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姉への告白

「おかえり、恭一。奈穂ちゃんも一緒なのね」

 恭一達が家に帰ると、姉の彩音(あやね)が迎えてくれた。


「彩音ちゃん、どうしたの?」

 大学近くで下宿中の彩音が家にいて、恭一も奈穂もどうしたのかと思った。彩音は夏服を取りに、さきほど帰ってきたようだった。大学までは2時間半くらいかかり、通学には不便なため下宿している。けれど、簡単に帰ってこれる距離でもある。


「奈穂ちゃん、ゆっくりできるの? 晩ご飯、一緒に食べよ」

 彩音に言われ、奈穂は夕飯を食べていくことになった。


 今日は鯛の塩焼きに、大根や厚揚げや豚バラ肉の煮物、野菜サラダ、キノコ類の味噌汁だった。


「おばさんの料理、いつも美味しい」

 奈穂はとても幸福そうに食べている。

「そう? 洋食じゃなくて良かったかな?」

「この煮物、すごく好き」


 長月家の食卓は、わりと和食メインである。もちろん、ハンバーグやステーキなど食べる日もある。恭一は、どちらかというと和食の方が好きで味噌汁を飲むとホッとする。

 

 今晩は彩音も奈穂もいるせいか、デザートにメロンもでてきた。そして、何故か祖父もやってきて父親と酒を飲んでいる。今日は、父親お気に入りの芋焼酎をロックで飲んでいる。毎度のことではあるが、2人とも上機嫌だ。彩音と母親と奈穂はテレビを見ながらワイワイ話している。その近くで恭一は静かにしていて、時折ビハクを撫でノンビリくつろいでいる。


 奈穂が自宅に連絡すると、父親が仕事帰りに迎えにきてくれることになった。そうこうしていると、奈穂の父親がやってきた。


誠司(せいじ)くん! 一緒に飲もうや」

 祖父が、奈穂の父親にご機嫌に声をかけたが、

「車ですので、またの機会に」

 と丁重に断っていた。祖父も父親も、しょうがない人達だと恭一は呆れていた。

 奈穂の父親は、おっとりとしていて物腰が柔らかい人だ。奈穂の母親、昇子が35歳の時に誠司と再婚し奈穂が生まれた。誠司は、昇子より5歳ほど年下だったかなと恭一は記憶している。


 奈穂が帰り、祖父も祖母に連行され帰っていった。父親の栄一は床に転がっている。


「ほんと、お爺ちゃんもお父さんも相変わらずよね」

 彩音がぼやくと、その横で母親が笑っていた。母親は食卓を片付けたり、食器を洗ったりと忙しそうにしている。


「麻人君や悠ちゃんは元気なの?」

 彩音に聞かれ、祖父の畑を手伝ってもらったことなどを話した。畑近くに古い祠と石碑を発見したことも話した。彩音はその祠と石碑に興味を示し、是非見たいとお願いされた。


「姉さん。前世の記憶がある人っていると思う?」

 恭一は、思い切って聞いてみた。

「前世を覚えている人、いると思うよ。みんな、前世ってあると思う」

「そうなんだ」

「私は覚えてないけどね。それに、前世が一度とは限らないと思う。前世がない人もいるかもよ」


「恭一のオーラの色、なんだか明るい色になってる。綺麗な色よ」

「え? オーラか……俺には、よく分からないけど」

 彩音は、人の体から発する色で何となくその人の性質を推測しているようだ。霊感があり、見えないものも見えてしまう。恭一は、そんなものが見えたら面倒だろうなと感じてしまう。


「姉さんは大変だな。疲れないか?」

「昔は辛かったけどね。今は大丈夫よ。気にならなくなったのよね」


「恭一こそ、大丈夫なの? その記憶」

「え?」

 恭一は目が点になった。

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