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警備

◇◆◇◆


 ────パーティーの開始まで、あと一時間を切ったとき。

レクスとルークは警備の騎士より、とある報告を受けた。


「広場で襲撃(・・)、か」


「穏やかじゃないね」


 部屋のソファにそれぞれ腰掛けるレクスとルークは、少し表情を険しくする。

自然と漏れ出る威圧感。

しかも、今回はきっちりとした正装姿なので余計に迫力があった。


「幸い、大きな騒ぎになる前に取り押さえることが出来、領民には『酔っ払いのトラブル』と説明してあります」


 警備の騎士は二人を宥めるためか、豊穣祭の進行に障りがないことを告げた。

そのおかげで、レクスとルークは僅かに雰囲気を和らげる。


「それは良かった。せっかく、プリシラの演出で最高の滑り出しを見せたのだからこのまま平和に終わってほしいものだ」


「じゃなきゃ、僕達の努力も水の泡だよ。今日のために、出来る限りの労力と時間を割いてきたんだから」


 思案顔のレクスを横目に、ルークは警備の騎士に視線を向けた。


「とりあえず、警備は予定通りに」


「広場の方、増やさなくていいのか?」


 思わずといった様子で口を挟むレクスに、ルークは肩を竦める。


「ああ、今のままで充分対処出来ているんだからわざわざ手厚くする必要はないよ。それに多分、広場の騒ぎは陽動だからね(もちろん、少しでも騒ぎになって豊穣祭の失敗を演じられたらという思いはあるだろうけど。使われた人材の質や量からして、本気じゃない)」


「!」


「本命は────パーティーだよ」


 カチャリと眼鏡を押し上げ、ルークは断言した。


(パーティーでは、少しのミスも許されない。だから、ボヤ程度の騒ぎでも表面化すればレーヴェン公爵家の名誉に関わる。無論、その分警備も厳しくなるけど、招待客(・・・)として会場に入れる立場(・・・・・・・・)なら色々とやりやすいだろう。まあ────)


 ソファの肘掛けに寄り掛かり、ルークはサッと足を組む。


「────相手の思い通りにさせるつもりは、ないけどね」


 どこか悪そうな……いや、不敵な笑みを浮かべ、ルークは金の瞳に闘志を滲ませた。

珍しく、好戦的である。

恐らく先日のダンジョンの一件もあり、密かに腹を立てていたのだろう。


「そうだな!絶対に俺達で守り切る!」


 レクスも気合い十分で、力強く頷いた。

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