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第九話 不穏
――それから数日後。
自習になった六時間目の数学の授業を、ユイは屋上でサボっていた。
梅雨の合間に吹く、湿気を忘れさせるような爽やかな風が心地いい。
終業のチャイムが鳴り、昇降口の方から下校する生徒たちの声が聞こえてくる。
ウチもそろそろ帰るか。
――その時。
屋上の扉が唐突に開いた。
「ユイちゃんやっぱりここにいた。一緒に帰ろー」
……サホリか。
「……まぁ、いいけど」
ウチと帰りたがるなんて、物好きだよなぁ。
――二人は一緒に下校する。
ユイはいつも通るバス停に、ふと目を向けた。
バス停には長い、長い列ができていた。
「……ゲッ」
ユイが露骨に顔を顰める。
なに、あれ。あのバスの行列全部霊じゃん。キモ……。
列の最後尾に、ランドセルを背負った小学生の男の子がいる。
「……ん?」
あのガキ……。
……人間か?
いや、違うか。
まぁどっちでもいいや。
――その一方で。
サホリもユイと同じくバス停を見つめていた。
なんか、今日はやけに混んでるな――




