↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強高校生ゲーマー、現実と異世界を彷徨う  作者: マーサン
第五章 訪問者編(前編)
PR
54/73

5-6 モデルとなった女性(後編)

前回の続きになります。

女性客が次世代AIのモデルを引き受けることになった回となります。

「……これが、プロジェクトが進行しているASI達との関係の始まり。ここから、今言った守秘義務と深く関係する話になるから」

 と言って千尋の真顔を見て、ここから自分達の知りたい本題になると確信する巧実達。

 何故、芸能界に興味を全く示さない千尋がASIのモデルの依頼を引き受けたのか?

 そして、引き受けた仕事の内容はどのようなものだったのか?

 耳を傾ける巧実は、どのような経緯で千尋がASIのモデルとなったのか静寂を守るように聞くことになる。

 そんな中、千尋はカウンターの上に一枚の手紙を静かに差し出す。

 千尋が差し出してきた手紙は、依頼主である研究機関の名義と差出人の名前である。

「こっ、これって、この研究機関って宇喜多が在籍した所と同一じゃんっ?」

 と言って驚く早希と同様、居合わせた誰もが目を丸くして驚く。

 なんと、かつて宇喜多が在籍した研究機関がASIのモデルを千尋に依頼してきたのだ。

 カウンターに置かれた手紙を手に取った紬久美は、代表して居合わせた者達に読み上げることにした。

「えーとっ、「拝啓、水戸千尋様……。」……」

 ……わたくしは、研究機関で最先端AIを開発している者です。先日、在籍している大学の学園祭でミスキャンバスに選ばれたウワサを聞き手紙を送りました。ご無理を承知の上ですが、開発したばかりのAIのモデルをご依頼致します。もし、質問やご不明な点などがありましたら連絡を下さい……。

「「……最先端情報工学研究機構、小早川こばやかわ金秀かねひで」って。あれっ?」

 と言って何かを思い出す紬久美を見た瞬間、何処かで面識がある人物だと察し聞き出そうと話し掛ける巧実。

「会長っ、もしかして心当たりがっ?」

「うーん……。数日前、パパの会社に来たときだけど。たしか、面接に来た男かしら……」

 と言って紬久美は、バックからスマホを取り出し千尋や巧実達に写真を見せる。

 スマホの画面には、眼鏡を掛け気弱そうに扉から出てきた一人の男性が映し出される。

 気弱そうなスーツ姿の男性は、扉から出てきたときには肩を落としため息を吐いている。

「パパからは、再就職の面接に来た人だって。でも、教えてくれたのは苗字だけ……」

 と話す紬久美は、スマホの写真の顔を拡大して千尋や巧実達に見せる。

 食い入るように写真を見る千尋は、目を丸くして驚きながら指を差して主張する。

「こっ、この人ですっ! 間違いなく、私にモデルの依頼をした人ですっ!」

 まさか、紬久美が撮影したスマホの写真がモデルを依頼した人物と同一だなんて思いもしなかった巧実と居合わせた者。

 さらに、ミネルバも小早川について証言をする。

「マスター、主任達に振り回され「辞めたい」って何度も呟いていました」

 なんと、小早川は開発メンバーにパワハラを強いられていることを証言したのだ。

 しかも、小早川のことを「マスター」と呼ぶ当たり開発初期から関わっているのは確実。

 ミネルバの証言を聞いた巧実や居合わせた者達は、小早川が紬久美の父が経営している会社に来ていたのか理由を聞かずとも何となく理解できた。

「やはり、小早川は現在の上司や開発メンバーとのパワハラに耐えかねて転職っか。どうやら、面接の結果は落とされたみたいだな」

 と言って巧実が推測すれば、

「パパから聞いたけど、「もう少し覇気があれば採用は考えていた」って言ってた。それに、宇喜多の一件があるから研究機関からの採用に慎重になっているみたい」

 と紬久美は父である智晴が話してくれた事や内情を言い出す。

 巧実と紬久美の言い出した事で場の空気が重苦しくなるが、本題は千尋がASIのモデルの依頼を引き受けた理由は何か。

 そして、ASIのモデルの仕事はどのような内容なのか。

 話題を戻すように香苗は、重苦しい表情を見せる千尋に優しく声を掛ける。

「話を続けてくれない? あなたが、ASIのモデルの依頼を引き受けたのかを」

 すると、気持ちを切り替えるように当時のことを話す千尋。

「手紙を受け取った私は、身の危険を感じたのか家族に相談したの……」

……正月を迎えたばかりだというのに、家族会議が開かれ重苦しい雰囲気になったわ。

 もしかしたら、何処かの芸能事務所か怪しくて卑しい変質者のイタズラの可能性が持ちきりで正月を祝える雰囲気ではなかった。

 偶然、お祖父ちゃんが家に来ていたので知り合いに調べて貰った。

 そうしたら、お祖父ちゃんから「安心しなさい、手紙は本物の研究機関だ。差出人も真っ当な人だから、ここは一肌脱いでみたら」って後押ししてくれた。

 当然、お母さんと同席して差出人である小早川に会って話し合いをした。

 こっちの抱える問題を言い伝えたり、小早川が必死な表情をしながら説明を続けたりして十分すぎるくらい意見を交換し合った。

 小早川の話では、他の大学のミスコン上位者にも手紙を送って募集していることや研究機関側も審査をする事や情報の管理などは徹底するから心配は無いと説明してくれた。

 小早川の熱意と、お祖父ちゃんの後押しが決めてとなり私は募集した。

「後日、審査結果はスマホのチャットにて報告致しますので」

 と言い残し去って行く小早川の後ろ姿を見送った私は、出来れば選ばれないで欲しいと心の中で強く願った。

 結果は、まさかの採用とチャットで連絡が入り正直驚いた。

 同時に、自分の願いとは遠くかけ離れた気分で引き受けるしかなかった……。

「……後日、差出人の小早川さんから指定された研究機関に足を運ぶことに。集合場所には、私以外に二人の女子大生が来ていた……」

 と話す千尋だが、気になったことがあるのか割り込むように未琴が質問してくる。

「話の途中で申し訳ないけど、ASIのモデルってどのようなことを? まさか……」

 そのとき、質問してくる未琴は不安と恥ずかしさが入り交じった表情をしていた。

 未琴の質問を聞いた千尋は、何故か余裕の表情で首を横に振って答える。

「ううん、ラインが入ったウエットスーツのような服に着替えただけ。名前は忘れたけど、体のラインが丸わかりで恥ずかしかった」

「もしかして、トラッキングスーツってヤツっ?」

 と思わず巧実が言った瞬間、素早く指差して何度も頷き嬉しそうに言い出す千尋。

「それっ、それが言いたかったのっ! さすが、マスターの息子さんっ!」

「でも、トラッキングスーツを着るとなるとマーカーはっ? もしかして、スキャンニングもっ?」

 と続けて質問してくる巧実に、自分の言った事を理解していると思ったのか嬉しそうに答える千尋。

「さすがに、マーカーは女性の研究員が的確につけてくれた。最初は、ボックスのような装置に入ってのスキャンニングからだったわ」

 巧実と千尋のやり取りを聞いた香苗を始め他の四人は、頭にハテナマークが浮かぶくらいちんぷんかんぷんで説明を求めていた。

 特に、スマホの機能を満足に扱えない彩は特に理解できず思わず巧実に話し掛ける。

「タク兄っ、トラッキングスーツって何っ? それに、スキャンニングって何っ?」

 すると、巧実は説明を求める人達に解説する。

「トラッキングスーツは、全身の動きを正確にデジタル化するための専用のスーツ。主にゲームや映画、VR制作においてアクターの動きを3Dキャラに反映されるために使用される。そのため、身体に密着する特殊な素材が使用されるため以外と高額」

「巧実っち、そのスーツってどれくらいっ?」

 と早希が質問してきたので、

「下手すりゃ、ハイスペックのパソコンか手頃な車一台は簡単に買えるくらいかな」

 と巧実が即答すると、高額な代物だと知り誰もが目を丸くして驚き言葉を失う。

「説明に戻るけど、俺の言うスキャンニングは3Dスキャンのことだよ。人物を3Dスキャンする場合、ハンドタイプかボックスタイプのスキャナーを使って3Dデータを制作する。ゲームや映画だけでなく、医療やファッションなど数多く利用されている」

 そのとき、驚きを隠せない香苗は震える声で巧実に質問してくる。

「まさか、その機材っていくらなのっ? たっ、巧実っ?」

「ボックスタイプだと、高級車一台か都心の家一軒が一括で買えるくらいかな」

「都心の家一軒……。それって、庶民の懐事情では……」

 と言って目を丸くして驚く香苗は、ワナワナと体が震え頭の中はパニックになっていた。

「でも、レンタルか安価なハンディータイプも中にはあるよ。でも、安価なタイプだと人体や複雑な立体をスキャンニングするには時間が掛かるってジッチャンから聞いた」

 と言って説明する巧実は、その手の専門家のような雰囲気を醸し出す。

 それでも、彩はスキャンニングについて理解できず巧実に再度質問する。

「そもそも、スキャンニングが分からないよっ! タク兄っ!」

「分かりやすく言えば、書類や写真などをスキャナーやカメラでデジタルデータ化することだよ。膨大な資料がデータとなり、パソコンなどで一括管理が出来るメリットがある」

 と言って巧実が説明すると、割り込むように真顔のミネルバが話し掛けてくる。

「それって、ペーパーレス化でしょうかっ?」

「それっ、それだよっ! さすが、ASIだけあって話の飲み込みが早いっ!」

 と言って喜ぶ巧実に対して、ペーパーレス化という新たなワードに困惑する彩はぐずりだして説明を求めてくる。

「一体、ペーパーレス化って何っ? ボク、話がついていけないよーっ!」

 巧実は、ぐずり出す彩の頭を撫で宥めようと必死になり真顔のミネルバに説明する。

「きっ、気にしないでくれ。コイツ、この手の用語は苦手で」

 巧実は、自分の説明で誰もが驚愕する中で終始真顔でいるミネルバを見て間違いなくデジタル世界から来た人だと実感する。

 それでも、巧実は話を戻すように千尋に話す掛ける。

「それで、スキャンニングやモーションキャプチャーで丸一日かかった。それで、間違いないよね?」

 千尋は、巧実の言い分に頷いて間違いないことを主張する。

 その後、小早川はモデルとなった三人の女子大生から三体のASIの立体映像を完成させたことは千尋の口から聞かなくても誰もが理解できる。

 唯一、彩だけは理解できず困惑するばかり。

「やはり、ミネルバを発見した現場に行って確認した方が良さそうだな」

 と巧実が言い出すと、居合わせた誰もが頷いて同意するのであった……。

ご覧いただき有り難うございます。

次回は来週の火曜日の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。