↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強高校生ゲーマー、現実と異世界を彷徨う  作者: マーサン
第六章 訪問者編(中編)
PR
64/73

6-5 暴走する母を止めろっ!

前回の続きになります。

暴走する主人公の母を何とかして口封じする回となります。

 ミネルバが二階に駆け上がった後、カウンター内のキッチンには香苗を挟み込むような形で立つ巧実と彩の二人。

 そして、カウンター席には早希と未琴の二人が座って陣取っている。

 こうして、ミネルバの存在を隠蔽すべく巧実達四人の作戦が緊急で決行された。

 店の手伝いにやって来たオバさん二人が、巧実達四人を見て不思議な顔をする。

「あらっ、今日は帰りが早いのね。巧実ちゃん、どうしたのっ?」

 とオバさんの一人が話し掛けてくると、

「今日っ、気分が優れなくて……。帰る途中、彩が『今日の授業で分からないところがあるから教えて』って寄ってきたから。なっ、彩っ!」

 と言って作り笑いしながら彩に振る巧実。

 すると、彩は巧実の言った事に合わせるように言い出す。

「今日の授業、ボクでも理解できないところがあったからタク兄に教えて貰おうと思って」

「家に帰ったら、母さんが開店準備で忙しかったから手伝ったわけ。だよね、母さんっ!」

 と言って誤魔化そうとする巧実だが、香苗が何も考えず正直に話そうとした。

「いそ……っ。いっ、いたたっ!」

 と思わず言って苦痛に歪む香苗は、怖い目で睨み付ける巧実に目を向ける。

 なんと、巧実は香苗の脇腹を指でギューッと力強く抓って口封じをしたのだ。

 苦痛に歪む香苗の顔を見た巧実は、

「母さん、忙しいからって無理しちゃダメだよっ! 腰に来るからっ!」

 と言って既成事実を作る。

 香苗は、脇腹を思いっきり抓る巧実を叱ろうとする。

「たっ、巧実っ! 何で……っ! いっ、いたたっ!」

「香苗オバさんっ、一人で仕事するから腰悪くなるよっ!」

 と彩が笑顔で言って、香苗の脇腹を指でギューッと力強く抓って口封じ。

 息の合った巧実と彩の二人の行動は、まるで長年連れ添った夫婦のようにも見える。

 それでも振り解こうとする香苗だが、巧実と彩の二人がサンドイッチ状態で強引に挟み込まれ身動きが取れない。

 さらに、巧実と彩の二人が笑顔を見せながらも獲物を捕らえる猛禽類のように鋭い目付きで香苗を睨み付ける。

 まるで、「ダメっ、喋っちゃダメっ」と巧実と彩の二人が訴えてるようにも見える。

 脇腹の痛み、巧実と彩の二人の威圧、大人の香苗でさえ言葉を失い脂汗を流す。

「腰痛めたのかな、言葉を失うくらい忙しかったもんね。ねっ、母さんっ!」

 と言って笑って誤魔化す巧実だが、笑顔なのに目が完全に怒っている。

 仕方なく、笑顔の中に潜む巧実と彩の二人に押される形で頷くしかない香苗。

「ところで、そちらのお二人さん先客かしらっ? まだ、開店時間まだだというのにっ?」

 ともう一人のオバさんが言って、陣取っている早希と未琴の二人に問い掛けてくる。

 すると、早希はアイコンタクトして未琴に話し掛ける。

「リベンジ、先日は夜遅かったから閉店だったから。ねっ、未琴っちっ!」

「私っ、もんじゃ焼き初めてで。多賀谷さんから聞いたら、本多さんのお母さんがお店をやっていると聞いて来ました」

 と未琴は言って微笑み、何事もなかったように振る舞う。

(何っ、演技うめぇ! 立花のヤツっ!)

 と思って驚く巧実だが、彩の膨れた顔が横目で見えたので気を引き締める。

「そうだっ! 俺っ、バックヤードに買ってきた食材の詰め込み手伝うよっ!」

 と巧実が作り笑いで言えば、

「ボクも手伝うっ! 香苗オバさん、腰痛めてるからっ!」

 と言って笑顔で場を誤魔化す彩。

 それでも、香苗は加勢に来たオバさん二人に白状しようとする。

 だが、巧実と彩の二人が脇腹を抓ってくるだけでなく早希と未琴の二人が目で牽制してきたため喋ることが出来ない香苗。

「マスター、あーしも協力するから少しサービスしてくれるっ?」

 と早希が笑顔で言えば、

「私も手伝いますっ! eスポーツ部の部長のお母さんがやっている店だものっ!」

 と笑顔で進言する未琴。

 香苗は巧実達四人の威圧に押される形で、

「そっ、そうね、お願いしようかしら……」

 と言って苦笑いするしかなかった。

 その後、巧実達四人は口の軽い香苗に威圧しながら開店準備に協力する。

 当然、巧実達四人がいなくても香苗がミネルバのことを話すことは全くなかった。

 重信が帰宅した頃は、自宅店舗の営業が既に終わっていた。

 リビングに顔を出すと、巧実と香苗の二人がいがみ合っている。

「巧実っ、どういう事っ? 私の脇腹を思いっきり抓ってっ!」

 と言って香苗が怖い顔をすれば、

「ミネルバのこと、手伝いに来たオバさん達にチクろうとするからだよっ! もし、俺達が早く来てなかったら大騒ぎに発展していたぞっ! 絶対っ!」

 と猛反論する巧実は一歩も引こうとはしない。

「待てっ、お前達っ! これは、どういう事じゃっ?」

 と言って中に割って入る重信は、巧実と香苗の双方から言い分を聞くことにした。

 巧実と香苗は、開店準備での出来事を無言で聞く重信に言い伝える。

 しばらくして、重信は重い口を開き巧実と香苗を黙らせる。

「お前達、少しは頭を冷やせーっ!」

 重信の怒号を聞いて驚く巧実とは対照的に、香苗は勝ち誇ったような表情を見せる。

 ところが、重信の怒りの矛先は香苗に向けられた。

 ここから、鬼の形相の重信と困惑する香苗が言い争いとなる。

「今回は、巧実の正論じゃあっ! 香苗っ、ワシがあれほど『目立つようなことをさせるのは御法度』と口煩く言ったはずなのにミネルバに何させとるっ!」

「えっ? お義父さん、巧実が私の脇腹を思いっきり……」

「もし、巧実達が一足来るのが遅かったら婦人会を通じて大騒動になるところじゃあっ!」

「でも、お義父さんミネルバが『協力します』って言ったから……」

「少しは状況を考えて遠慮せんか、香苗っ! 全く、お前は何も考慮せず遠慮しないから安心できんっ!」

「でも、お義父さん……」

「ええい、これ以上は問答無用っ! そこへ直れ、説教じゃあぁぁぁっ!」

 と重信の怒号に恐れ、香苗は仕方なくフローリングの床に正座するしかなかった。

 正座して肩を落とし不満そうな顔をする香苗の前に、重信があぐら座りで説教が始まる。

 香苗が何かしら反論しようとすれば、フローリングの床をバンッと強く叩き強制的に黙らせる重信は般若の面を被ったように鬼の形相。

 巧実はというと、仁王立ちで白い目で見るのみで何一つ文句を言うことはなかった。

 一時間後、拷問のような重信の説教で香苗の強靱なメンタルはボロボロ。

 その顔は完全に生気を失い、ゾンビのようにフラフラで誰が見ても病気ではと疑うくらい憔悴しきっていた。

 憔悴しきった香苗の顔を見た重信は反省したと確信して、

「今日は、ワシが出前を取る。これに懲りて物事を考えるのじゃぞ」

 と言うと般若の面を被った鬼の形相は元の穏やかの顔へと戻る。

 香苗は、叱られた子供のように黙って頷くこと以外に喋ることはなかった。

「ジッチャン、ミネルバの件はっ?」

 と言って気になった巧実が問い掛けると、

「明後日、会社で関係者と一人とコンタクトが取れそうじゃ。智晴が車で迎えに来るから、ミネルバと一緒に連れて行こうと思っている」

 と言って重信が返すと少しは安堵する。

 そんな中、気になってミネルバのいる部屋へと足を運ぶ巧実。

「ミネルバ、俺だ。入っていいかなっ?」

 と巧実が声を掛けたが、何一つ返事が返ってこない。

 気になって部屋のドアを開けたら、ミネルバの姿が何処にもいない。

(まっ、まさか家出っ? 隔離したのが原因っ?)

 と思った巧実は、血相を変えて家中を探す。

 家中を探す中、自室へ戻る巧実はパソコンに向かうミネルバを発見。

 どうやら、家族同士で口論している間にミネルバは巧実の部屋に入っていたようだ。

 ミネルバを発見して一安心した巧実は、

「ミネルバ、勝手に人の部屋へ……」

 と言って注意しようとする。

 だが、ミネルバの様子が異変を目の当たりにした巧実は表情は一変して驚愕する。

「母さんっ! ジッチャンっ! ミっ、ミネルバがっ! ミネルバがっ!」

 と叫ぶ巧実は、二階にいる香苗と重信を呼ぶのであった。

ご覧いただき有り難うございます。

次回は来週の火曜日の予定にしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。