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最強高校生ゲーマー、現実と異世界を彷徨う  作者: マーサン
第五章 訪問者編(前編)
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5-9 家族会議

前回の続きになります。

現場検証後、帰宅した主人公がリビングに向かうと次世代AIを交えて家族会議を開く回になります。

 現場検証が終わり、紬久美と早希と未琴の三人と別れた巧実は彩と一緒に帰宅。

「今日、店は定休日だから羽を伸ばせそうだ」

 と言って背伸びする巧実に、彩が不満そうな顔でツッコミを入れる。

「タク兄って、いつも屁理屈言って逃げてばっかじゃん。ボクだって陸上部の練習だけじゃなく、合間を縫って香苗オバさんの店の手伝い無理しているのだよ」

「俺だって、入りたくないeスポーツ部に強制入部。しかも、なりたくもない部長に任命されて大変だぞ。吉良を含むゲーム同好会のバカ連中の面倒、いつも不機嫌な電脳部組の女子三人との仲介役、板挟みになる俺のことも少しは考えてくれ」

 と巧実は、ツッコミを入れる彩に自分の不満を言い返す。

 いままでは、誰とも関わらず気分次第でゲームの助っ人屋のバイトをしていた巧実。

 ところが、紬久美達の策略でeスポーツ部への強制入部と部長の任命で悩まされる巧実。

 現在、戦力になっていないゲーム同好会の連中の立て直しと、合併した電脳部組の女子三人との摩擦が頭痛の種。

「電脳部の部長、何故か立花を目の敵にしているからな……。立花が転入する前、電脳部の部長が学年トップで自慢にしてたからな……」

 と言って巧実は、eスポーツ部のギスギスした現状を彩に伝える。

「そうか、タク兄も悩みがあったなんて知らなかった。今度、機会があったら会長さんと話してみるよ」

 と言って笑顔を見せる彩に、

「ちょ、チョット待てっ! これ以上、弱みを握られたら俺の高校ライフがマジ最悪になる。勘弁してくれ、彩……」

 と言って困り顔で留めさせる巧実。

 こうして、彩を実家のマンションに送り届けた巧実は隣にある自宅に戻る。

 ところが、二階のリビングでは祖父である重信を囲んで重苦しい雰囲気となっている。

「まさか、彼女が現実世界にやって来たASIだと言うのかっ?」

 と重信が言うと、重苦しい表情でテーブルの席に座るミネルバをじっくり観察する。

「かっ、母さんっ? ひっとして、ジッチャンに話したのではっ?」

「当たり前でしょ。お義父さんに話したら、何かしら解決策が浮かぶと思って」

 と巧実の問い掛けに、香苗は重苦しい表情で正直に返答する。

 後先考えず隠し事をしない香苗の性分、新たな頭痛の種が増え頭を抱える巧実。

「はぁ……。母さん、前回の件で面倒事になったの覚えている……?」

 と巧実がため息交じりで問い掛けると、

「もし、私が警察に連絡していなかったら長期化する恐れがあったじゃないっ! それに、お義父さんだって帰ってきたのだから結果オーライでしょうっ! 結果オーライっ!」

 と香苗が言い返し自分は間違っていないと自己主張する。

 巧実は頭を抱えながら、母である香苗のポジティブ思考と相手や周囲のことを考慮しない自己優先力に悩まされている。

「母さん、今回は行方不明者が全員発見したことがニュースになったおかげで俺の功労が不問になって良かったけど……。下手したら、普通な生活が出来なくなるよ。絶対……」

 と言って巧実は、香苗の性分にため息交じりに不満をぶつける。

 それでも、他人事のようにしか思っていない香苗は平然としている。

「巧実、ワシに話すことがあるだろう。席に座りなさい」

 と重信が言ってきたので、仕方なく香苗の隣に座る巧実は現場検証のことを報告した。

 彩がミネルバを発見した場所が実家の近くにあったこと、発見した場所の上空に深い裂け目があったこと。

 そして、発見した路面にゲーム内の様々なブロックやアイテムの類いが山のように積み上がっていることを重信に話す巧実。

「ゲームの世界で、巨大な裂け目の最深部から現実世界の路面が見えた。でも、どのような手段で岩盤を破壊したのか。一体、誰が犯人なのか現段階では分からず……」

 と言って報告を終えた巧実は、重苦しい表情で聞く重信の様子を伺う。

 ゲームの世界では顔半分がヒゲで覆われる子供の背丈の老いたドワーフだが、現実世界ではヒゲ一本もなく悪役専門の俳優みたいな強面で白髪だらけの長い髪を束ねている。

(母さんから、「ジッチャンが若いときはモテモテだ」って聞いた事が……)

 と思う巧実は、老人にしては以外と高身長で香苗の話はウソではないなと肌で感じる。

 巧実の報告を聞いた重信は、重苦しい表情で瞼を閉じて今まで起きた出来事を思い返す。

 それは、先日に遭った暴走OSメシアが元凶の行方不明事件の記憶。

 巧実と香苗の二人は、瞼を閉じて黙考する重信に固唾を呑む。

 しばらくして、重信が重い口を開いた。

「ワシの考えだが、メシアと名乗る暴走OSの悪影響が残っているかもしれんぞ」

「ジッチャン、それってどういう事っ?」

 と巧実が思わず問い掛けたら、重信は今まで経験したことを考慮して説明する。

「前回の原因は、宇喜多の大バカ者が不完全の状態でゲームを販売に踏み切ったからじゃ。その結果、メシアと名乗る暴走OSがゲーム内のプログラムに干渉して現実では考えられない異常現象を引き起こした」

「でも、メシアは俺の手で倒したから消滅したはず。それに、ジッチャン達が修正バッチを配信したから問題は起きないはずではっ?」

 と言って反論する巧実だが、重信は想定外の状況を考慮して再び説明する。

「確かに、暴走OSは巧実の手で消滅した。それに、修正バッチを配信したから不具合は理論上ない筈。だが、暴走OSメシアの影響が完全に残っていないとは断言できん」

 重信の一言が重く受けたのか、言葉を失う巧実はガックリと肩を落とす。

「現に、ミネルバと名乗る若い女性が現実世界に迷い込んできたのが何よりの証拠。もしかしたら、ワシですら気づかぬ不具合が残っているかもしれない」

 と重信が言い出した瞬間、これまでの苦労が何だったのかショックを受ける巧実。

 ショックを受ける巧実を見て、フォロをするように褒める重信

「でも、巧実が誰も知らないところでも動いたおかげでワシ等が現実世界に戻れたのは事実。巧実、それに関しては誇っていいぞ」

 そのフォロに救われた巧実だが、重信は戒めも忘れず言い伝える。

「じゃが、良いことをやっても世間から評価されるのは一瞬だけ。逆に、一度の悪事で何十年も悪評は残る。下手すれば一生消えぬウワサになる。巧実、その事を肝に銘じなさい」

 その一言が何を伝えたいのか、何となく理解した巧実は一度頷いて気を引き締めた。

「話を戻す。香苗の証言、巧実達の現場検証、これらを考えるとメシアの影響が関わっているかもしれん

 と重信が言ってまとめ上げると、巧実が疑問に思ったことを言い出す。

「仮に誰かの仕業としても、何の目的で岩盤を破壊したのか?」

 巧実の疑問を聞いて、香苗は「確かに」と言いそうな目が覚める顔を見せる。

 それでも、重信は冷静に分析して巧実に言い返す。

「現段階では、誰が岩盤を破壊したのか見当がつかん。恐らく、ゲームのプログラムに関して熟知して者に限られることは間違いないじゃ」

 重信の言い分に、まさかと思って巧実が自分の目疑うような事を言い出す。

「疑いたくないけど……。それって、今いる社員か辞めた社員の仕業とでもっ?」

「信じたくはないが、このような悪事を今の社員が働くとは雰囲気や人柄を見て考えにくい。限られるとすれば、何らかの理由で恨みを持つ人物に絞られるのがワシの見解じゃ」

 と重信が自分の見解を言うと、気が引き締まる思いで聞く巧実と香苗の二人。

 そんな、重苦しい雰囲気を壊すようにミネルバが割って入ってきた。

「これから、私はどうすれば?」

 ミネルバの問い掛けに、重信が話題を切り替えるように言い出す。

「しばらく、家にいなさい。ワシも、研究機関の知り合いに直に会って話してみる」

「ジッチャン、小早川って男がASIの開発に深く関わっているよっ!」

 と言って巧実が思い出すと、新たな情報を手に入れた重信は面接の記憶が蘇る。

「そうか、あの気の小さい男がミネルバを。これは、今回のキーマンになりそうじゃ」

 重信の「家にいなさい」の一言を聞いた香苗は、

「では、一部屋空いているから使って。服は私が用意するから」

 と言って支度にするべく立ち上がる。

 その香苗に重信が呼び止め、

「香苗っ、ミネルバに目立つようなことをさせるのは御法度じゃ。特に、店の手伝いをさせることは余計目立つ」

 と言って厳しく忠告する。

 重信の忠告を聞いたのか、聞き流しているのか定かでないが、香苗は「分かっているわよ」と言い残して立ち去って行く。

 香苗の背中を見る巧実は、

「ホント、大丈夫かな……? 母さん、以外と視野が狭いところがあるから……」

 と言って不安に思うのであった……。

ご覧いただき有り難うございます。

次回は今週の土曜日の予定です。

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