表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/40

01-13 秘密兵器

挿絵(By みてみん)


「やるぞ、グレア!」

了解(コピー)!〉


 バイザー左下、共有されたオウル・ビジョンに目を向ける。隊長機、カラス一機が並び、そのやや後方に俺のXi-37Dを視認。残り二羽は大きく旋回してコチラの背後を狙う動きだが、回り込まれるまでに時間の余裕がある。


 間に合う。間に合わせる。


 スロットル・レバーを左手で握り、さらに加速。脚部がスーツに圧迫され、先の閃光の影響もあり、視界がチラつく。


〈遅ぇぞクロースター!〉

「もう追い付きますよっ!」


 隊長は小さく鼻を鳴らすと、蛇行機動シザースを止め、減速しつつの螺旋軌道バレルロールへ移行した。


 尾翼に六芒星の付いた白カラスが、それを真似るように減速する。


 自機との位置関係から、ミサイルを撃ち込まれても回避できる——その見積もりで、奴は隊長の追尾を続行した。


 ——そう、その判断で正しい。回避できるさ。

   普通のミサイル(﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅)ならなっ!


専用兵装発射(FOX9)!」


 機首を敵機前方へと向け、発射コールを叫ぶ。


 同時、主翼下から真っ直ぐ駆け抜ける飛翔体。


 外観も、速度も、通常のそれと類似している。


 唯一違うのは、その先端に付いた球状の物体。


 隊長機が加速するのを確認し、俺も舵を切って、上方へと退避する。


 奴が回避できたか否か、その瞬間を目視確認する余裕は無い。いや、直撃はしないだろう。


 だが——


破裂バースト!〉


 グレアからの合図。微かに鳴った破砕音。そして鋼板を穿つ音がひとつ。


《な、なんだァ!?》


 視認せずとも、おしゃべり野郎の焦り声が、その命中を教えてくれた。


《クソッ、機体とのリンクが途切れやがったッ! テメェ、一体何をした!!》

「ははっ! 無い頭で考えやがれっ!」


 協定無線で煽りながら、機首を戻す。目線の先、旅客機のような巡航速度で水平飛行する、前進翼を畳んだ白い紙飛行機。その後部に、太く長い鉄針が深々と突き刺さっていた。


《まさか……電磁パルスかッ!》

〈御名答だぜ、ヒヨコちゃん〉


 今度は隊長が返事をする。


《機体至近で弾頭を爆破させ、内に仕込んだ大電流を帯びた電極をブッ刺しやがったのかッ!》


 ——さすがAI、鋭い洞察力だ。いささか、感情が剥き出しだけどな。


 精密機器の塊である戦闘機。それをさらに、人工知能が制御をし、高速処理しているのだ。


 ただでさえ限界状態(オーバーヒート)寸前の電気回路——そこに外部から負荷を加えてやれば、簡単にショートする、という寸法。


 これこそが、対カラスを想定した専用兵装——ACM-9(遠雷)。その初御披露目。


 制御不能になってそのまま墜ちてくれれば……と思っていたが、どうやら統制を失うとオート・パイロットに切り替わる機構だったらしい。


《近接信管? いや、あの弾頭でそれは不可能だ。それに発射した奴は退避機動中で、爆破タイミングを測れるとは思えねェ……》


 ぶつぶつと考え込んでるのが丸聞こえだが、その答えを教えてやる必要は無い。


 当然、ミサイルを破裂させたのは俺じゃない。


 この戦場を唯一俯瞰してる者——グレアの仕事だ。奥行きで測る俺よりも、平面的に観測できる彼女の方が的確だからな。


《チクショウ! そいつも俺の身体の一部だッ! 墜とさせねぇぞ、ミナトォ!!》

〈追撃して、ミナトっ!〉


 相反する二人の声。


 後ろに奴ら二機を背負いながら、呑気な遊覧機を星に変える(撃ち墜とす)べく、黒鳶は空を焦がす唸りを上げた。





 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ