家路で
恭一は、悠と一緒にコンビニに向かっていた。
「奈穂ちゃんは、よく来るのか?」
「いえ、一度来たことがあるくらいです。今日は急に来て驚きました」
「そうか」
「奈穂ちゃんは、兄のことが気になるんでしょうかね?」
「え? そうなのか」
恭一は、麻人の家で顔を真っ赤にしていた奈穂を思い出していた。麻人は優しいし、好きになっても不思議ではないなと恭一は納得した。
「麻人は疲れたのだろうか? 昨日は悪かったな」
「風邪をひくのは久々です。けど、気に病まれる方が嫌がると思います」
「そうだな。分かった」
恭一は他にも悠に聞きたいことがあるが、麻人がアイスを待っているし、奈穂を1人おいてきたのも気になるし急ごうと思った。
「悠。今度、前世で俺がいなくなってからのことを教えてくれないだろうか?」
悠は驚いたような顔をしたが、一瞬下を向き、恭一の方を見上げた。
「分かりました。今度、ゆっくりお話します」
「ありがとう。でも、今は早く買い物をして戻ろう」
「はい」
恭一はコンビニでバニラアイスを手に取り、奈穂の好きなストロベリーアイスもカゴに入れた。悠に食べたい物がないか聞くとオニギリと言うので、笑いをこらえ鮭と昆布のオニギリをカゴに入れた。恭一は、自分用にアイスティーを買った。
恭一と悠は早歩きをして戻っていたが、そのうち走っていた。
「ただいま!」
恭一と悠が戻ると、奈穂が玄関にやってきた。
「もぅ、恭くんも悠ちゃんもヒドイ」
「ごめんな、奈穂ちゃん。はい、お土産」
恭一は奈穂にストロベリーアイスを渡した。
奈穂は食卓で嬉しそうにアイスを食べ、悠はオニギリを頬張っている。麻人は、風邪をうつしたくないからと部屋でバニラアイスを食べているようだ。
「悠ちゃん。オニギリ2個も食べたら晩ご飯食べれなくなるよ」
「大丈夫! おやつみたいなもんだから」
「相変わらず食いしん坊ね」
恭一は、2人の会話を静かに聞いていた。
恭一は、そろそろ帰ろうと奈穂に言い、帰り際に麻人に声をかけた。
「恭一君。お爺さんには僕が風邪ひいたこと言わないでね。気にすると思うんだ」
「分かった。無理するなよ」
麻人はよく気が付いて優しいなと改めて思った。玄関で悠に見送られ、恭一と奈穂は家路へと向かった。
「奈穂ちゃん。家に来ないか? 帰りは車で送ってもらうように言うよ」
「うん」
恭一は、自転車を押しながら奈穂と歩いた。
「麻人は優しいよな。笑顔も可愛いよな。なぁ、奈穂ちゃん」
恭一は少し意地悪っぽく言った。
「もぉ、恭くん。何なのよ」
「いやいや、別に」
少し恥ずかしそうな表情の奈穂を横目に見て、恭一はクスクス笑っている。奈穂は、恭一のことをずっと好きだと言っていた。恭一は、何だか寂しいような複雑な気分になっていた。




