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最強高校生ゲーマー、現実と異世界を彷徨う  作者: マーサン
第五章 訪問者編(前編)
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番外編 勧誘大作戦

番外編です。

主人公の知らないところでeスポーツ部の加入を画策する回となります。

「はあっ……。こんなに揉めるなんて……」

 と言って紬久美が、ため息を吐いてコの字で囲った長机の中央の席で悩んでいた。

 背後のホワイトボードには、電脳部とゲーム同好会の合併協議が大々的に書かれている。

 席には誰もいない中、紬久美一人が残って頭を抱えている。

 そこへ、早希が生徒会室に入ってくる。

「ちーすっ! あれっ、どうしたのっ? 紬久美っ?」

 と言って早希が笑顔で尋ねてきたが、紬久美は重苦しい表情で話し出す。

「まさか、電脳部とゲーム同好会との合併で揉めるなんて……」

「たしか、電脳部の部長って私達の隣のクラスにいる直子なおこっちじゃなかったっ? 紬久美っ?」

「そうよ、電脳部の部長である井伊いいさんにeスポーツ部の部長を打診したの。そうしたら、「ゲーム同好会のバカ共に関わりたくない」と断られたから困っているわけ」

「直子っちって、たしかあーし達の隣のクラスにいる堅物で成績優秀な女の子だったはず」

 と言って早希は、直子について思い返す。

 井伊直子、巧実や早希や宗明に加え未琴の四人のいるクラスの隣にいる女子。

 未琴が転入するまでは学年成績トップで、部員が三人しかいない電脳部の部長を務める。

 大家族の長女でしっかり者だが、ゲーム同好会の宗明とメンバー三人とは軽蔑した目で拒絶していることがある。

「聞いたよ、みんなから。クズ明のヤツ、直子っちに「まな板女」ってケンカ売ったそうじゃない」

 と早希が言ったら、紬久美が肩を落として正直に話す。

「なんで、本多君が関わりたくないか何となく分かってきたわ。こっちが穏便にことを運ぼうとしていたとき、吉良君が無神経なこと言うから井伊さんと口論に発展したのよ」

 どうやら、揉めている元凶が宗明と直子の口論。

 紬久美の困り事を聞いて、宗明の無神経な発言に怒りを覚える早希。

「あのクズ明っ、女の子にデリカシーのないこと言うのはNGなの分かってないっ!」

 だが、問題は他にもあった。

「eスポーツ部へ改名するにしても、花形的な強者の存在がいな言ってことよ……」

 と言って困り顔の紬久美を見て、何となく納得する早希は想定することを言い出す。

「電脳部の女の子達がゲームは初心者と想定しても、最大のネックはゲーム同好会の連中がポンコツレベル。紬久美が悩むの分かるーっ」

「はあーっ、もう少しゲーム同好会の実力がマシなレベルだったら……」

 と言う紬久美は、疲れ切った表情をしている。

 それでも、紬久美は秘策を用意した。

「実を言うと、ウワサで聞いた校内の強者に声を掛けて勧誘を誘ったの」

「スゴイじゃん。やっぱ、紬久美ってタダじゃ転ばないわね」

「収穫なのは、立花さんが素直に応じてくれたぐらい。まさか、ゲーム同好会が想像以上に嫌われているなんて思っていなかったわ……」

 と紬久美が言って、自分の苦労を早希に打ち明ける。

 早希は紬久美の苦労話を聞いて納得して重苦しい表情を見せるが、数分もしない内に何かを閃いて提案を持ち掛ける。

「ねえっ、巧実っちに話を持ち掛けたっ?」

「無理っ、無理だって。ウワサでは、無理難題を吹っ掛けて断っているって……」

 と言って頭を抱える紬久美は、巧実の勧誘するリスクを訴える。

「でも、ゲームではチートレベルの強さで名だたるチームと互角に戦える凄腕。もし、巧実っちがeスポーツ部に加入すれば即戦力になるじゃんっ!」

 と言って笑顔の早希は、巧実が加入するメリットを紬久美に主張する。

 だが、紬久美は巧実がeスポーツ部に加入するリスクを提案してきた早希に訴える。

「現に、ゲームで不良三人組が運営する十数人のギルドを一人で全滅。その上、三人の悪事をネット公開して停学に追い込んだってウワサで聞いたからダメよ……」

「それでも、ゲームに関する知識は豊富な上に加入が決まった未琴っちとツートップになるから絶対に有名になるってっ! 紬久美っ!」

「早希、簡単に言うけど大きいって……。リスクが……」

 と紬久美が困り顔で訴え、懲りずに巧実の勧誘する提案を持ち掛ける早希に最大のリスクを主張し却下しようとする。

 やはり、生徒会長の立場である紬久美は出来るだけリスクを避けたい気持ちが強い。

 巧実の加入するメリットを主張する早希、それに対するリスクを訴える紬久美。

 そこへ、何故か学校に訪問してきた重信が姿を現す。

「どうした、二人ともっ? 何か揉めているようだがっ?」

 と重信が言って、口論を繰り広げる紬久美と早希の二人に事情を聞き出そうとする。

 すると、紬久美は浮かない表情で重信が学校に訪問してきた理由を尋ねる。

「学園長と意見交換してきた帰りじゃ。実を言うと、eスポーツ部の創設について意見交換してワシが提案した」

「おじ様、上手くいったのっ?」

「上手くいったぞ。予算不足に関しては、幾つかスポンサーをつければ解消できると提案したら、「早速スポンサーを探す」と学園長が喜んでいたぞ」

 と言って重信が笑顔で自慢すると、羨ましそうな目で見る紬久美は困り果てる。

 そこへ、早希が場の空気を読まず重信に話し掛けた。

「紬久美っ、eスポーツ部の件で強者捜しに奮闘しているってよ」

「こらっ、変なこと言わないでっ! 早希っ!」

 と紬久美が早希に注意すると、気になって事情を聞き出すべく相談に乗る重信。

 相談に乗る重信の顔を見た紬久美は、仕方なく電脳部とゲーム同好会の合併協議について揉めていることから話し始める。

 そして、eスポーツ部で戦力になれる人材を勧誘に苦労していることを打ち明けると、

「早希が本多君を誘ったらと提案したから、リスクは大きいから却下しているの」

 と言って悩みを重信に打ち明けた。

「もし、巧実っちが公開処刑しなかったら今頃は不良三人組がのさばっていたじゃない。別の意味で感謝すべきよ。紬久美っ!」

「それはそうだけど、下手したら本多君も停学どころじゃなくなるわよ。早希っ!」

 と紬久美と早希が口論を始めようとしたとき、重信が強引に割って入る。

「それなら、彼女の言うとおり巧実を誘えばよい。お嬢様、ワシが説得するぞ」

 と重信が言って、提案してきた早希の肩を持つ。

 だが、紬久美は様々な問題点を指摘して巧実の勧誘に難色を示す。

 難色を示す紬久美の重苦しい表情を見た重信は、これまで巧実が何を仕出かし問題を引き起こしていると察して、

「それなら、ワシに考えがある。お嬢様、ここはワシに任せては」

 と重信が言って重苦しい表情を見せる紬久美を励ます。

「おじ様、何か考えがあるのではっ?」

「巧実の問題は、とにかく一匹狼になりたがることじゃ。今は良くても、社会に出たら協調性が必要。もし、そのような振る舞いを続けたら最悪は誰も相手されなくなる」

 と言って巧実の短所を指摘する重信を見た瞬間、何を考えているのか想像が出来ず目を丸くしてキョトンとして表情をする紬久美。

 それに対して、面白い予感を感じた早希は興味津々で目を輝かせている。

「何考えているか分からないけど、巧実っちのお祖父ちゃん何か考えているっ?」

 と興味津々の早希が言って、重信に詰め寄るように問い掛けてくる。

 すると、重信は浮かない表情の紬久美と興味津々の早希を集め秘策を伝える。

「本当に、上手くいくのですかっ?」

 と言って不安そうな表情の紬久美に、

「この作戦には、仲間が多ければ成功率が上がる。出来れば、ある程度の強者が一人でもいれば確実じゃ」

 と言い返し自信を漲らせる重信。

 すると、スマホを取り出した早希がやる気満々で紬久美と重信に話し掛けてくる。

「では、未琴っちにLINE入れちゃおうっと。未琴っちが加わったら勝てそうじゃん」

 早希が未琴を呼び出すことを耳にした紬久美は、

「なるほど、立花さんだったら本多君と渡り合えるかもしれなわね」

 と言って勝機が見えてきた。

「他にも、仲間を集めて貰いたい。ある程度、時間稼ぎが必要じゃ」

 と重信が言って、紬久美と早希の二人に仲間集めを進言する。

 重信の進言を聞いた紬久美と早希の二人は、あらゆる連絡手段を利用して仲間集め行う。

 全ては、巧実をeスポーツ部に加入されるために。

 その行動を見届けた重信は、安堵した表情で言い残して生徒会室を後にする。

「仲間が集まったら電話で連絡してくれ。場所は追って連絡する」

 その後、重信の秘策で巧実がeスポーツ部に入部することは言うまでのなかった。

 しかも、勝手に退部させないようeスポーツ部の部長という重役を押し付ける形で。


ご覧いただき有り難うございます。

次回は今週の土曜日の予定です。

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