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最強高校生ゲーマー、現実と異世界を彷徨う  作者: マーサン
第六章 訪問者編(中編)
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6-2 朝の食卓にて

前回の続きになります。

次世代AIが居候となった翌日の食卓での騒動となります。

「巧実様、おはようございます。今、朝六時十一分になります」

 とミネルバが声を掛けてきた瞬間、突然目を覚まして飛び起きる巧実は慌ててリビングのある二階に駆け下りる。

「母さんっ、ミネルバを目覚ましに利用するなって何度も言ったのにーっ!」

 と巧実が台所で朝食を作る香苗に文句を言うと、

「あら、今日も早起きね。これくらい早起きだと、母さん助かるけど」

 と言って何事もなかったように朝食を作り続ける香苗。

 まるで、何事もなかったような振る舞いを見せている。

 香苗の無神経な行動に苛立つ巧実は、

「一応、ミネルバを預かっている立場だよっ! もし、変な行動でミネルバが見つかったら目も当てられない状況になるって分かるっ! 母さんっ!」

 と文句を言い出す。

 それに対して香苗はというと、至って平常心で朝食を手際よく作っている。

「巧実っ、そんなにカッカしないの。一応、ミネルバさんは我が家の居候。だったら、家の手伝いくらいするのは当たり前じゃない」

 と香苗が言って、巧実の言い分を聞き逃すように平然とテーブルに朝食を用意する。

 それでも、巧実は平然としている香苗に文句を言い続ける。

「何シカトしているんだよ、母さんっ! 今は、ミネルバを保護しているから変に目立ったらとんでもないことにっ!」

 そこへ、寝ぼけ眼の重信がリビングに姿を現す。

「ふあぁぁぁっ。朝からうるさいぞ、巧実っ!」

 と言って重信が注意すると、

「ジッチャンっ! また、母さんがミネルバを目覚まし代わりにっ!」

 と言い返して自分の主張を訴える巧実。

「そんなことぐらいで怒るな、巧実っ! 母さんの言い分、ワシでも十分理解している。保護しているとは故、ミネルバは居候しているのだから家の手伝いは当たり前じゃ」

 と言って重信が叱り、香苗の肩を持つように巧実の言い分を一喝する。

 項垂れる巧実、至って平静な香苗、気難しい顔をする重信が言い合っている。

 そこへ、ミネルバが不思議そうな表情で姿を現す。

「皆さん、朝から興奮しているようですが原因は私でしょうかっ?」

 とミネルバが言って、揉め合っている巧実と香苗と重信の三人に問い掛けてきた。

 すると、香苗は不思議そうな顔で問い掛けてくるミネルバに、

「気にしなくていいのよ。ちょっと、巧実がうるさかっただけ」

 と笑顔で答えてテーブルに朝食を手際よく並べる。

 何事もなく朝食を並べる香苗に文句を言おうとする巧実だが、

「朝メシじゃ。早速、頂くとするかのお」

 と言って割り込むように席に着く重信。

「巧実、歯磨きまだでしょ! サッサと歯磨きしなさいっ!」

 と香苗が言って、不満そうな巧実をねじ伏せるように注意する。

 何気ない香苗と重信の圧力に押される形で、仕方なく洗面台に向かう巧実だった。

 その後、一家でテーブルを囲んで朝食を取る。

 普段通りの食卓の風景、何故か巧実は横目で気にする素振りをしながら朝食を取る。

「巧実っ、よそ見しないで食べなさいっ!」

 と香苗が言って、横目で気になっている巧実を注意する。

 横目で気にする素振りをする巧実を見て、視線の先を追う重信が気にする理由が何となく言い分が分かる重信。

 ミネルバは、差し出した食事に手を出さず観察するのみ。

 一つずつ食器に手を取ったと思ったら、不思議そうな表情であらゆる方向から観察する。

 巧実の言いたいことが理解できた重信は、

「ミネルバさん、お前の朝メシじゃ。冷めない内に食べなさい」

 と言って食事を勧めてくる。

 香苗も状況を察したのか、

「食べなさい、朝ご飯。ミネルバも、今は私達家族の一員なんだから」

 と言って笑顔でミネルバに食事を勧める。

 すると、ミネルバは不思議そうな顔で食べている最中の巧実や食事を勧めてくる香苗と重信に質問してくる。

「私の食事ですかっ? どうやって食べていいのか分かりません」

 ミネルバの質問を耳にした巧実は、食事を一端止めて手を合わせながら、

「ミネルバ、俺の見まねをして。まずは、「頂きます」と言ってご飯から食べる」

 と言って軽くお辞儀をしながら再び食事をする。

 すると、ミネルバは不思議そうな顔をしながら手を合わせて「頂きます」と軽くお辞儀をしてご飯から手を出す。

 理解が早いのか、適応能力が高いのか、見まねしながら箸でご飯を食べるミネルバ。

 誰もが一安心したかと思ったら、香苗が異変に気づき巧実を叱る。

「巧実っ、行儀が悪いわよっ! ご飯、零しているじゃないっ!」

「おっ、俺じゃないよっ! 俺じゃないっ!」

 と巧実が言って、食事を中断して必死に否定する。

 当然、重信が後を追う形で巧実を叱り飛ばす。

「コレっ! 食べ物を粗末にするとは、なんて罰当たりじゃ!」

「だから、俺じゃないってっ! ジッチャン、隣だよっ! 隣っ!」

 と巧実が言って、食事中のミネルバを指差す。

 不審に思いながらも重信は、巧実が指差したミネルバの床を疑うように見る。

 すると、ミネルバが食べたものが床に落ちて巧実の席のフローリングに転がっているのを発見してしまう。

 ミネルバが味噌汁を飲もうとしたとき、不味いと思って重信が慌てて席から立ち上がり、

「待てっ、待つのじゃミネルバっ! 床が、フローリングが汚れるっ!」

 と言って食事中のミネルバを制止する。

 巧実も、重信に加勢する形で食事中のミネルバを制止した。

「ストップ、ストップっ! 一端、食事を止めてっ! ミネルバっ!」

 巧実の声が届いたミネルバは、味噌汁の入ったお椀をテーブルに置き不思議そうな顔で慌てふためく巧実と重信を見つめる。

 これで一安心と思ったら、ミネルバの異変を見て香苗が、

「警察っ? いやっ、お祓いっ? どこへ、どこへ電話を掛けたらっ?」

 と言ってスマホを取り出したままパニックになる。

 その指先の震えから、香苗の動揺が相当である事が伝わってくる。

 香苗の行動を見た瞬間、思わず席から離れた巧実は、

「今度は母さんかよっ! 母さん、電話を掛けたらヤバいってっ! ストップ、母さんっ! ストップっ!」

 と言って必死に制止するべくスマホを取り上げようとする。

 だが、パニックになった香苗の握力と暴れ方は異常で巧実の制止を振り切ろうとする。

 巧実一人では無理と判断した重信は、

「巧実の言うとおりじゃ、香苗っ! 警察に電話したってお前が変人扱いされて誰も相手にせんぞっ! 落ち着け、とにかく落ち着け、香苗っ!」

 と言って暴れる香苗を背後から羽交い締めにして身動きを奪う。

 それでも激しく抵抗する香苗だが、背後から羽交い締めにした重信の腕力で身動きが取れない。

 この隙に巧実は、チョップで香苗の握るスマホを叩き落とし速攻で回収する。

 そのショックで我に返った香苗は、ハアハアと息を切らせて巧実と重信の顔を見る。

 取り押さえる巧実と重信も、ハアハアと息を切らせながらも正気を戻した香苗を見て一段落する。

「ジッチャン、こんなの毎日続くのかな……」

 と巧実が言って、曇らせた表情で不安になる。

 不安そうな顔を見た重信は、

「早く帰ってきてくれ、勝也……。ワシ等二人では、体が持たん……」

 と思わず言って同情してしまう。

 勝也の名を聞いた巧実は、

「親父……、今はイタリアでスタジアム建設に携わっていたっけ……」

 と言って自分の父が海外で仕事をしていることを思い出す。

 巧実達三人の行動を見たミネルバは、

「皆さん、心拍数が上がっています。何か、問題があったのでしょうか?」

 と不思議そうな顔で話し掛けてくる。

 巧実は、息を切らせながらも何事もなかったように返答する。

「大丈夫……。チョットだけ、パニックになっていただけだから。母さん……」

 巧実の返した言葉に、首を傾げて悩むミネルバであった。

 こうして、朝食を終えた巧実は早々と制服に着替えて学校に向かう。

 重信も同様、スーツに着替えて会社へ向かう。

 登校する巧実は、自宅に残したミネルバのことが気になって仕方なかった。

(母さん、ミネルバを変なことに巻き込まないでくれ……)

 と思う巧実は、先行きの不安による不吉な予感を感じる。

 食事も喉に通らない朝のトラブル、不安と空腹で学校に向かう巧実。

 この後、学校が終わって帰宅する巧実の不吉な予感が的中することになる……。

ご覧いただき有り難うございます。

次回は今週の土曜日の予定です。

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