全滅寸前
「あとは、破砕の詠を歌うだけ…」
泉美は、歌う準備をしていた。
そこに、智歌が現れる。
「そんなことしたら夢芽の思うツボだよ!?」
そう言い、即座に泉美を取り押さえる。
「夢芽は泉美さえも破壊しようと企んでるっていうのに、それが分からないの!?」
夢芽の心も読み、そう伝えた。
しかし、泉美は止まらず、
「壊さないと始まらないんだよ…」
何かを始めるつもりだった。
「…忘れてたよ。最後の1人“神”が居たことを…。ねぇ、歌聖神…アンタは私達を止める? それとも一緒に活動してくれる?」
夢芽は智歌に問いかける。
智歌の答えは、もちろん
「止める。それしか選択しないよ!」
拒否だった。
このとき、夢芽と泉美は智歌に襲いかかる。
「抵抗する奴には死を…」
泉美は全力で智歌へと当たる。
「私は、世界の破壊を優先するね~♪」
2人が戦闘中の最中、夢芽は破壊活動。
「あと10分だけど、壊れるまで神同士で闘って、暇つぶししててね~♪」
どうやら全滅には、さすがの夢芽でも10分は掛かるようだ。
「…10分、か」
ちょっと猶予がある事に笑みがこぼれ、泉美と対峙する。
「何がおかしい?」
無表情で泉美は問う。すると、
「わざわざ10分って言ったでしょ? つまりは、夢芽も
助けて欲しい
んじゃないかな、と思ったワケ♪」
その発言に怒りを覚え、泉美は智歌に攻撃を仕掛ける。
右から竜巻、左から轟炎で挟み撃ち。
それに対し智歌は、右に竜巻、左には獄氷。
相殺。
次に泉美は、右から爆炎、左から雷爆。
それに対して智歌は、右に激流、左に爆風。
相殺。
そうして相殺を繰り返し、消耗戦となった。
「さすがは歌聖神…」
あまりに相殺することに驚き、泉美は攻撃を止める。
「そっちこそ、さすがは混在人間…人間でも人造人間でもなければ神でもない新存在…」
智歌も、攻撃を止める。
…ここでまた泉美に心の変化が現れた。
(…破壊したいのは、なぜ?)
泉美の心の中で、葛藤が始まった。
善の泉美と、悪の泉美が、心の中で論争する。
(それは、全ての世界を作り直すため)
(破壊しなくても、分かる人は分かち合ってくれる。壊す必要は無いだろう…)
(壊さなければ、手に入れられない。世界の平和を…)
(それじゃあまるで破壊神じゃないか!)
ここから、泉美の心理に疑念が生まれる。
(あれ? 私は破壊神を倒し、チカラで圧倒する世界を丸め込み、平和的に解決していく事を望んだハズ…)
そう。本来の泉美が少しずつ戻っていく。
…泉美の心理錯誤は続く……ーーーーー




