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魔道具の詳細

◇◆◇◆


 ────レーヴェン公爵家の私室にて、プリシラはルークより状況説明と相談を受けていた。


「これが、その魔道具?」


 テーブルの上にある箱を指さして問うプリシラに、ルークは小さく頷く。


「ああ」


 無愛想な態度を取り、ルークはソファの上で足を組んだ。


(私を頼るのが、相当気に食わないみたい。本当、相変わらずだなぁ)


 お世辞でも『仲良し』とは言えない関係を思い浮かべつつ、プリシラはソファから少し腰を浮かせる。


「分解してもいい?」


「好きにしろ。ただし、情報は共有しろよ」


「うん、分かっている」


 いつもの鞄からナイフ────魔道具ではないが、非常によく切れる────を取り出し、プリシラは箱に手を掛けた。

コンコンッと軽く表面を叩きながら内部の状態を確認し、ナイフで切断。


(おお!なかなか面白い構造だね)


 箱の中に施された複雑な動線や複数の装置を前にして、プリシラは少し頬を緩める。

興味を惹かれるままに分解作業を始め、魔道具の詳細を掴んだ。


「これは空気中の水分を液体に変えて、その上でここ────」


 箱内の装置を一つ指さすプリシラ。


「────に仕込まれた薬品を掛け合わせ、雨のように降らせているみたい。言うまでもなく高等技術だし、魔石も相当いいものが必要(実際、かなり大きくて純度のいい魔石がはめ込まれているし)」


 箱内の中央に設置された紫色の石を眺め、プリシラは手を下ろした。

おもむろにソファに座り直す彼女の前で、ルークはカチャリと眼鏡を押し上げる。


「つまり、相手は高度な魔道具と上質な魔石を用意出来るほど裕福で、何らかの目的でレーヴェン公爵家を狙っている人物ということか?」


「概ね、そうだね。けど、一つ訂正。相手は高度な魔道具というより、腕のいい魔道具()を用意出来る人物だよ」


 確信を持った様子で言い切り、プリシラはある一点を指さす。


「見て。ここの装置はかなり新しい。それに、後から付け加えたような荒らさがある(多分、植物を枯らすだけじゃこちらにあまりダメージがなかったから、皮膚を爛れさせる効果を上乗せしたんだろうな……無関係の人々が傷つくことなんて、気にせずに。本当に悪辣な犯人だよ。許せない)」


 精霊達や使用人から被害状況を聞いていたプリシラは、少し……いや、かなり怒っていた。


(幸い、私のポーションとルークの治癒魔法で今のところ被害は軽微みたいだけど、それでも痛い思いをしたことに変わりはない。誰かトラウマになっていないといいけど)


 精神的負担を心配し、プリシラはそっと眉尻を下げた。

すると、精霊達は彼女を慰めるように頭や背中を撫でる。


『『『プリシラ、大丈夫ー?』』』


 気遣わしげな視線を送ってくる精霊達に対し、プリシラは小さく頷いた。

────と、ここでルークが難しい顔をする。


「腕のいい魔道具師を従えているとなると、相手はかなり身分の高い人物だね。大貴族か、王族か……なんにせよ、面倒だ。主に後始末が」


 やれやれと(かぶり)を振り、ルークは一つ息を吐いた。

どことなく憂鬱そうな彼を前に、プリシラはパンッと手を叩く。


「まあ、その辺は後で考えよう。今はとにかく、相手を捕まえることに専念しないと」


「そんなことは、分かっている。一応、もう手も打ってあるし」


「そうなの?なら、どうして私に相談を?」


 捕まえる手立てがあるのならば、わざわざプリシラを頼る必要はない。

魔道具のことなんて、捕まえたあと当人に聞けばいい話なのだから。


「少しでも、相手の情報は多い方がいいと思ったからだ。それに、状況によっては本格的にお前の非常識な力が必要になる」


「と言うと?」


 詳細を問うプリシラに、ルークはチラリと視線を向ける。


「さっき『もう手も打ってある』と言ったが、実のところ勝算は低い。なんせ、この魔道具が設置されていた場所に魔法の罠を仕掛けただけだからな。相手も馬鹿じゃないだろうから、設置場所にのこのこ近づくとは思えない。せいぜい、目視出来る距離からの偵察だろう」


 相手の行動を現実的に考え、ルークはゆっくりと席を立つ。


「だから、今から設置場所に赴いて周辺を見張るつもりだ。それで、上手いこと相手に接触・捕獲出来れば楽でいいんだが」


「────なら、私も行くよ。人手は多い方が、いいでしょ?」


 手を上げて協力を申し出るプリシラ。

余程相手に腹を立てているのか、いつもより積極的だ。


「いや、いい。人が多いと、相手に警戒される」


「姿を消す魔道具で潜伏するから、大丈夫だよ」


 ルークの反論を押しのけ、プリシラは鞄から花のペンダントを取り出す。

装着すると瞬く間に使用者の体が透明になるという代物を前に、ルークはスッと目を細めた。


「(確かにこれなら……何より、プリシラが来るなら精霊達も同行するだろうし。人の目に見えない伏兵が何十人も増えると考えれば、悪くない。気は進まないけど、万全を期すなら提案を受け入れた方が良さそうだ)分かった」


 不平不満を呑み込み、ルークはプリシラのことを受け入れた。


「じゃあ、こっちに来い。設置場所の周辺まで、一緒に転移する」

明日から、1日1回(22:19)の更新になります┏○ペコッ

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