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お見舞い

 いつも通り、目覚まし時計が鳴り恭一は起床した。また、妙な夢を見てしまったと思いながら起き上がると、枕元にビハクがいた。


「お前、俺の夢によく出てくるな」

 そう言いながらビハクの頭を撫でた。さすがに、恭一も何か意味があるのだろうと思っている。昨日、悠が祠で手を合わせていたときの表情も気になる。


 朝食をすまし、いつも通り高校へと向かった。最寄り駅のホームで、麻人がいないだろうかと見渡したがいなかった。


 教室に入ると、麻人はまだ来ていない。たいがい恭一より早く来ていて笑顔で挨拶してくれる。今日は、どうしたのだろうかと思いスマホで連絡してみた。


 麻人から返事がきた。風邪をひいたのか、熱があり今日は休むようだ。昨日、早朝から畑仕事を手伝ってもらったり、ショッピングモールに行ったりと1日中連れまわし疲れたのだろうか。恭一は、申し訳なかったなと反省した。今日、学校帰りに様子を見に行くことにしよう。悠にも聞きたいことがある。恭一は、少し落ち着かない気分で学校を過ごした。


 放課後になり、剣道部の部室へ顔を出した。そして、今日は用事があり休みたいと伝え、急いで駅に向かった。


 電車に乗り、ボンヤリと外を眺めていたが気が気でない。熱があるようなので何か食べやすい物でも持っていこうと考え、駅前のコンビニに立ち寄った。コンビニでゼリーやプリンやアップルジュースを買った。


 麻人の住まいは駅から近く、すぐに到着した。

「確か、201号室だったな」

 階段を上ると、201号室のドアの前に誰かいる。よく見ると知った顔だ。

「奈穂ちゃんか? どうしたんだ」

 なぜか従妹の奈穂がドアの前にいるのだ。


「あ、えっと。悠ちゃんがいないかなと思って……」

 奈穂がモジモジしている。恭一は、麻人のお見舞いに来た事を奈穂に説明し、ドアフォンを押した。すると、恭一が来たことを確かめ悠がドアを開けた。


「あれ? 奈穂ちゃんも一緒なの?」

 悠は驚いていたようだが、すぐさま笑顔で部屋に通してくれた。


 麻人の部屋は、廊下のすぐ右のようだ。

「麻人、具合はどうだ?」

「恭一君、来てくれたんだね。もう熱も下がったし明日は学校に行けるよ」

 恭一の後ろに奈穂がいるのに気付き、

「奈穂ちゃん。悠に会いに来たんだね」

「うん」

 麻人は少しけだるそうではあるが、ニッコリ微笑んでいる。その顔を見た奈穂が、赤い顔で静かに頷いていた。


「顔が赤いけど大丈夫なのか?」

 恭一が奈穂の頬っぺたを触ると、

「大丈夫よっ」

 と少し拗ねたような表情をし、悠のいる台所の方に走っていった。

 恭一は唖然としたが、麻人の部屋で買ってきたゼリーなどを渡した。


「恭一君。部活は?」

「えっと……サボりだな」

「恭一君でもサボったりするんだ」

 と麻人がケラケラと笑っていた。確かに、部活をサボるのは恭一にとって珍しいことだ。恭一も一緒に頭を掻きながら笑っていた。


 恭一は他に何か食べたい物がないか聞いた。

「バニラアイスを悠に頼んだんだ」

 恭一は、自分が買ってくると伝え麻人の部屋を出た。


 悠が外に出ようとしていたので、一緒に行くことにした。


「奈穂ちゃん! ちょっと買い物に行くから留守番を頼むぞ」

「えーっ!」


 慌てる奈穂を残し、恭一と悠は買い物に出掛けた。奈穂を1人残すのは少し心配だったが、麻人なら大丈夫だろうと恭一は思った。


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