パーティー
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────なんやかんやありながらも、いよいよパーティーの開始時刻になった。
侍女軍団によって飾り立てられたプリシラは、予定通りレクスとルークにエスコートされる。
「────レクス・ステルク・レーヴェン公爵令息、並びにプリシラ・ニーナ・レーヴェン公爵令嬢とルーク・ツヴァイ・レーヴェン公爵令息のご入場です」
騎士の言葉を合図に、プリシラ達は煌びやかな会場へ足を踏み入れた。
途端に静まり返る周囲の人々。
この三人はあまり社交界に姿を現さないため、興味津々のようだ。
特に、プリシラは公爵家や皇室によって意図的に遠ざけられているので。
(うーん……落ち着かないな、この格好)
周囲の視線よりも緑色のフワッとしたドレスの方が気になるプリシラは、ちょっとソワソワする。
(魔道具も、ほぼ全部外されちゃったし。ドレスに合わないとか、なんとかで)
腕時計の代わりにブレスレットが嵌められた手首や鞄の代わりにウエストチェーンを装着した腰を眺め、プリシラは内心肩を竦めた。
一応、自動迎撃魔道具である銀の髪飾りだけは万が一のためにつけてあるものの、この布陣で出番はないだろう。
両脇に居るレクスとルークへ視線を移すプリシラの前で、周囲の人々────その中でも、高級な衣服やアクセサリーを身につけた者達が動き出す。
「お初にお目に掛かります、レクス殿、プリシラ殿、ルーク殿。私はバッカス伯爵家の当主────」
「お噂はかねがね。こうして、お会い出来て光栄です。僕はビルソン侯爵家の長男である────」
「三人でご入場とは、兄弟仲がよろしいんですね。お羨ましい。おっと、申し遅れました。自分はロバーツ伯爵家、三男の────」
怒涛の挨拶。ついでに、おべっか。
その大半はプリシラに向けられたものだが、レクスやルークにもしっかり焦点を当てられている。
主に未婚女性からのアプローチが、凄い。
なんせ、二人ともグレイテール帝国では一・二を争うほどの優良物件(しかも、完全フリー)だから。
「あの、レクス様。実は以前、青騎士団の演習を拝見しましてとても凛々しいお姿に心を打たれました。まさに理想の騎士様そのもので────」
「ルーク様、ご無沙汰しております。近頃は全く皇城にいらっしゃらないので、少し心配していました。今日、元気なお姿を見ることが出来て本当に良かったです。ご迷惑でなければ、お家にいらっしゃるときのことを────」
「普段の騎士服やローブ姿も大変お似合いですが、今日のお召し物はまた違った雰囲気で素敵です。ここまで白や青を着こなせる方は、いらっしゃいませんわ。お二人のためにある色と言っても、過言では────」
自然な笑顔で話し掛ける未婚女性達。
がっつき過ぎないよう“控えめ”を演じているものの、本音はダダ漏れだ。
「ご丁寧にどうも。お誘い関連は申し訳ありません、全てご遠慮いたします。もし、重要な案件でしたらお手数ですが、家臣を通してください」
ルークは少しばかり声を張り上げて、彼ら彼女らの思惑をバッサリ切り捨てた。
いっそ清々しいほど淡白な対応に、周囲の人々は肩を落とす。
でも、元々あんまり期待してなかったみたいで『やはり、一筋縄では行かないか』くらいの温度感だった。
────と、ここで出迎えに行っていたヘイゼルやライアンも入場し、パーティーが本格的に始まる。
ちなみにカルムは多忙のため、欠席だ。
豊穣祭の準備に奔走した結果、皇帝としての仕事が溜まりに溜まったので。
ある意味、一番貢献者なのに不憫なやつである。
「プリシラ、そろそろ下がるよ」




