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最強高校生ゲーマー、現実と異世界を彷徨う  作者: マーサン
第六章 訪問者編(中編)
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6-9 観光するASI

前回の続きになります。

買い物に付き合わされた挙げ句に観光案内を強いられる主人公の回です。

途中で遭遇したくない相手と鉢合わせする場面もあります。

 土曜日、学校が休みの巧実は紬久美達四人と共にお出かけに付き合う羽目に。

 当然、ミネルバもその中にいた。

 そのままでは不味いと思ったのか、巧実の母である香苗が自分の古着を着させている。

(母さんから、『ウエットスーツが肌にくっ付いて脱がせない』って言ったような……)

 と思い出す巧実は、香苗が着させたミネルバの姿を観察する。

 下半身フィットしたロングのデニム、春物のセーターは腕全体を隠すくらい袖が長い。

 白のスニーカーを履いてはいるが、現世代のギャルである紬久美達四人と比べたら世代遅れは否めないミネルバ。

 見ている巧実は、ミネルバの身に纏う物が若き日の母の面影を感じると同時に冬物と見間違えそうなくらい重苦しく見える。

 そんな、一世代前のファッションのミネルバを見た早希は、

「まずは、ミネルバの着ている服っ! 原宿か渋谷ではないけど、近くのリーズナブルでコスパのいいところへ行こうっ!」

 と言って紬久美を始め女性陣に提案を持ち掛けてきた。

 当然、早希の提案を聞いた女子達は笑顔で何度も頷いて大賛成。

 その笑顔を見た瞬間、巧実は何か気まずい表情を見せ、

「ちょと待てくれっ! 俺、そんな金持ってねーぞっ!」

 と言って必死に制止しようとする。

 だが、巧実の心配は無用だった。

「パパから頼まれたのっ! 『ミネルバの服、何着か買ってきて』って預かっているから」

 と言って余裕を見せる紬久美を見た瞬間、巧実は拍子抜けして目を丸くするばかり。

「そうと聞けば、どっかで暇潰してくる。俺っ!」

 と巧実が言って、条件反射で立ち去ろうとする。

 ところが、彩が逃げようとする巧実の腕を掴んで、

「タク兄も来るっ! タク兄は、ボク達お買い物のサポート役だからっ!」

 と笑顔で言って強引に同行させる。

 こうして、巧実は女子達のお買い物に付き合わせる羽目となる。

 有名なところへ行ったと思ったら、巧実ですら知らないところへ足を運ぶ。

 まるで、洋服買うだけで遊園地のアトラクションみたいに楽しむ女子達。

 それに対して、散々振り回され体力を削られる巧実。

 その上、女子達の買った物の荷物係を押し付けられ既に千鳥足状態。

「もう決まったっ? こっちはクタクタだよ……」

 と訴える巧実は不満そうな表情を見せるが、スイッチの入った女子達の行動力は止まるところを知らず気になるものがあれば相手のことを考えず出向いて行く。

 巧実は、奴凧のように振り回されるしかなかった。

 数時間後、疲れ切った巧実の目の前にミネルバの服装がお披露目。

「見て、体にフィットした白のウエットスーツのようなインナーを利用してみましたっ!」

 と紬久美が言って、親に満点のテストを見せ自慢する子供のような笑顔を見せる。

 興味半分と恐ろしさ半分で巧実が目を向けたら、さすが読者モデルの仕事をしている紬久美だけにセンスが所々光っている。

 初夏を迎えたばかりの季節に合わせたのか、香苗が用意した重苦しい服装とは打って変わって夏物の軽やかな印象のある服装へと切り替わった。

「衣替えしただけで、印象が変わるなんて……」

 と言って、疲れが何処変え消え去り呆然とする巧実。

「モデルが二十代だから、夏らしく大人カジュアルにしてみました」

 と言って説明する自慢気な紬久美だが、男である巧実からしたら何言っているのかちんぷんかんぷんで理解できずお色直し後のミネルバを見とれるばかり。

 そこへ、彩が巧実の二の腕を抓って膨れっ面を見せる。

「いっ、いててっ! こっ、怖い顔するなっ! 彩っ、とにかく落ち着けっ!」

 と巧実が言って、膨れっ面の彩を宥めようと必死になる。

 その光景を見た瞬間、紬久美と早希と未琴の三人は思わずクスクスと笑いミネルバは頭にハテナマークが浮かぶくらい不思議そうな表情を見せる。

 その後、ミネルバのために購入した衣装は宅配サービスを利用して居候先である巧実の自宅へ配送することに。

 荷物係から解放された巧実はやっと自由になれると思っていたら、

「次は、社会見学と行きましょうか。本多さんに名所の案内をお願いしましょう」

 と未琴が言ってきて簡単には逃がそうとしない。

「こっ、今度は観光案内ナビゲーターかよ……。少し、休ませてくれ……」

 と言って巧実は、吹き飛んだ筈のお買い物で散々振り回された疲れが蘇り肩を落とす。

 しかたなく、ミネルバや女子達の観光案内役に徹する巧実であった。

 街を動き回る中、偶然にも宗明とゲーム同好会の連中を目にする巧実。

(不味いっ! こんな時に、面倒な奴らと鉢合わせはっ!)

 と巧実は気まずく思い、逃れようと反対の方角へと向かおうとする。

 ところが、宗明とゲーム同好会の連中は先回りして巧実達のところへ合流した。

「よおっ、本多っ! 今度は、カワイイ子ちゃん達とお散歩を楽しんでいるのかなっ?」

 と宗明が羨ましそうに言って、巧実の神経を逆撫で来るように挑発してくる。

「別に、今日は観光案内ナビゲーターだよ。この人達の」

 と巧実が不満そうに言って、宗明の挑発に乗らない形で冷静な態度を取る。

 そんな中、ミネルバを見た宗明は不思議そうな顔で誰なのか尋ねてくる。

「ところで、奥にいる女性って誰っ? ここでは見掛けない顔だけどっ?」

 宗明が尋ねた瞬間、ギクッとした表情の巧実は心の中で自問自答する。

(まっ、不味いっ! 絶対、一番知られたくないヤツが聞いて来やがったっ! 下手に誤魔化せば変なツッコミを入れられるぞっ!)

 ところが、巧実の心配をよそに早希が何気ない笑顔で言い出してきた。

「この人、巧実っちの家で居候している留学生。たしか、フランスから来日したって」

(おいっ、余計面倒になるっ! 頼むから変なこと言わないでくれ、多賀谷っ!)

 と思って止めようとする巧実だが、彩が二の腕を抓って制止を阻止する。

「本多っ、なんか痛そうにしているけど。どうしたっ?」

 と尋ねてきた宗明に本当のことを言おうとした巧実だが、ギロリと睨み膨れっ面の彩の顔を見て誤魔化す以外に選択肢がなくなり肘をさすって偽る。

「わっ、わりっ……。チョット、肘痛めちゃって……」

 そんな中、ミネルバは英語ではない誰もが知らない言葉を喋り周囲の大半を驚かせる。

「えーとっ、『私、こんな場所を見たのは初めてです』って言ってます」

 と未琴が言って驚く素振りを見せず、ミネルバを言ったことをアッサリと翻訳する。

 すると、ミネルバは笑顔で頷いて巧実ですら知らない言葉で返事をする。

 そんな中、紬久美が笑顔で宗明とゲーム同好会の連中に忠告してきた。

「今は自宅謹慎中のみじゃなかった。皆さん、早く逃げないと大変なことに」

 すると、背後から風紀を担当する体育教師の怒号が聞こえてくる。

「貴様等、自宅謹慎中に出歩くとは何事だーっ!」

「ヤバいっ、鬼の酒井だっ! みんな、逃げるぞーっ!」

 と宗明が言って、ゲーム同好会の連中と共に巧実達のところから脱兎の如く逃げ去る。

 当然、体育教師も宗明とゲーム同好会の連中を必要以上に追跡する。

 巧実達がいるというのに気にすることなく。

 宗明とゲーム同好会の連中が立ち去った後、巧実は一難去って胸を撫で下ろしたが同時にミネルバが英語とは違う言葉を喋ったのが疑問に思った。

 そんな中、未琴の口から英語とは違う言葉の正体を明かす。

「今、ミネルバさんが話したのはフランス語です。幼い頃、両親と共にフランスにいましたから」

 なんと、ミネルバは知らない間にフランス語を話していたのだ。

「ミネルバ、どうやってフランス語を……?」

 と巧実は疑問に思って問い掛けたら、ミネルバはポケッコから一台のスマホを取り出し笑顔で種明かしをする。

「これを使ってダウンロードしました。初歩レベルであれば簡単な言語は話せます」

 まさか、ミネルバがスマホを使ってフランス語をダウンロードしていたのだ。

「しかし、そのスマホは何処からっ? 誰も、貸した覚えがない筈なのにっ?」

 と言って疑問に思う巧実に、ミネルバは提供された人を打ち明ける。

「マスターからです。もしもの連絡用に渡されました」

 どうやら、紬久美の父である智晴が経営する会社にてASI開発に関係する人から提供されたようだ。

 ミネルバは提供されたスマホを使い、サーバーからフランス語をダウンロードして外国人の振りをしたのだ。

「それにしても、立花がフランス語を知っていたなんて驚きだ……」

 と言って巧実は、それ以外に言葉が浮かばない。

 だが、ファインプレイは未琴以外にもいた。

「本多君、私のことを忘れていないっ?」

 と言ってスマホの画面を見せびらかす紬久美に、気になってスマホの画面を見る巧実。

 なんと、紬久美はチャットで風紀を担当する体育教師に連絡を入れていたのだ。

 そのおかげで、自宅謹慎中の宗明とゲーム同好会の連中が巧実達のからところから脱兎の如く立ち去ってくれたのだ。

 邪魔者が消えて一安心の巧実だが、女子達の観光案内が残っていることに今気づき街中を振る舞わされるのではと頭を悩ませ思わず見上げる。

 そのとき、スカイツリーが巧実の目に入り女子達に提案を持ち掛ける。

「そうだ、今からスカイツリーに行かないっ? 展望台から名所を見下ろすのも面白いと思うよ、絶対っ!」

「確かに、あっちこっち出歩くのも時間が勿体ないわね。よしっ、その提案乗ったわっ!」

 と言って快諾する紬久美と、笑顔で頷く早希と未琴と彩の三人。

 そんな中、ミネルバだけが頭にハテナマークが浮かぶほど首を傾げるのみ。

 こうして、巧実は女子達とミネルバと共にスカイツリーに向かうのであった……。

ご覧いただき有り難うございます。

次回は来週の火曜日の予定にしています。

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