表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
73/76

二人で

「今年も咲いたな」

「はい」

 水色の朝顔を眺めていたアサは振り返り、京之助に微笑んだ。


「朝顔はなんだか笑っているみたいで……元気がでます」

「そうだな。アサのようだ。綺麗だ」

「え?」 


 アサは、顔を赤らめにっこり笑った。

『かわいいな』と思ったものの、口には出さなかった。

 夏になると、アサは朝顔柄の浴衣をよく着ていた。




「悠、浴衣が似合ってるよね。朝顔柄が可愛いな」

「そうだな。お前も……似合うと思うよ」

「え……?」

「嘘、嘘」

「何、それ」

 口を尖らせた麻人が可愛らしく、何だか可笑しくなり恭一は笑ってしまった。つられるように、麻人も笑い出した。


「それにしても、さっきから女子達はずっと食べてるな。特に悠はすごいぞ」

「ほんとだ。悠は僕より食べるんだよね」

悠は、たこ焼きや、さつまいもスティックを食べた後、今は回転焼きを何個か買っている。


「お兄ちゃん、はい。恭一さんも」

 悠が大事そうに持った回転焼きを、麻人と恭一に渡しにきた。


「ありがとう」

 麻人は両手で持ち、恭一も右手で持った。悠が持つ紙袋には、まだ三つ入っている。


「その三つは自分で食べるの?」

「うん」

 にこにこしている悠に、麻人は呆れた表情をしている。


「悠は、甘い物も好きなんだな」

「はい」

「相変わらずの食べっぷりだな」

「え? すいません」

「いや。せっかく来たんだ。たくさん食べるといい」

 恭一は、悠が美味しそうに食べている姿を見るのは好きだった。麻人も同じ気持ちだろうか。悠がたくさん食べている時は、にこにこしている。


 恭一と麻人は、とりあえず悠に貰った回転焼きを食べた。

「僕達も、何か買おうよ」

「そうだな」


 恭一と麻人は、二人で屋台を巡った。回転焼きを食べたせいか、空腹感がなく何となくぶらぶらと歩いていた。


「ねぇ、あれ美味しそうだよ」

 麻人が、肉巻きおにぎり棒の屋台を指差した。

「食べたことないな。買ってみよう」


 二人は、串に刺した肉巻きおにぎりを歩きながら食べた。

「美味しい」

 肉にからめたタレが、麻人の口のまわりに付いていて、

「付いてるぞ」

 恭一はハンカチで拭こうとしたが、

「いいって、汚れるよ」

 麻人は、くすくす笑いながらティッシュで拭いていた。


 恭一と麻人は、まるで二人だけで来たかのように歩いていた。特別、会話をする訳ではない。いつの間にか、時が過ぎていた。


「そう言えばさ、みんな何処に行ったんだろ?」

「ほんとだな」

「僕、電話してみるよ」


 麻人は、悠に電話しているようだ。すると、恭一のスマホに着信があり見てみると彩音からだった。


「あ、姉さん。うん、分かった」

「彩音さん?」

「ああ」

「何て?」

「いい場所が見つかったらしい。何処にいるのか心配してた」

「だよね。悠は怒ってたよ」

「行くか」

「そうだね」


 恭一と麻人は、小走り気味に彩音達がいる所に向かった。下駄が走りにくいなと思いながらも、楽しい気分になっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ