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01-08 1045標準時 エリア703

挿絵(By みてみん)


〈こちら第999航空特殊殿軍隊のスケアクロウ1。グース隊。ガル隊。応答し、戦況報告を頼む〉


 クランプ隊長は合流予定のエリア703へ到着すると同時に無線を飛ばした。


 快晴と呼べるほど雲量の少ない空。下方は地表が剥き出しの険しい山岳地帯。その稜線の向こう側から、いくつか黒煙が立ち昇っている。その根元に何があるのかは、見ずとも分かる。人間が居住したり通交したり出来るような地形じゃないのだから。


 機体が風を切り裂く音だけが聞こえる。しばらく待てど、誰からも返答は無い。


〈こちらスケアクロウ1。状況報告をしろ!〉


 苛立ちの篭った声。すると——


〈こ、こちらガル2! 現在交戦中!〉


 恐慌状態の若い男の応答。自機のレーダー端に、味方機の反応がポツリポツリと入り込んで来る。


〈グース1とガル1はどうした!〉

〈り、両者とも消失ロスト! 現在、ガル隊は僕が指揮を取って——あっ——……


 遥か前方で何かが炸裂すると同時、通信が途絶。


〈クソッ! 誰でもいい、状況報告を引き継げ!〉


 計器に映る光点は残り——二つ。距離からして、合流までにあと二十秒は掛かる。しかし敵機のレーダー反応は無い。ステルス機か、あるいは電子戦機か……。


『ミナト。気持ちは分かるけど、隊列の維持を優先して』と俺の焦りを先読みしたかの如く、フォーラが諌める。自然と触れていたスロットル・レバーから左手を離した。


〈こちらグース3。ガル4、俺と二機編成(エレメント)を——〉

〈来るな! バケモノ! うわ、うわぁぁ——……

〈ちくしょう! こっちも被弾した! メイデイ、メイデイ、メイデ——……


 阿鼻叫喚ののち、爆炎が二つ。堕ちていく機影が微かに見える。盤上から、彼らの反応が消えた。


〈そんな……全滅……?〉


 グレアの声は、わずかに震えていた。


〈全機加速! 護衛対象は失ったが、絶対に奴らを逃すな!〉

了解ラジャ!」


 一番機に続き、俺のXi-37D(ミルバス)も速度を上げる。視界端の四番機が、やや遅れてついて来る。


 そして十秒と経たず、見えた。陽光を照り返す、純白の機影。まるで墜落した獲物を観察するかのように、山際スレスレを低空飛行してやがる。


 間違いない。ホワイ(白い)ト・レイヴ(カラス)ンだ。


 下唇に歯が食い込む。首の動脈を血流が昇る音が聞こえる。操縦桿を握る指の爪が紫に変色する。


『ミナト。ミナトっ!』


 俺を呼ぶ声で、ハッとした。胸が小刻みに震え、呼気がヘルメット越しでも聞こえる程だった。


〈落ち着けよぉ、テメェら。やる事はいつものシミュレーションと、なぁんも変わらねぇ——〉


 隊長の意図的にローテンポな口調を耳に、深呼吸して気持ちを整えた。


〈——んじゃ、念願の〝カラス狩り〞だ。各機散開(ブレイク)!〉

了解ラジャ」〈了解コピー


 普段の訓練と変わらない。俺は敵機を睨みつつ、思考だけはクリアに、行動を開始した。





 

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