表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/40

00-20【クロースター】

挿絵(By みてみん)


「フッ。つーことは、辞める気は無ぇわけか」


 クランプ隊長は、諦め顔で鉛色のボサ髪を撫で、続ける。


「いいだろう。言ってみな」


 俺はひとつ大きく頷いた。


「——【クロースター】」


 それを聞き、彼は小さく首を傾げる。


「どういう意図で、そう名付けた」


 俺は右手を開き、持ち上げ、胸の前に浮かせた。


「リックが——友が果たせなかった夢を、代わりに背負う。俺の駆る黒鳶——その鉤爪(Claw)で、(Star)を掴む。そして——」


 見つめる先、強く、強く握り込む。


「いつか必ず、あのカラス(Crow)共を、(Star)に変える。俺が捕まえてみせる。リックの為にも……!」


 手の内から、赤い雫が流れ、手首を伝う。


「——それで、クロースター……か」


 隊長は俺の震える腕を暗い目で眺めながら、小さく息を吐いた。


「その名……背負うには、ずいぶん重てぇぞ。覚悟は出来てんのか?」


 それを聞き、ついニヤリと笑う。


「隊長の墓石トゥームってのよりは軽いですよ」

「ハッ。違ぇねえ」


 そう言って、まだ長い紙タバコを拾うと、灰皿に押し付けて火を消した。直後、勢いよく起立。


「ミナト・ハルモニア少尉ッ!」


 打って変わって号砲の如き呼び声に、俺は反射的に直立姿勢を取り、視線を斜め上へ。


「貴官を立派なパイロットであると認定し、非公式愛称【クロースター】を名乗る事をここに許可するッ! その名に恥じぬよう邁進せよッ!」

「イエス・サー!」


 弾かれたように、敬礼——したが、すぐに姿勢を解き、隊長に問う。


「——って、TACネームにこんな授与式みたいなの、ありましたっけ?ウチの軍」

「この方が気合い入んだろうが」


 彼は座り直しながら、クックッと笑い声を漏らす。どうやら遊ばれただけらしい。

 気の抜けた顔で隊長が言う。


「さぁて、これからが大変だな。まず手始めに……部隊の変更届からかねぇ」

「え? ヴァルチャー隊のままじゃ駄目なんですか?」

「敵の最新鋭戦闘機を追うんなら、遊撃隊って役割じゃ無理な話だ。今回の遭遇もたまたまだよ」


 訊くと、あのホワイト・レイヴン達は北方を領空侵犯し、会敵した迎撃機を返り討ちにし、おそらくその帰路で俺らと出会でくわした——らしい。


「今回のが初お披露目だったようで、まるで情報が無え。だが、奴らが航空戦力として前線に出張って来るのは間違いない」

「じゃあ、俺らの部隊が迎撃隊に——」

「駄目だ。敵の能力を見たろう。二機相手に四機で挑んでも歯が立たなかったんだ」


 四機——その言葉に、胸が重たくなる。


「まぁ、その辺りは俺に任せとけ。どんな部隊名になるかは、お楽しみ、ってやつだ」


 隊長は悪戯っぽい笑みを浮かべたのち、「おら、飯食って無ぇんだろ。食堂行け食堂!」と俺を作戦室から追い払った。


 部屋を出てすぐ『頑張りましょう、ミナト』と声を掛けてきたフォーラに、俺は意味なく微笑んだ。




 ミナト・ハルモニア。白いカラスに襲われ、大切な友を失い、それでも屈せず、意志を背負い、打倒を誓う。この時の彼は、まだ十七歳だった。




 — 双曲のクロースター 第一幕 【完】 —


 ★=——  ★=——  ★=——

【第一幕 あとがき】

 こんにちは、作者の下田 空斗です。

 まずは第一幕までの御愛読、

 誠にありがとうございます!


 ここまでが、主人公ミナトの序章。

 第二幕から、彼の本当の戦いが始まります。


 はたして彼らは如何にして、

 ホワイト・レイヴンと渡り合うのか?

 先の展開に、乞うご期待!


 彼らの応援ついでに、

 コメント等を入れて下さると、

 私のモチベーションにも繋がります!

 何卒よろしくお願い致します!!


 では、第二幕でお会いしましょう。

 ——=☆  ——=☆  ——=☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ