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最強高校生ゲーマー、現実と異世界を彷徨う  作者: マーサン
第六章 訪問者編(中編)
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6-4 帰宅途中で

前回の続きになります。

主人公の自宅に戻る最中での出来事から帰宅して新たなトラブルに巻き込まれる回となります。

 授業が終わり、学校を後にする巧実は不安そうな表情で帰宅する。

 生徒会長の紬久美の計らいで、今日の部活動は休みとなった。

 帰宅する巧実の背後には、寄り道を断言する早希と未琴の二人。

 何故か、彩も陸上部の練習を休んで巧実の帰りに同行している。

(痛い……。背後から殺気を感じる……)

 と思う巧実は、背後から感じる視線に痛みを感じる。

 気になってチラリと振り向くと、怖い顔の彩が巧実を睨み付けているではないか。

「あっ、彩……。なんで、そんな怖い顔で俺を睨み付ける……」

 と言って巧実がゴクリと唾を呑むと、彩が怖い顔を崩すことなく淡々と返事する。

「別に。会長からタク兄の調子が悪いって聞いただけだから」

 まるで、浮気を疑いのある最愛の夫を睨み付ける嫉妬深い妻のようである。

 怖い顔で睨む彩に、早希が笑いながら宥めてくる。

「大丈夫だってっ! チョット見せただけでビックリする巧実っちだから、絶対襲ったりしないってっ! キャハハハっ!」

 だが、早希の怖い顔が般若のように怖くなり益々気まずくなる巧実。

(フォロにもなってないって、多賀谷……。頼むから、余計なことを言わないでくれ)

 と巧実は思い、恐怖に震えながら帰宅するのであった。

 帰宅する中、雑居ビルの狭間に小学生の男子四・五人が集まって遊んでいる。

「おーいっ、あの裂け目に物投げて誰が入るか勝負しよーぜぇ!」

 と男児の一人が言い出した瞬間、他の男児が面白そうに地面に落ちた空き缶やペットボトルなどを拾い始めている。

 巧実達が気になって雑居ビルの狭間へ向かうと、子供達が空にある謎の裂け目に目掛けて拾った物を投げているのを発見する。

「あの悪ガキ達、あーしが懲らしめてやるっ!」

 と言って怖い顔で男子児童達のところへ歩み寄る早希。

 ところが、巧実が早希の肩を掴んで引き留める。

「何で止めるのっ、巧実っちっ!」

 と言って怒る早希だが、何故か不敵な笑みを浮かべていた。

 さらに、未琴と彩がカバンから携帯ゲーム機を取り出し何か始めている。

 それを見た瞬間、巧実が何か企てていることを察知し乗ることにした早希。

 男子児童達が夢中で裂け目に空き缶などを投げて遊ぶ最中、裂け目から様々の石材ブロックがもの凄い勢いで落下してきた。

 落下の衝撃を目の当たりにした子供達は、驚きの余りに裂け目から急いで離れる。

 そこへ、巧実と彩と早希の三人が子供達の前に立ち塞がる。

「君達、こんなところで遊ぶと危ない目に遭うって分かるかな」

 と言って問い掛けるように注意する巧実に、恐怖で震える男子児童達。

 早希が追い打ちを掛けるように、

「いつ、落下物が落ちるのか分からないかな。もしかしたら、みんなが変な物を投げるからどんな恐ろしい物が落ちるかな」

 と言って男子児童達の恐怖心を煽ってくる。

 男子児童達が震える中、今度は木材ブロックがもの凄い勢いで落下してきた。

「そう言えば、この前には巨大なハンマーが落下したような。そのとき、地震と疑うようなもの凄い衝撃が隣のビルまで伝わってた」

 と言って彩が思い出しながら脅してくると、恐怖心が最高潮になった男子児童達が我先に逃げ出す。

 我先に逃げ出す男子児童達を見送り、巧実と彩と早希の三人はニヤリと笑う。

「上手くいきましたね。これに懲りて、子供達がここに来ることはないでしょう」

 と未琴が言って、自前の携帯ゲーム機をカバンの中に納める。

「何で、携帯ゲーム機をカバンにっ? 学校、持ち込み禁止だったはずじゃ?」

 と言って疑問に思った早希が質問してきたが、その答えは簡単だった。

「俺と立花はeスポーツ部に所属しているだろう。会長や外部の協力を借りて、条件付きだけど持ち込みOKにして貰った」

 と言って巧実が説明すれば、

「その条件は、『放課後以外、ゲーム機は使用しない』って内容です。当然、eスポーツ部は私を含めてみんな条件を守ってます」

 と言って未琴が説明を補足する。

 巧実と未琴の説明を聞いた早希は、「なるほど」と言いたくなるくらい頷く。

 さらに、巧実は部長として条件を遵守するための厳しいルールを口にする。

「念のため、学校に登校したら部室の各々のロッカーに携帯ゲーム機を入れて鍵を掛けている。部室の鍵は、俺が持っているから誰かが勝手に使用することはない」

「それって、厳しくねっ? 巧実っち、やり過ぎだよーっ!」

 と言って不満そうな早希に、巧実がeスポーツ部の部長として任されたからには徹底させる事情があった。

「吉良やゲーム同好会の連中は、休み時間を利用して携帯ゲーム機で遊んでいたからね。俺が、『風紀を乱すのであれば部は辞めろ』と言って強引に従わせている」

「なるほど、クズ明達のバカ騒ぎ対策か。納得、それなら」

 と言って、納得する未琴。

 だが、彩が携帯ゲーム機を所持しているのか疑問の巧実は質問する。

「彩、学校にゲーム機を持ち込んだら没取されるぞ。絶対」

「陸上部って案外緩いところがあるの。一応、ボクは更衣室にゲーム機を隠している」

 と彩が返答して、自分なりのルールを守っていることを知る巧実は安堵する。

 笑顔が戻り始めた中、背筋に妙な寒さを感じる巧実は帰宅する目的を思い出す。

「おっ、悪寒が……。そうだ、家に残したミネルバのことが……」

 と言って身震いする巧実は、自分の母である香苗の暴走でミネルバの存在が周囲に発覚するのではないかという不吉な予感を感じる。

 身震いする巧実を見た瞬間、家庭事情を誰よりも知る彩が顔を真っ青にして言い出す。

「香苗オバさん、家に誰がいようが事情がどうであろうがところ構わず店の手伝いを押し付けてくるから……。早く帰ろうっ!」

「それっ、マジでヤバいわね。急ごう、未琴っち」

 と早希が言って焦り出せば、未琴は頷いて巧実の自宅へ急ぎ足で向かう。

 こうして、帰宅した巧実は玄関ではなく店舗のある出入口を思いっきり開ける。

 すると、店内で香苗とミネルバが開店準備に備えて小麦粉やキャベツなどの食材をバックヤードに入れている最中だった。

「巧実、お帰り。あら、早かったわね」

 と香苗がテーブルを拭きながら言って、笑顔で出迎えてきた。

 その光景を見た瞬間、不吉な予感が的中した巧実は顔を真っ青にして香苗に詰め寄り、

「母さんっ! 「あら、早かったわね」じゃないっ! ミネルバに何させてるのだよっ!」

 と言って怒りを露わにする。

 すると、平然とした態度で香苗が返事をする。

「店の手伝いに決まっているじゃない。預かっているとは故、家族の一員だから店の手伝いくらい当たり理前でしょ」

 当然、香苗の返答を聞いた巧実は怒って文句を言い出す。

「母さんっ、ミネルバが誰かに見られたらどうすんだよっ! ジッチャンから、『ミネルバに目立つようなことをさせるのは御法度』って言ったの忘れたのかよっ?」

 そこへ、彩と早希と未琴の三人が入店してくる。

「香苗オバさんっ、今日は婦人会の人が店の手伝いに来る予定じゃなかったっ?」

 と彩が言って、血相を変えて香苗に駆け寄ってくる。

「だって、早く準備すれば余裕を持って開店できると思って手伝って貰っているの。それに、ミネルバさんが『協力します』って志願したから」

 と言って無神経な香苗を見た瞬間、巧実と彩の二人は詰め寄り猛反論を開始。

 その間、早希と未琴の二人は準備作業をするミネルバを引き留める。

「ミネルバ、店の手伝いはいいから早く上に上がってっ!」

 と巧実が言い出すと、不思議そうな顔で困惑するミネルバが質問してくる。

「どうしてですかっ? この物資の量から算出すると、香苗様一人だけでは開店予定の時刻には到底間に合いそうでは思えませんがっ?」

「大丈夫っ、俺達が来たからっ! とにかく、早く上がってっ! ミネルバっ!」

 と巧実が叫んで指示を出したので、首を傾げながらも二階に上がるミネルバ。

「絶対っ、窓を開けて見下ろしちゃダメだぞっ! ミネルバっ!」

 と言って巧実が、二階に駆け上がるミネルバに指示を送る。

 その間、早希と未琴の二人は来客の振りをするようにカウンター席に座る。

 こうして、店の手伝いに来たオバさん二人が入店してくるとカウンター内のキッチンには香苗を挟み込むように立つ巧実と彩の二人、カウンター席には笑顔で手を振る早希と未琴の二人が座って陣取っている。

 こうして、ミネルバの存在を隠蔽すべく巧実達四人の作戦が緊急で決行される。

ご覧いただき有り難うございます。

次回は今週の土曜日の予定です。

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