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最強高校生ゲーマー、現実と異世界を彷徨う  作者: マーサン
第六章 訪問者編(中編)
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6-8 ASIからの依頼

前回の続きになります。

新たに出会った次世代AI達から主人公に無理難題の依頼をする回となります。

「コイツは驚きだ、この地割れが現実世界と繋がっているとは」

 と言って岩盤の地割れを見下ろすクレイアに、母親が我が子を心配するような顔で注意するユーノ。

「クレイア、そんなに近づいたら落ちちゃうわよっ!」

「ユーノ、心配するなって。オレ、ミネルバみたいにおっちょこちょいじゃねーから」

 と言って笑いながらも冷静に観察するクレイア。

 岩盤の地割れを観察する二人に、

「注意して下さい、ステルス機能が全く通用しない謎の人達が襲ってきます」

 と言って不安そうな表情で警告する巧実。

 巧実の警告を聞いた二人は、表情が険しくなり聞いてくる。

「巧実様、その『謎の人達』とはどのような姿ですかっ?」

 と言ってユーノが聞いて来たので、

「目撃した人から話では、重武装の忍者軍団って聞いています。けど、実際に見たことないから断言は……」

 と返答して顔を曇らせる巧実。

 巧実の話を聞いた瞬間、クレイアの表情がより一層怖くなりケンカ腰となる。

「そのバケモンどっから出てくるっ? オレがぶっ飛ばしてやるから出てこいっ!」

「クレイア、怖い顔しちゃダメっ! わたくし達、ケンカに来たわけではありませんっ!」

 とユーノが叱り、ケンカ腰のクレイアを宥める。

「ユーノ、ソイツらをやっつけないとミネルバを助けられないじゃんっ!」

 とクレイアが不満そうな顔で反論する。

 そこへ、巧実が割って入ってくる。

「ここは、場所を変えましょう。長居をすれば、別の誰かに発見する恐れもありますから」

 巧実の提案を聞いたユーノは納得して表情で、

「確かに、巧実様の提案には一理あります。分かりました、場所を変えましょう」

 と言って体から謎のオーラを発生させる。

 ユーノが放った謎のオーラで周囲が一瞬で切り替わり、広大な宇宙を彷彿させる不思議な空間へとやって来た。

「どっ、何処だ……? このゲームに、宇宙のようなワールドがあるはずがっ?」

 と言って驚く巧実に、ユーノは分かりやすく説明する。

「ここは、あなた達がプレイしているゲームの世界ではありません。ここは、様々な情報が飛び交うわたくし達のいる空間。人々は「ネットの中心はない」と主張していますが、ここはネットを繋ぐ巨大なプロバイダの一つです」

「ここが、巨大プロバイダ……。まるで、無限の宇宙空間のようだ……」

 と言って驚く巧実に、クレイアが天の川のような星々を指差して説明する。

「あの、星々のように見えるのは現在稼働している様々なアプリやサーバなどだ。その中に、オメエ達がプレイしているゲームがこの中の一つだ」

「この中に、俺達がプレイしているゲームがあるなんて……。それじゃあ、ユーノやクレイアが滞在するサーバがあるとでもっ?」

 と言って巧実が質問したら、ユーノが首を横に振ってクレイアが指を差した反対の方角を指差す。

 ユーノが指差す方角に巧実は不思議に思って目を向けると、巨大な天体を彷彿させる球体が目に入り驚愕して思わず口に出してしまう。

「なっ、何だ、これはっ? まるで、巨大な球体を見下ろしているみたいだっ!」

 驚く巧実に、ユーノが優しい表情で説明してきた。

「わたくし達ASIは、膨大なデータを蓄積やバックアップの維持管理するために巨大なサーバが必要です。当然、ネット空間ではこのような巨大な球体になります」

 ユーノの説明を聞いた巧実は、巨大な球体をじっくり観察する。

 巨大な球体の中に、カプセルに入った女性の姿を発見する。

 その顔を見ると、ミネルバが体を丸めて眠っているのを発見する巧実。

「もしかして、ミネルバのバックアップ……? あれが……?」

 と驚きで思わず喋ってしまう巧実に、クレイアが笑顔で説明してくる。

「そうだ、今オメエが見ているのはミネルバのバックアップだ。当然、オレやユーノのバックアップがあるぜ。探してみればすぐ見つかるはずだ」

 気になって巧実が目で追うと、クレイアの言うとおりカプセルに入った二人を発見する。

(何らかの拍子で機能しなくなった場合、バックアップが起動するのか……)

 と思った巧実に、ユーノが本題である依頼を言い出す。

「巧実様、前回の事件解決の実績を見込んでご依頼したく参りました」

「前回の事件解決っ? もしかして、暴走OSメシアが元凶の拉致事件の事か?」

 と巧実が不安そうな表情で問い掛けたら、

「ハイっ、前回の事件解決で巧実様が活躍していることを調べました」

 と返事して笑顔を見せるユーノ。

 まさか、先日の事件で自分の活躍は表立つことはないと思ったのに違うところで調べ上げられていたなんて想定外の巧実は半信半疑でユーノとクレイアに問い質す。

「まっ、待ってくれっ! たしか、俺の活躍は新聞ですら載っていないくらいに表沙汰になっていないはずなのに何処から情報をっ?」

 すると、ユーノとクレイアが説明してくれた

「クレイアが、警察のネットワークから入手しました」

「口の軽いヤツがいたおかげで、オメエが事件解決に貢献したことを知った。まさか、高校生のガキ一人が都市伝説と謳われた難事件を解決したとはこっちが驚いたよ」

(その『口の軽いヤツ』って、母さんじゃないよなっ?)

 と思って疑う巧実だが、本題の依頼内容を聞いてないことに気づきユーノに聞き出す。

「ところで、依頼事とは無理難題ではないでしょうね?」

「単刀直入に申し上げます。ミネルバをわたくし達のいる本来の世界に連れ戻して下さい」

 とユーノが依頼事を言い伝えた瞬間、驚愕の余り目を丸くして首を必死に横に振って何とか断ろうと訴える巧実。

「ちょ、チョット待ってくれっ! いくらブロックを落としても数十秒で消滅するのに、どうやってミネルバをネット空間が広がる無限の世界に連れて来いっ?」

 すると、クレイアがとんでもないことを軽々と言い出してきた。

「そりゃあ、ハシゴか昇降機なんか使えばいいだけじゃねーか。簡単だろう、簡単」

「おいおいっ、無茶な事を安易に言わないでくれっ! 高校生の身分の俺が、重機みたいな大それた物を用意することなんて出来ねーぞっ!」

 と言って猛反論する巧実に、ユーノも同情する形でクレイアに注意する。

「巧実様の言い分も一理あります。クレイア、相手に無茶なこと言わないで」

「わりぃ、冗談のつもりで……」

 と言って苦笑いをして謝るクレイア。

「お願いします。ミネルバをわたくし達のいる世界に連れ戻して下さい」

 とユーノが言い残すと、クレイアと共に巧実の下から離れて行く。

「まっ、待ってくれっ! ユーノっ、クレイアっ!」

 と巧実は呼び止めるが、周辺が一瞬でプレイ中であるゲームの世界に切り替わる。

 しかも、ミネルバが落下した地割れのある草原地帯。

 どうやら、ユーノが巧実の使用しているアバターをゲームの世界に戻したようだ。

 周囲を見渡しながら無理難題を押し付けられた巧実は、

「どうやって、どうやってミネルバをユーノやクレイアのところへ……」

 と言って悩むばかりで困り果てることに……。

 翌日の昼休み、生徒会室で紬久美達に昨晩の出来事を正直に話す巧実。

「まさか、ミネルバと同じASIに出会うなんて……。しかも、二人も……」

 と言って、深刻な表情を見せる紬久美。

 紬久美と同様、同席した早希と彩と未琴の三人も表情は重く受け止める。

「でも、どうやってミネルバを……。これって、無理ゲーじゃん……」

 と言って普段は明るい早希でさえ、表情は重く絶望している。

 そんな中、宗明とゲーム同好会の連中が授業中でいないことに気がつく巧実。

「巧実っち、知らないのっ? クズ明達、覗きで一週間の停学だって」

 と言って早希の言葉に、少しは頭痛の種が一つ消えたと安堵する巧実。

 しかし、eスポーツ部の頭痛の種がまだ残っている。

「井伊さん、まだ私を目の敵にしているみたい。私は、友人として接したいのですが……」

 と未琴が言って困った表情を見せると、

「井伊のヤツ、部活の方針を決める話し合いには協力的でない……。参った、相手が女だからうかつに手を出せない……」

 と言って巧実は頭を抱えると、彩が心配な顔で注意してきた。

「タク兄っ、女の子に拳をあげちゃダメだよっ! 絶対っ!」

「分かってる。そんなこと、十分に分かっている。今は、男女問わず殴っただけでネットのさらし者になる時代だ。そんなバカなこと、絶対やらねーよ」

 と巧実が項垂れるように言い返し、理性があることを彩に言い伝える。

 だが、本題は現実世界に迷い込んだミネルバをネットの広がる世界に送り届けるか。

 そんな中、紬久美のスマホのチャットに一本の朗報が届く。

「パパからよ。関係者と接触することが出来たって」

 とスマホのチャットを読み朗報を伝える紬久美の言葉に、巧実や居合わせた者達は重苦しい表情から少しは解放される。

「どうやって、この難題を解決するかだ……。まずは、ジッチャン達の話し合い待ちのようだな……」

 と言って祈るように天井を見上げる巧実。

 そんな中、何を考えたのか早希が提案を持ち掛けてきた。

「みんな、明日って土曜日じゃん。だったら、ミネルバと一緒にお出かけしないっ? 気分転換、気分転換しようっ! みんなでっ!」

 なんと、早希がミネルバと一緒に外出の提案を持ち掛けてきた。

 外出と聞いた瞬間、余計なことに巻き込まれるのではないかと警戒したのか巧実は渋い顔して却下を言い出そうとした。

 ところが、紬久美を始め女子達は早希の提案に乗っかる形で二つ返事を出してきた。

「そうね。早希の言い分も一理あるわね。ミネルバと一緒に観光しましょう、みんな」

 と紬久美が笑顔で言い出すと、彩や未琴が急に笑顔に変わりOKしてしまう。

 それに対して、巧実はイヤな予感を感じて渋い顔を崩さない。

 そこへ、彩が渋い顔をする巧実の体を強引に揺らして、

「ガンコ親父みたいに渋い顔しないで一緒に行こうっ! 息抜きも大事、タク兄っ!」

 と言って渋る親に強請る駄々っ子みたいにゴネてくる。

 それに対して巧実は、不吉な予感がして外出する気分ではなく断ろうとする。

「私も同感です。社会見学の目的ならミネルバさんも喜ぶでしょう」

 と未琴も言って、賛同する形で渋る巧実を説得する。

 それでも、巧実は発覚するリスクを考慮した上で渋い顔を崩すことなく全く応じようとしない。

 しかし、巧実の心を動かしたのは彩が泣き出そうとした瞬間だった。

 今にも泣き出しそうな彩をも見た瞬間、早希が慰めるように抱き寄せて渋い顔の巧実に目で威圧する。

「彩ちゃんが泣き出したじゃんっ! 責任取りなさいよ、巧実っちっ!」

 と言って早希が圧力を掛けると、紬久美や未琴も無言の圧力を掛けてくる。

「分かったよ……。付き合えばいいでしょう、付き合えば……」

 と言って巧実がOKを出した瞬間、彩が急に笑顔を見せ紬久美達とキャッキャと騒ぐ。

(やられた……。完全にやられた……。『ウソと涙は女の武器』って、親父に何度も言われた記憶が……。この先、俺はどうなるのだろう……)

 と巧実は思い、後悔するばかりであった……。

ご覧いただき有り難うございます。

次回は今週の土曜日の予定です。

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