。

(最悪……。こんなときに、一番面倒なヤツに……)

 と思って頭を抱える巧実に、宗明はニヤけた顔をして尋問してきた。

「ところで、隣のフランス人ってウソじゃねっ? だって、話し合っていたじゃん」

 ため息を吐きながらも巧実は、その場を誤魔化そうと苦し紛れに言い返す。

「雰囲気だよ、雰囲気で言いたいことが伝わるものだよ。アメリカ人だって、英語が分からなくても身振り手振りで伝わる場合だってあるじゃん」

 当然、ミネルバも初歩レベルのフランス語で宗明に応答する。

 それでも、宗明は疑り深く必要以上に巧実を問い詰めようとする。

「何か、僕に隠していないっ? 同じ部に所属しているのに隠し事は水臭いなあ。だったら、正直に話した方がラクになるとおもうよ」

 ところが、黒装束の二体が突然襲ってきた。

「吉良っ、オメェがギャーギャー騒いだせいで変な奴らに見つかったじゃねーかっ! 鬼ごっこ再開かよっ!」

 と言って激怒の巧実は、ミネルバの手を強く掴んで逃走を再開する。

 当然、宗明も巧実とミネルバに追従する形で走り始める。

 その際、後ろを振り向いた宗明は黒装束集団を見た瞬間、

「あっ、アイツらだっ! アイツらが、僕を捕まえたヤツらだっ! なんで、ゲームのMOBが現実世界にっ!」

 と言って顔が真っ青になり先日のトラウマが蘇る。

「そんなこと知るかよっ! とにかく、捕まりたくなかったら走れっ!」

 と巧実が言って、ミネルバの手を繋いだまま逃走を続ける。

 顔が真っ青の宗明は、巧実に言われるままに全力で走り逃げ続けながら文句を言う。

「鬼の酒井から逃げ切れたと思ったら、今度は現実世界から出てきたゲームのMOBに追い掛けられるなんて散々だよっ!」

「文句言っている暇があったら、とにかく全力で走れっ!」

 と言って、文句ばかりの宗明に活を入れる巧実。

 そんな中、十字路に差し掛かると巧実は宗明に指示を出す。

「間違いなく、黒装束のターゲットは彼女だ。吉良は右を曲がれ、俺は彼女を連れて左を曲がるっ!」

 ところが、何を考えたのか宗明はミネルバの手を掴んで強引に引き連れようとする。

「おいっ、何考えているっ! 彼女、嫌がっているから手を離せっ! 吉良っ!」

 と言って怒る巧実に、手を離そうとしない宗明は切羽詰まった状況だというのに自分の主張を言い出す。

「本多こそ手を離せ、僕だって知る権利はあるっ! 絶対、逃げ切ったら偽フランス女から色々と聞き出してやるっ!」

 なんと、切羽詰まった状況にも拘わらずミネルバを問い詰めようと企てる宗明。

 巧実も、ミネルバの秘密を守ろうと手を離そうとしない。

 当然、綱引き状態にされたミネルバは苦痛に顔を歪め苦しむ。

 そのとき、反対側から黒装束の一体がミネルバを捕らえようとタックルを仕掛けてくる。

 不味いと思った巧実は、拳を握って宗明の脇腹に思いっきり殴った。

 レバーブローを受けた宗明は苦痛に歪み、思わずミネルバを掴んだ手を離し脇腹を押さえ膝が曲がる。

 チャンスと思った巧実は、ミネルバを強引に引っ張って十字路の左側に逃げ出す。

 二体の黒装束は、レバーブローに苦しむ宗明を突撃して取り押さえた。

(さらばだ、都合良い足止めよ)

 と巧実は思い、ミネルバを連れて立ち去る。

「巧実様、大丈夫でしょうかっ? あの人っ?」

 と言って宗明を気にするミネルバに、

「心配は無用だっ! いつも、あんな目に遭うヤツだからっ!」

 と言い返して逃走を続ける巧実は、ミネルバを狙う黒装束から逃れることに集中する。

(吉良のおかげで、黒装束の二体は何とか足止めできた。残りの黒装束は二体、何処から出てくるのか気が抜けない……)

 と巧実は思い、一度立ち止まり周囲を見渡しながら逃走を続ける。

 巧実と共に逃走するミネルバは、不安な表情を見せると恐怖で言葉を失う。

 一体、何処から黒装束が襲ってくるのか全く見当がつかない。

 気の抜けない逃走劇、すっかり日は落ち辺りは暗くなり周囲の確認は困難を極める。

 それでも、巧実は繋いだミネルバの手を離そうとせず黒装束集団の追っ手から逃れるため周囲を見渡し逃走を続ける。

 まるで、二人の仲を認めない親族の追っ手から逃げ回る駆け落ちした恋人のように。

 そんな中、巧実は今までの自分と比べて思うことがある。

(いつからだろう、誰かのために動き回るなんて……。なんか、俺らしくない……)

「どうしましたか? 私が見る限り悩んでいる様子ですが……」

 とミネルバが心配そうな顔で巧実に話し掛けてくる。

 ミネルバに見つめられた瞬間、巧実は慌てふためき苦し紛れに言い返す。

「だっ、だだだっ、大丈夫だってっ! こっ、個人的なことだからっ!」

 そのとき、上空から何かが落下する衝撃が地面に伝わり土埃が舞い上がる。

 その衝撃を感じた巧実は、思わずミネルバを庇い険しい顔で様子を伺う。

 数分後に土煙から姿を現した黒装束を見た瞬間、

「今度は上空から奇襲かよっ! どれだけスタミナ有り余っているんだよ、コイツっ!」

 と巧実が言ってミネルバを引き連れて逃走を再開する。

 ところが、反対側から黒装束が駆け寄り挟み撃ちに遭ってしまう。

「しまった、逃げ道塞がれてしまったっ! 下手に路地裏を脱出すれば、野次馬の餌食になり変に目立ってしまうっ!」

 と言って焦る巧実と、背後に隠れるミネルバは恐怖に震える。

 ジリジリと詰め寄る二体の黒装束、何とかして危機を脱しようと模索する巧実。

 最早ここまでかと思ったその時、巧実とミネルバの背後から強烈なライトが照らされ二体の黒装束の視界を奪う。

「巧実っ、ミネルバっ、早く乗ってっ!」

 と聞き慣れた女性の声が聞こえた巧実は驚きながら振り向くと、

「あれっ、母さんのよく乗っている軽自動車……。どうやってっ?」

 と思わず言って何がどうなっているのか分からず立ち止まる。

「何ボーッと突っ立っているの巧実っ! 早く乗りなさいっ!」

 と香苗の怒鳴り声が聞こえた瞬間、疑心から確信へと変わった巧実はミネルバを引き連れ軽自動車に乗り込む。

 巧実とミネルバは軽自動車の後部座席に乗り込むと、運転席の香苗は険しい表情でハンドルを握りアクセルを思いっきり踏む。

 こうして、黒装束集団との逃走から解放された巧実は後部座席で息を整える。

 まさか、黒装束の一体が巧実の自宅に待ち受けていることを知らずに……。

ご覧いただき有り難うございます。

次回は来週の火曜日の予定にしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。